外国人が称賛する日本の春夏秋冬 でも四季は“二季”になる気配

 

知人のアメリカ人女性は日本へ来たころ、日本人が日本で好きなところや自慢できることとして、「四季があること」と言うのを聞いて違和感を感じた。

いやいや、春夏秋冬ならアメリカにもヨーロッパにもあって、まったくめずらしいことじゃない。
なんでフツウのことを日本人は特別視するのか?

そんなことを思って一年を過ごしてみると、あのときの日本人の言葉が何となくわかってきたという。
春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、そして冬は雪と、日本ではそれぞれの季節の個性が際立っていて見える景色がまったく違う。
視覚的にハッキリ分かれているということで、彼女は「distinct」という言葉を使ってアメリカと日本の四季の違いを説明する。
ただ桜や紅葉は好きだけど、それを見るために遠くまで車で出かけて、渋滞の苦痛を耐えて駐車場に入る経験はもうコリゴリだから、日本人ほど季節を楽しむテンションは無い。

ベトナム南部の都市・ホーチミンから来たベトナム人は、このアメリカ人とは違って、かなり高そうなカメラを買って桜や紅葉の写真をSNSにひんぱんにアップして、日本の春夏秋冬を全身全霊で楽しんでいた。
ホーチミン市は一年中Tシャツでいられるほど暑いし、季節は基本的に雨季と乾季の2つだから、来日するまで、日本のような四季はアニメやネットでしか見たことなかったという。
*ベトナムも北部には四季がある。
でも残念ながら、外国人がそう称賛する日本の四季はいま大きく変わっているらしい。

 

近ごろはゴールデンウイークが終わると急に暑くなって、やっと暑さが過ぎて秋になったと思ったら、今度は急激に寒くなる。
夏と冬が長くなってそのぶん秋と春が短縮され、日本は四季から二季の国になったのでは?

そんな実感をもつ人がたくさんいるらしく、この「二季説」には共感や支持が集まって最近ネットで、ちょっとした話題になっている。
個人的にも、日本の四季の勢力図が崩れている印象はある。
夏と冬は存在感を増してボス化してきて、相対的に春と秋は影が薄くなって、季節が大きく二分されているような?

調べてみるとここ数十年、地球温暖化が確実に進んでいることは各種データで明らかになっていて、それが「二季節化」の原因になっているようだ。
ちなみにこの100年で春は1・56度、秋は1・27度も気温が上がっている。
桜の開花時期が入学式より卒業式に近くなって、むかしに比べて、全体的に早まっていると感じる人は多いと思う。

日本の季節は四季から二季へ変わっていってないか?
そんな疑問にネット民はこう思った。

・確かにな
薄手のコート着ないうちにちょっと厚手になったもん
・マジで秋を返せ
・外で全裸で歩ける時期が短いよな
・温暖化で雪が減ってるはずなのに、JRのローカル線はむしろ雪での運休が増えてる。
・こんな感じだよな。
春 3末 4
夏 56789
秋 10
冬 11 12 1 2

 

どーせ二季になるのなら個人的には、夏と冬には清々(きよきよ)しく消えてもらって、春と秋の2強になってほしかった。
といっても地球温暖化の影響で、桜や紅葉の時期がズレることはあるかもしれないが、消滅することは無いだろうから、外国人の称賛するピンク・緑・赤・白の「distinct」な日本の四季はこれからも続くはず。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。