その神事は動物虐待では? 変わらないためには変わり続ける

 

2022年に韓国のドラマで「いい画」をとるために、馬の足首にワイヤーを結んで無理やり馬を転倒させた。
その馬は撮影の後に死亡して、動物保護団体はテレビ局を警察に告発した。
馬に関わる“動物虐待”の批判といえば、最近の日本では三重県で行われている「上げ馬神事」がある。
人を乗せた馬が勢いよく走ってきて、高さ2メートルほどの土壁を越えようとガンバル。
で、馬が壁を越えた回数によって、農作物の豊凶を占うこの上げ馬神事は700年の伝統を誇る行事で、県の無形民俗文化財にも指定されている。

 

 

でもこれは、馬にとっては限界突破のチャレンジだ。
これまでに骨折した馬が安楽死させられたり即死したり、壁に激突して血だらけになる馬もいたという。
5月4、5日に行われた今年は18回中、壁を超えたのは3回で、骨折した1頭は安楽死でこの世を去った。

ドラマの撮影でこれをして馬を殺したら問答無用でアウトだろうけど、神事だと、単純に現在の価値観で判断することはできない。
だから世論は「ドー見ても動物虐待だから廃止すべき!」といった批判と、「やり方を変えてでも後世に引き継いでいくべき!」といった支持の賛否に分かれている。

このニュースについてネットの反応は?

・動物園も廃止
・宗教は何をやっても許されると思ってそう
・蚊を潰してる人間が何を言うかって感じ
・沖縄のハブとマングースのバトルも沖縄サミットの時にレースに変わってたなw
・神経過敏な世の中だな
・どのレベルの生物から愛護すべきなのかを問われると難しいね

神事を行っている神社は馬の安全に配慮しながら、この伝統行事を今後も続けていきたいという。

「その伝統文化は動物虐待では?」という声はいま世界中で上がっている。
イギリスでは貴族の楽しみだったキツネ狩りは2005年に廃止されたし、スペイン人に話を聞くと、以前から批判の多かった闘牛も一部の地域では禁止された。
こんな「ブラッド・スポーツ」だけでなくて、イギリスには競馬の廃止を訴える動物愛護団体もある。
かといって、イギリスの競馬ファンが美少女ゲームで満足するとも思えないが。

さて、日本のお年寄りのソウルスイーツである饅頭について、「頭」の字があることに気になったことはないだろうか?
あの食べ物の命名者は諸葛孔明という説がある。
三国志に出てくる英雄豪傑の中でもトップクラスの人気を誇り、最近は渋谷に転生したというウワサのあの智将だ。

あるとき孔明が荒れ狂う川に進行を止められた。
現地では川の流れをしずめるためには人を生贄(いけにえ)にして、その首を川に入れて神への捧げものとするという話を聞いて、「なんつー蛮行。こいつらやべーな」とドン引きする孔明。
そんな残酷な儀式をやめさせるために、小麦粉と肉で人間の頭部に似せた物を作って、代わりにそれを川に入れればいいと提案したことから「饅頭」が生まれたという。

じつは怖い「饅頭」の由来。孔明が生け贄を肉まんに変えた説

 

変わらないためには、変わり続けないといけない。
時代が変化しても残り続けるためには、自分を適応させていく必要がある。
伝統儀式もいちばん大事な本質をハッキリさせてそれを死守して、ほかの部分は形式ややり方を変えていないと、時代の流れにのまれて消えてしまう。
ただ上げ馬の場合、“全員合格”だと占いとして成立しないからむずかしい。
この神事は「動物虐待」の壁をどうやって乗り越えるのか。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。