「太平洋戦争の始まりは真珠湾攻撃」は誤り? 実は陸軍が‥

 

ことしの夏、終戦記念日の8月15日に在日ドイツ大使館がこんなツイートをした。

「広島と長崎は、核戦争の狂気を物語る象徴的存在です。発端は、ドイツと日本のナショナリズムと軍国主義によって始まった戦争でした。」

原爆投下にいたるあの戦争の始まりは、本当にコレだったのか?
日本のネットでは「それ違いますよ。ほんとうの歴史を知ってください!」と反発する人をたくさん見たけど、第三者の外国人に話を聞くとこの内容に特に違和感はないらしい。

【外国人の見方】第二次世界大戦は、ドイツと日本が始めた? 

同じ戦争でも立場や見方、価値観なんかによって、その始まりや原因はいろいろ指摘できる。

さて、2日前をむかえたことで、太平洋戦争が始まってからちょうど80年になった。
1941年12月8日、日本軍がハワイを奇襲したことであの戦争が始まった、と思ってる人は多いはず。

だがしかし、朝日新聞の記事で、琉球大名誉教授の高嶋伸欣さんがその認識は間違いだと指摘。(2021/12/08)

日本では真珠湾攻撃でアジア太平洋戦争が始まったという認識が一般的ですが、それは違います。

真珠湾攻撃で開戦、は誤った認識 忘れられた1時間5分前の陸軍上陸

 

というのは、海軍が真珠湾攻撃をおこなう1時間5分前に、陸軍がマレー半島に上陸してイギリス軍と戦ったから。
このマレー作戦は当初、真珠湾攻撃と同時に始めるはずだった。
でもそのときはまだ夜明け前で暗く、飛び立った戦闘機が暗闇の中で編隊を組むことは困難だったことから、真珠湾攻撃の時間が1時間半繰り下げることになって、1時間の時差が生まれたという。
*イギリスのアジア最大の拠点だったシンガポールを落とすことを目的に、マレー作戦は午前2時15分に決行された。

だから「太平洋戦争は真珠湾攻撃で開戦」は誤った認識で、陸軍の上陸が始まりだったというのは厳密にいえば正しい。
でも何というかこの見方には、「重箱の隅をほじくる」みたいな個人的なこだわりを感じてしまう。

ことしの夏、共同通信社と加盟社で構成する日本世論調査会が世論調査で、

『1941年12月に日本が米ハワイの真珠湾を奇襲攻撃して太平洋戦争が始まったことを、あなたは知っていますか』

という設問を設定したように、日本では一般的に「真珠湾攻撃=太平洋戦争の始まり」とされている。
あの戦争は主にアメリカとの戦いだったワケだし、米軍に大打撃を与えたこの奇襲はとても重要で象徴的だったから、この認識でもけっして間違いではない。

80年前の12月9日の読売新聞の紙面には、「ホノルル大爆撃」と「マレー半島に奇襲上陸」の見出しで戦争の始まりを伝える記事を載せている。
1時間のズレは誤差のようなものだから、太平洋戦争の始まりはこの2つの作戦から、というのが正確だ。
だから、ウィキペディアにも「1941年12月8日、日本軍はマレー半島に上陸するとともハワイの真珠湾を奇襲攻撃して、太平洋戦争が始まった。」とある。

 

「太平洋戦争」というのは太平洋を主戦場に日本軍と戦ったアメリカ側の呼称で、「アジア解放」を唱える日本は戦時中、「大東亜戦争」と呼んでいた。
敗戦して連合国の占領を受けてから、日本でも太平洋戦争と呼ばれるようになってその呼び方が定着する。
歴史ってのは、勝者が決めるものだ。
だから別の視点では、太平洋戦争の始まりは海軍による真珠湾攻撃、大東亜戦争の始まりは陸軍のマレー上陸作戦だったと言うこともできる。
歴史の事実は1つでも、いろんな見方があるもんだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。