【コスパと信頼】アメリカ人が思う韓国車と日本車の違い

 

世界各国にはそれぞれの歴史や文化、キャラ(個性)があるから、「〇〇はこんな国」といったステレオタイプのイメージがある。
だから最近、「イランはイスラム教の国」と日本で誤解されていると知人のイラン人がなげいていた。
そんな独断と偏見で世界を眺めた地図が「Mapping Stereotypes」で、たとえばアメリカ人から見た日本は「TOYOTA」で韓国は「SAMSUNG」とある。
でも、知人のアメリカ人に言わせると日本はいまでも「トヨタ」だけど、「韓国=サムスン」の認識は10年ほど古い。
いまのアメリカでは韓国の歌やドラマを見る人がすごく増えているから、韓国のイメージと言えば「BTS」らしい。

日本・韓国・中国、アメリカ人から見るとこんな国

日本と違って韓国の変化は早い。
その知人の中で韓国のイメージはいまはBTSで10年前はサムスンで、さらにその10年前は“ない”。20年以上前の韓国は存在が薄くて、特にコレといった印象がないから「空白」らしい。
それに対して日本のイメージは、(彼の中では)30年前から現在までずっと「トヨタの国」のままだ。

世界における韓国の評価はこのところ急激に変化していることは、韓国人が誰よりもよく知っている。
「韓国的」という言葉は以前は、「不明瞭」「恥ずかしい」「隠したい」といったネガティブな意味を持っていた。
「韓国的民主主義」とは独裁を、「韓国的市場経済」とは政治家と一部企業だけが利益を得る資本主義を、そして「韓国的時間観念」とは約束時間を守らなくても気にしないコリアン・タイムを意味していた。
それが経済力をつけてきて世界的に韓流ブームが広がっていくと、韓国人には自信がでてきて、「韓国的」をあらわす大文字の「K」はそれまでと違うキラキラした意味になったと朝鮮日報のコラムにある。(2023/05/15)

Kポップ、Kシネマ、Kドラマ、Kクラシックなどが世界舞台で華やかな照明を浴び始めると、韓国の短所さえもまるで長所であるかのように皆が熱狂した。

「韓国的」という単語は再び恥ずかしい言葉になるのか

 

この変化は「無名→サムスン→BTS」という、韓国に対する知人のアメリカ人のイメージの変化と重なると思う。
でも、いまでは国民の代表である政治家が平気でウソをついているし、「韓国的」という言葉は、また恥ずかしい意味の言葉に戻ってしまうかもしれないと朝鮮日報はいう。

 

このまえ20代のアメリカ人女性に日韓のイメージを聞いたところ、上の知人(30代のアメリカ人男性)とだいたい同じ。

「アニメも有名だけど、それを知っているのは若い人を中心にする特定の人たちで、一般的なアメリカ人がふだん見たり聞いたりする日本のモノといえばやっぱりトヨタ。韓国車はここ10年ぐらいで注目されるようになった。まだ新しいから、日本車みたいな安心感や信頼感はないかな」

彼女が通勤用の車を買うことになって、最近いろんな人にアドバイスを聞いて特にそう感じたという。
日本車は運転がしやすいし、故障することが少なくて長く乗ることができるから、友人はトヨタ、ホンダ、ニッサンなどの日本車を彼女にすすめる。
車にくわしい夫の推しも日本車だ。
ホンダの創業者・本田宗一郎について本を読んだり、モノづくりに対するトヨタのこだわりや考え方を知った夫は、快適や安全を追求して最高の製品を提供しようとする日本人の思想に感動した。
実際に日本車の質はとても高くて、アメリカの消費者もそれに見合った評価をしているから、それはウソじゃないことが分かる。
でも韓国車に比べるとお高いから、購入のハードルも上がる。

そんな夫の意見によると、現代自動車(ヒュンダイ)と起亜自動車(キア)といった韓国車は製造工程のムダを徹底的になくし、部品も少なくして組み立てにかかる時間を最速にした。
そして値段の割には性能のいい自動車を生産しているから、アメリカで支持されて人気が出てきた。
でも、「日本といえばトヨタ」というイメージが数十年も変わらないように、日本車には圧倒的な信頼性がある。

そのことについて朝鮮日報にこんな報道があり。
(2023/04/10)

韓国の自動車事故発生率、OECD主要加盟国ワースト1位…「保険制度見直し必要」

ドライバーの不注意といった人的要因や、ステアリング装置の欠陥といった自動車そのものの問題などから、韓国で起こる事故の発生率はOECD主要7カ国の平均の2倍以上だったことが判明して、さすがにこれはマズいと問題になっている。

知人の夫が彼女に通勤車として、韓国車を推せなかった大きな理由に「韓国車盗まれすぎ問題」があった。
盗難防止システムの甘さをつかれて、アメリカで韓国車が盗まれる事件が続発。
コスパ重視の取捨選択をして、効率的な生産を追求したひとつの結果だろう。
これはアメリカではかなり深刻な問題になっている。
ウィスコンシン州やイリノイ州をなど23州の法務長官がヒュンダイとキアに「セキュリティーのぜい弱性が問題で車の窃盗が急増するのは衝撃的」で、「これまで両社は車の盗難防止に向けた対策作りを怠ってきた」と厳しく指摘する書簡を送って盗難防止の対策をとるよう要求したほどだ。

朝鮮日報の記事(2023/04/02)

米国で「韓国車窃盗チャレンジ」流行…23の州が現代・起亜自動車に防止対策求める

多発する盗難が公共の安全に脅威を与えているということで、シアトル、クリーブランド、サンディエゴといった都市がヒュンダイとキアを訴えた。
アメリカの主要保険会社も保険加入を拒否するようになったし、両社にはいま強い逆風が吹いている。
「韓国的」という言葉と同じように、韓国車という単語も「恥ずかしい言葉」になってしまうかも。

知人の友人や夫がトヨタやホンダなら大丈夫と太鼓判を押す理由は、高品質のモノづくりを追求する日本ブランドにはこうした死角やスキがないから。
それにこの夫婦の年収からすると、日本車購入のハードルは軽く助走してピョンと飛び越せるほどの高さだから、コスパ重視じゃなくて安全を買いたいらしい。
アメリカでは昔から日本車の評判は良いから、なかなか値段が下がらないし、中古車でも値段が高いというのも納得。
独自の戦略で、アメリカでの人気や知名度が急上昇した韓国車。
でも消費者から、日本車ほどの安定感や信頼を得るにはまだまだ時間はかかりそうだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。