フィリピン社会の「暗黒面」 金さえあればナンデモアリ

 

これで日本の治安が崩壊したとは思わないが、それでも、国民に大きな不安と衝撃を与えたのが広域強盗事件。
スマホを使った「闇バイト」で、日本にいるクズを集めて強盗を指示する。
結束バンドで両手首を縛られた90代の女性が、死ぬまで殴られ蹴られ続けたというのも、指示役が事前に「老人を殴れますか」と確認していた結果だ。

この広域強盗で日本中が驚いたのは、こうしたクズどもを仕切っていた「キング・オブ・クズ」の4人の日本人(たぶん)がフィリピンの収容所にいたこと。
犯罪者を収容する施設にいるのに、なんでスマホを使って人を集めて、細かい強盗の指示をすることができたのか?
それについてメディアが報道していく過程で、「カネさえあればナンでもできる」というフィリピン社会のデタラメさが見えてきた。

たとえばこれは、FRIDAYデジタルの記事。(2023年2月1日)

自殺者続出のゴキブリ這う劣悪収容所で…闇バイト強盗“ルフィ”「高級和牛にカジノ豪遊」超VIP生活

床にはゴキブリやネズミが走り回っていて、トイレは糞尿まみれ。
年中常夏の首都マニラにあるこの収容所にはクーラーも無い。
あまりに過酷な環境下で、自殺者も後を絶たないという。

でもそれはカネの無い収容者の話で、特殊詐欺で35億円を手に入れたという4人の日本人には無縁の世界だ。
職員へワイロを渡せば何だってできる。
専用のトイレやキッチンがあって、エアコンのきいた個室の「VIPルーム」に入ることができるし、スマホやパソコンも手に入って自由に使うことができる。
この自由と快適さはまるで東南アジアのゲストハウスだ。
この4人は「高級和牛やマグロ1匹を仕入れ仲間と食べていた」というから、日本人の想像する収容所とはまったく違う。

複数のスマホを持っていて、それでオンラインカジノをする。
マズい飯が嫌なら、配達サービスを使って外から食事を持ってこさせる。
酒や薬物はアタリマエで、知人を呼び寄せたり外出してゴルフを楽しむ人もいた。

そんな実態が読売新聞の記事に書いてある。(1/30)

ルフィ収容施設は「金がモノを言う世界」…賄賂でVIPルーム・複数スマホ・ゴルフ外出

 

これは収容所という特異空間での話だから、一般のフィリピン社会はどうなのか?
現地に住む日本人やフィリピン人、現地にくわしい日本人やフィリピン人に聞いてみたから、これからその返事を紹介しよう。
*もちろんこれはその人の経験に基づく主観だ。

・フィリピンで信用できないもの。
それは警察と弁護士。

・とにかくお金が無い。
生き残るためには人を蹴落とし蹴落とされ、ダマしダマされの世界だから何でも金で割り切る。
日本人のような恩義を期待してはダメ。
でも上流階級の人たちは別で、使い切れないほどのお金を持っているから、彼らはすごく大らかでカネに固執しない感じ。

・死が迫っていて一刻を争う時でも、医者は治療費があるか確認する。
無ければ追い出される。

・運転免許証も国籍も買える国。

・バイクを運転してたらいきなり警官に止められた。
交通違反をしたとか言われて、連れて行かれた警察署ではワイロを払えと言ってくる。
それを拒否したから、いまは裁判で戦っている最中。
ワイロを払っても約束が破られることもあるし、その後でまた現金を要求されるかもしれない。
とにかく信用できない。

・フィリピンでの生活でいちばん大事なことは危機管理で、そのためにお金が必要。
でもお金があると、キケンがやってくるという悪循環。

・お金があればなんでもできます!

 

日本人よ、これがフィリピンだ。
…ということはない。
ここで紹介したのはフィリピンにある暗黒面で、社会全体ではないし輝かしい面もある。
内容は違っても、社会や人にダークサイドとライトサイドがあるのは日本も同じだ。
人々の価値観や振る舞いはそれぞれ違うし、日本で働くフィリピン人との付き合いで、不快なコトはあっても裏切られた経験はない。
ただ日本に比べて、フィリピン社会にはハッキリとした階層がある。
どのポジションに所属しているかによって、人々の意識や考え方が大きく違うことは理解しておこう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。