【日本の決闘】江戸の名勝負→明治で禁止→令和のいまは?

 

マクドナルドでコーヒーを飲んでいたら、後ろの席でゲームをしていた小学生の集団から「よし!デュエル!」という声が聞こえてきた。
いまではすっかり日本語化した英語の「デュエル(duel)」。
これは「2、2人、2つ」を意味するラテン語の「duo」(デュオ)から生まれた言葉で、日本では勝負や決闘をするときによく使う。
でも、それはゲームやアニメの世界の話だ。
現実世界で「デュエル!」は法律違反になるから、それをすると当然こうなる。

朝日新聞の記事(2019年10月30日)

「タイマンしよう」 高1の2人、決闘の疑いで書類送検

東京で2人の高校生が女性をめぐってヒートアップしたあげく、SNSで「タイマンしよう」と決闘することになる。
「けがをしても被害届は出さない」、「どちらかがギブアップするまで続ける」といったルールを決めておいて、約束の日、初対面の2人は荒川の河川敷で向き合う。
そして、お互いに殴ったり蹴ったりしていたのを通行人に目撃&通報された結果、2人はそろって警察に書類送検されましたというオチ。
このとき男子生徒には「決闘罪」という珍しい罪名が適用された。

江戸時代には、(完全自由ではないだろうが)決闘は認められていた。
でも明治時代になると、こんな暴力的な行為は文明国には合わないということで、1889年12月30日に「決闘罪ニ関スル件」が公布されて違法となる。
ジャーナリストの松岡 好一(こういち)が炭鉱労働者の厳しい労働環境を雑誌で告発したが、犬養毅に否認される。激怒した松岡が決闘を申し込むも、犬養はガン無視する。
この出来事がきっかけになって、日本で決闘が法的に禁止されるようになった。

 

視点を変えて、海外では「日本の決闘」についてどんなイメージがあるのか?
英語版ウィキペディアの説明には、江戸時代にサムライの間では決闘の伝統(a tradition of dueling)があったとして、あの頂上決戦が紹介されている。

On April 14, 1612, the famous Japanese swordsman Miyamoto Musashi dueled his rival Sasaki Kojiro on the island of Funajima. Miyamoto is said to have fought over 60 duels and was never defeated.

Duel Japan

 

1612年に宮本武蔵が佐々木小次郎と巌流島で戦った。
武蔵は生涯で60回以上戦って、無敗だったと言われる。
まさに日本のデュエル王。

でも、そんなサムライの気風は、文明開化の明治時代にはもうイラナイからバンされた。
それから130年以上たって、令和の時代になったけど決闘はいまでも日本にある。
ただしそれは、絶望的にショボいものばかりだ。

産経新聞の記事(2022/11/17)

「お前らタイマンしたら」女性従業員同士で決闘させた疑い 北新地ガールズバー責任者を逮捕​

大阪のガールズバーで、18歳の女性が無断で店を辞めたことでトラブルになって、店を経営していた男が17歳の女性従業員に「あいつとタイマンしろよ」とけしかけて、女性と決闘をさせたら警察に逮捕された。
これに冷笑するネット民。

・DQNの日常
・これは何気にすげーニュースだなw
いつの時代のいつの地域の話だよw
・ピカソみたいに愛人同士を闘わせたのかと勘違いしたわ
・でもこういうアホの方が金稼ぐ能力高いんだよな
・冥途カフェなら日常なのにな

 

令和の日本には、武蔵や小次郎といった伝説的な剣豪キャラを使って、「デュエル!」と言って仮想空間で戦う決闘がふさわしい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。