戦わずして勝つる! アステカ文明のチートアイテム「死の笛」

 

アステカ王国は14~16世紀にいまのメキシコにあった。
この国はそのころのアメリカ大陸ではもっとも発展し、高度な文明を持っていたといわれる。
そんなアステカ文明の遺産の1つがいま日本中、いや世界中の人を夢中にさせている「チョコレート」だ。
アステカ王国ではこれは飲み物で、16世紀の皇帝モンテスマ2世は黄金のカップで1日に50杯も飲んでいたとロッテのHPにある。

1日50杯! アステカ王が愛したドリンクは「超ハイカカオ」だった?!

 

アステカが広大な領域を支配できたのは、周辺にいた敵を打ち破る強大な軍事力があったから。
アステカ王国が誇った戦士団の1つ、ジャガー戦士の勇士がこちら。

 

 

アステカ人の知る限り、最強の肉食動物がジャガーだったことから、それが神格化されて「テスカトリポカ(テペヨロトル)という神が創造された。

いまならハロウィンの渋谷で見かけそうなジャガーのコスプレだけど、当時のアステカ人はこうした格好をして、テペヨロトル神と一体化することで戦意を高めた。そして同時に、敵に「神と戦う」という畏怖心を引き起こしたと思われる。
このイーグル戦士も、ジャガー戦士と同じような発想から生まれたのだろう。

 

イーグル戦士の彫像

 

だがしかし、最強とは「戦わずして勝つ」ことだ。
いまの日本ではアニメの世界や、リアル世界ではビジネス戦略なんかでこの言葉が使われる。
「戦わずして勝つ」の元ネタは約2500年前、中国・春秋時代にいた軍事思想家の孫氏(孫武)が書いたというレジェンド兵法書『孫子』にあるこの言葉。

「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」

「百戦して百勝、敗北の味を知りたい」というのは一見すると最強でも、自軍も大きなダメージを受けるから最上とはいえない。
戦わないで敵に降参させる、「戦わずして勝つ」こそが最善と孫氏は考えた。
戦争とは敵をだますことだ(兵は詭道なり)という孫氏らしい発想。

ちなみに「敵を知り己を知れば百戦してあやうからず」も孫氏の言葉だ。

 

風林火山の旗

はやきこと風の如ごとく
しずかなること林のごとく
侵掠(しんりゃく)すること火のごとく
動かざること山のごとし

武田信玄が軍旗に記したというこの「風林火山」ももとは孫氏の言葉だ。

 

「戦わずして勝つる!」

これこそ最強で理想的だとしても、敵もアホの集団じゃないから、それを現実化することは不可能なほどむずかしい。
諸葛孔明でさえ、生涯でこんなことが何度できたのか。

でも、それを可能にするチートアイテムがアステカ文明にあったという。
その「死の笛(Aztec death whistle)」の不気味な音色がこちら。

 

 

ある時アステカの遺跡で頭蓋骨の形をした不思議なモノが発掘され、最初はただの装飾品かと思われていた。
でもその後、これは「死の笛(Death Whistle)」として知られるようになる。
人か獣かわからない生き物の断末魔のようなこの音は「死者が叫ぶ声」とされ、戦場でたくさんの戦士がこの笛を一斉にふくことで、敵兵の心に恐怖をうみ出し、戦意を喪失させるために使われたのではないかと考えられている。

The Aztec death whistle was a whistle exclusively used in several zones of the ancient Mexica, which mimics the sound of a horrifying animal-like screeching, which was thought to be used in warfare to scare away their victims, its thought that hundreds of warriors would use the whistles at the same time.

Aztec death whistle

 

大勢のジャガー戦士やイーグル戦士がこの笛をふくと、敵軍が恐れをなして総崩れになって逃げていく。
「死の笛」で敵に精神攻撃を行って、戦わずして勝つる!
そんなチートアイテム、アステカにあったと思います。

 

 

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

メキシコ人からみた日本人:文化・国民性・オタクの違い

【埋葬文化】人類共通の献花/死体を教会の壁に埋める名誉

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。