ハロウィーンのある10月の終わりごろ、『浜名湖ガーデンパーク』ではコスモスが見ごろを迎えたと聞いたんで、「どっか連れてってー」とうるさいメキシコ人をそこへぶち込むことにした。
ちなみにメキシコはこんな国。
人口:約1億2,601万人(日本とほぼ同じ)
面積:196万平方キロメートル(日本の約5倍)
首都:メキシコシティ
言語:スペイン語
宗教:カトリック(国民の約8割)
「秋桜」と書くこの花は俳句では秋の季語で、日本ではまさに秋のシンボルになっている。
日本ではありふれた花のコスモスは、メキシコにもあるのだろうか?
それを聞いたら、実はコスモスはメキシコ原産と知ってビックリの巻。
ウィキペディアさんが言うには、この花は1789年にメキシコからスペインへ送られて1791年に「Cosmos」と名づけられ、日本には1879年(明治12年)にヨーロッパ人の美術教師によって伝えられた。
コスモスは外来種とは思っていたけど、まさかメキシコが本家だったとは!
広い園内を回っていると、メキシコ人はコスモスやハイビスカス、それと名前のワカランいろんな花の写真を熱心に撮っている。
「そう言えばメキシコでは…」と隣に話しかけるとそこは無人空間で、後方にしゃがみこんで小さな花にスマホを向ける彼を発見。
そんなことで、1時間もあれば十分と思っていた滞在時間は3時間ほどにのびてしまった。
にもかかわらずヤツは、「写真を撮るのはキライじゃないですけど、特に好きというわけでもありません。」とシレッと言う。
「でも、日本では写真がキレイに撮れるから、自然とたくさん撮ってしまいます。」と笑顔を見せる。
そうそう、日本はメキシコに比べて…、イイ写真が撮れる要素が見えないのだが。
被写体なら分かるけど、国に違いはないだろう。
おまえは何を言っているんだ?
と思ったら、日本の太陽は写真を撮るのにちょうどいいという。
それでもまだ、ちょっと何言ってるか分からない。
くわしく話を聞くと、メキシコの強い太陽光と違って日本の日差しは穏やかだから、被写体にいい感じに光が差してキレイな写真が撮れるらしい。
メキシコというとコスモスではなくて、サボテンのイメージが強い。
「太陽の子」と呼ばれるサボテンが、太陽の熱をエネルギーに変えているのは知ってたから、メキシコでは強烈な太陽光が、容赦なく大地を照りつけているのは想像できる。
彼は日本へ来てから、「なんかイイ写真が撮れるなー」と不思議に思って、その理由を考えたら、メキシコの太陽は強すぎたことに気づく。
花や植物の写真を撮ると、日本の太陽光の絶妙さが分かると言う。
ただこのへんは彼の感覚だから、「メキシコに比べて、日本では良さげな写真が撮れる説」が客観的に正しいかは分からない。
この時はインド人が一緒にいた。
インド人とメキシコ人が会ったら、彼らはどんな会話をするのか?
聞き耳を立てていると、「君はメキシコのあの帽子を持ってる?」とインド人が聞く。
ボクが勝手に”メキシコ帽”と呼んでいたあのアイテムは、正式にはセンベロではなくて、「ソンブレロ」(ソンブレロ・デ・チャロ)という。
ソンブレロはメキシコの伝統衣装の一部で、海外ではメキシコのシンボルになっているから、インド人もあの帽子が思い浮かんだらしい。
メキシコ人のキャラ設定なら、ソンブレロをかぶってタコスを食べればいいからまあラクだ。
インド人のそんな質問に、「あの帽子はメキシコの家にあるけど、日本へ持ってくるには大きすぎる。」と答えるメキシコ人。
みんながあれをかぶっていれば、コロナ禍での「密回避」にはちょうどいいが、飛行機に持ち込むのはかなりめんどくさそう。
だから、彼が日本へ持ってこなかったのもアタリマエ。
にしても、なんでソンブレロはあんなにデカいのか?生活に不便じゃないのか?
その質問に知人はこう言う。
「日差しが強烈だからです。顔全体と首や肩に日光が当たらないようにしたから、あんなに大きくなったんですよ。」
これはメキシコの常識で、その発想が帽子のあの独特の形に表れているらしい。
ギラギラする太陽は日本にもあるといっても、麦わら帽子で十分で、ここまでつばの広い帽子は何かのキャラ設定でないと使わない。
帽子の大きさの違いがまさに日本とメキシコの日差しの違い。
メキシコ人の彼が「日本ではなんかイイ写真が撮れるなー」と思った理由もきっとそれ。
日本の太陽の光は穏やかでやわらかいのだ。
メキシコの伝統的な踊り「ハットダンス」
なんだろう、このキノコ感。
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