日本のネット界では中国を「父さん(父の国)」、韓国を「兄さん(兄の国)」、そして日本を「弟」と言うことがある。
漢字や儒教といった文化がまず中国で生まれて、そのあと韓国から日本へ伝わった歴史が元ネタになったと思われる。
まあこれは、中国と韓国が対立すると「大変!父さんと兄さんがケンカしてる!」とか、スポーツで日本が韓国に負けると「兄より優れた弟など存在しない!」と自虐的に書き込むようなネットスラングで、特に深い意味はない。
漢字・儒教・仏教といった文化的な共通点があっても、海によってハッキリ区切られているせいか、日本は中国・韓国とは違う。
きのう12月9日は、1872年に明治政府が「太陰暦(太陰太陽暦)」を廃止して、太陽暦を採用することを決定した日だ。
近代化を目指す明治日本は政治や制軍隊、文化などを欧米列強に学んで積極的に採用していたから、「暦」も江戸時代から、新生日本にふさわしいものへとチェンジする。
もちろん現代では中国・韓国も太陽暦にしたがって生活をしているのだが、日本とはチョット違う。
いまの日本人の生活は太陽暦に沿って進められるから、太陰暦(旧暦)を使うことはフツウならない。
一方、父と兄の国ではいまでも正月・チュソク・清明節といった昔からの行事をする日は太陰暦によって決められる。
だから知人の韓国人や中国人は仕事やプライベートでは太陽暦、伝統文化では太陰暦を使うから、いまでも「陰と陽」の2つの暦が必要だと言う。
太陽暦を採用している日本では、あと20日ほどで正月になるから、スーパーやコンビニでは正月飾りや年賀状が売られていて、街は正月ムードに入りつつある。
でも太陰暦をベースとする中国・韓国で、2023年の正月は1月22日。
*中韓の正月、日本でいう旧正月の日は年によって違う。
「正月や新年は1月1日から始まる」というイメージのあるボクからすると、22日から新年が始まることには中途半端感と違和感しかない。
でも日本に住んでいた知人の中国人は、正月とは季節での一年の始まりを意味するから、日本の正月にこそ「コレジャナイ感」を感じた。
中国正月は寒さのいちばん厳しいころにあって、それを過ぎると、だんだん温かくなっていって梅などの花も咲きはじめる。
太陰暦の正月は冬から春になるターニングポイントにあるから、「新春」のイメージがぴったりくる。
そういう感覚を身につけた中国人からすると、1月1日を正月とする日本では春はまだまだ先だし、むしろこれから本格的な冬の寒さがはじまるし、「新春」なんて1ミリも感じられないらしい。
そういえば、日本語を学んでいたアメリカ人やインド人で「なぜ”春”なのか分からない」という人もいた。
グーグルで「正月 新春」と入力すると、関連ワードに「なぜ」が出てくるから、日本人でもこれに疑問を持つ人は多い。
日本の場合、暦を太陰暦から太陽暦へ移すと同時に、伝統行事の正月も1月1日へ引っ越したから、「新年」はいいとしても「新春」には約1ヶ月の時間差が生じてしまった。
季節の移り変わりで考えれば、中国や韓国の採用している太陰暦の正月のほうが「新春」にふさわしい。
明治の日本はアジアを抜け出して、欧米列強の一員になることを目指して近代化を進めたから、いまの中国人が感じる「コレジャナイ」は言ってみれば脱亜入欧の名残だ。
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