肉や魚を食べられないのがヴェジタリアン(菜食主義者)。
それに加えて、卵やチーズ、はちみつなども口にできないのがヴィーガン(完全菜食主義者)だ。
*これは大ざっぱな分け方だから、詳しいことは「ヴィーガニズム」で確認のこと。
最近そんなヴィーガンのイギリス人女性と会って、話をする機会があった。
「肉を食え。肉肉肉、肉を食うんだ肉を。肉を食っていれば、人間は幸せになれるぜ」と貝木泥舟が言うように、いまの日本は肉や肉汁であふれているから、漢字を読めない外国人のヴィーガンさんが生活するのはなかなかのハードモード。
個人的には以前、ウドンならいいだろうと思って、ヴィーガンのインド人をウドン屋へ連れて行ったら、そこで初めて「カツオだし」はNGと気づいて失敗したことがある。
でも、そのイギリス人は日本にはもう5年ほど住んでいるから、「OK/NG」のラインはだいたい分かるし、ふだんの生活で特に困るコトはない。
最初のころは、日本人の友人と遊びに行ったらレストランの選択肢が無くて、入ったウドン屋では出しがNGだったから、生ウドンに塩をかけて食べたこともあったという。
ちなみに、『はなまるうどん』の「おろししょうゆ」なら魚介が使われていないから、ヴィーガンにもフレンドリーらしい。
完全菜食主義者だからといって、いまでは市内で生活していればトラブルはないし、旅行に行く時には自分のしょうゆを持って行くから、そこで問題が起こることもない。
そんなイギリス人にとって困ることといえば、同じヴィーガンの人たちだと言う。
なぜなのか?
先日、動物愛護団体の「PETA」が渋谷にあるKFCの前で、クリスマスにチキンを食べるのはやめようと呼びかける「チキン自粛」のデモを行った。
「地球に平和を」という彼らの訴えとは違って、ネットでは「営業妨害」とみる人が多く、このデモには冷たい視線が向けられている。
・若鶏の唐揚げ全面禁止か
その辺の個人店舗の唐揚げやも潰すか
・植物に生命はないのかよ
何故動物だけなんだ?
・デモ隊の前でチキンをもぐもぐしてる動画好き
・これ逆効果なんじゃね
・自分がやるのは勝手だけどそれを他人に強要するなよ
先ほどのイギリス人は日本社会に自分の価値観を合わせて、個人的に取捨選択をしたり、「マイしょうゆ」を持って出かけるといった対策をしている。
他人に自分の主義を変えられることにはダンコNO!と言うけれど、他人に自分の考え方を押し付けることも拒否する。
彼女は自分と他人は平等で、それぞれ同じ権利を持っていると考えるから、たとえばパーティーがあった時、日本人や他の外国人が自分の目の前で、フライドチキンやチーズを食べてもまったく気にしない。
そんなヴィーガンのイギリス人は動物愛護団体の主張には基本的に賛成だけど、一部の人たちによる過激な抗議活動には心底ウンザリしている。
イギリスでは仕事で動物実験をしている知人の家に、「おまえは人殺しと同じだ」という落書きがあって怒りをおぼえたという。
動物の権利を守ることには賛成でも、相手の考え方や行動を変えさせることは自分の主義に反する。
自分はそんな考え方をしているのに、一部の常識外れのせいで、ヴィーガン全体のイメージが悪化したり、自分もその仲間のように思われるのは迷惑でしかない。
ヴィーガンの敵は肉じゃなくて、同じヴィーガンだったというオチだった。
ブッ飛んだ動物愛護 “生類憐みの令”で英国人が連想したPETA
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