米国人から見た日本と韓国 お寺が違いすぎて激しくガッカリ

 

5年ほど前に日本の小中学校で英語を教えていて、いまは韓国のソウルで教えているアメリカ人の友人がいる。
彼女は自分の考えをストレートに口にする性格で、日韓の事情を知っていてどっちも好きだから、中立的な立場から両国を比較して忖度ナシで意見を言ってくれる。
そんなアメリカ人から見ると、日本のお寺のほうが充実していて満足度が高い。

 

韓国のお寺

 

まずは韓国の仏教史をカンタンに見てみよう。
高麗時代には国を守る鎮護国家の法として国教となり、政府の保護を受け、多くの寺院が造られるなどして仏教はとても発展していた。
このへんは奈良時代の日本と似ている。

でも、1392年に高麗が滅んで、(李氏)朝鮮の時代になると事情は一変し、前王朝の一押しだった仏教は徹底的に弾圧される。
全国の寺が破壊され、賎民階級に落とされた僧侶は首都へ入ることを禁じられて、差別的な扱いを受けた仏教はどんどん廃れていく。(朝鮮の仏教
そんなことでいまの韓国では人里離れた山の中にお寺がよくあって、街中にはすごく少ない。
だから、知人のアメリカ人も数えるほどしかお寺には行ったことがない。

韓国人の友人に連れられて、初めてお寺を訪れることになった時、日本と同じ感覚でいたら現地でビックリしたらしい。
まず、おみくじがない。
おみくじを開いて”大吉”の文字が見えると、「ヒャッホーイ!」となって財布にある以前の大吉と交換して、その後3日ほど彼女はハッピーな気持ちになる。
その時の運勢や恋愛や仕事、旅行などのアドバイスを知るのも好きだし、結果に不満ならそのおみくじをくくりつけて、縁を切ることができるという発想もイイ。
デザインや内容は神社やお寺によって違うし、小さな縁起物が入っていることもあるから、そのアメリカ人にっておみくじという日本文化は飽きないしいつも面白い。

彼女はそれを楽しみにしていたから、「おみくじ?韓国のお寺にそんなものは無い」と聞かされた時の絶望感といったら。
「山高ければ谷深し」の法則で期待していた分、失望もデカい。
ちなみに韓国ではそんな状態を「希望拷問」といって、ノーベル賞の時期にこの言葉が使われる。

日本の神社仏閣で、もう一つ彼女が好きなものはお守り。
色やデザインはかわいいの洪水で、それだけで目移りしてしまうのに、さらに学問、健康、仕事といったいろいろな目的に分かれているから、どれを買う(授かる)か激しく悩む。
日本のお守りはハイセンスでどこか神秘的だから、アメリカにいる家族や友人にお土産で渡すとみんなよろこぶ。
そんな展開を夢想していたから、韓国のお寺にはお守りが無いと知ってがく然とした。

 

ということで日本のお寺のように、おみくじを引いたりお守りを買ったり、絵馬を見て人々の願いを知るといった”お楽しみ”の要素が韓国のお寺には無い。
日韓は文化的には近いと思っていたから、彼女はあまりの違いにビックリし失望した。
だからアメリカ人やイギリス人の知人が韓国へ来たら、お寺に案内するという選択肢はなく、いつも買い物とグルメを満喫させるという。

ただネットを見ると、韓国のお寺にも数珠やお守り(っぽいもの)があるという情報もあるから、これはあくまでも彼女の体験による。
ボクも韓国旅行でいくつかお寺へ行ったけど、そうしたグッズを見た記憶はない。

これはこれで、「宗教施設であるお寺が”観光化”するのはどうなのか?」という批判はあるんだが、それはお寺が考えることで一般人には関係ない。
それぞれ良さのある日韓を比べた場合、外国人観光客には安心・安全の「明朗会計」で、いろんなアクティビティのある日本のお寺のほうがきっと魅力的だ。

 

 

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2 件のコメント

  • 私は日本のお寺に行ったことがありませんが、日本のテレビドラマで日本のお寺と僧侶たちの生活を少し知りました。韓国の仏教とはずいぶん違うということが分かりました。
    韓国仏教の歴史は、上記の本文に書かれた事実とあまり変わりません。朝鮮時代から仏教が弾圧を受けて大きく萎縮し、現在に至るようになりました。韓国の仏教は徹底した座禅と修行中心の宗教です。そのため、僧侶たちは結婚せず、一生山奥のお寺で修行にだけ集中します。もちろん僧侶たちの結婚を許す宗派もありますが、そんな宗派は韓国人に尊敬されていません。それで大衆に対する布教活動には疎かな方です。僧侶たちが参禅を通じた修行の他にお守りを作ったり、一般信徒の幸運に役立つ行為をすることは邪道とみなします。
    韓国でお寺は徹底的に僧侶たちの”修行空間”の概念ですので、”面白さ”を求めてお寺に行くのは失望だけでしょう。韓国で「観光地」としての寺は景色の良い山奥にあるためで、仏教を弾圧した朝鮮519年間生き残った古い寺であるため、歴史的価値があるからです。

  • 友人の韓国人に聞くとお寺は信仰の場所で、「エンターテインメント」の要素は求めていないらしいです。
    宗教施設としてはそれが正しいのでしょうね。
    キリスト教の教会やイスラム教のモスクも、観光客を集めることは重視していないと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。