【日本人の世界初】ビニール傘はいつ・どうやって生まれたか?

 

日本語を学ぶ外国人のテキストに、「”どんより”を使って文章を作りなさい」という質問があった。
で、それを見た外国人は「うどんよりそばが好き」と解答したという話を、ホントかどうか知らんけどネットで見た。

どんよりした日の続く梅雨は、昔は笠、現代では傘が大活躍する時期でもある。
どっちも「カサ」だけど笠は頭にかぶるもので、傘には手で持つ柄の部分があるところが違う。
笠はわからんけど傘は外国由来で、中国で生まれた後、6世紀ごろ仏教と同じ時期に朝鮮半島から日本へ伝わったらしい。

傘は舶来品でも、いま世界中の人が使っているビニール傘は日本人の発明だ。
1958年に「ホワイトローズ」という会社が世界で初めて開発したと『nippon.com』 の記事にある。(Jun 10, 2022)

In 1958, innovation came in Japan, as the manufacturer White Rose, headquartered in Tokyo’s Asakusa, produced the world’s first plastic umbrella.

Umbrellas and Parasols in Japan

 

戦後直後の日本で主流だった綿の傘には、色落ちして服が汚れるという弱点があった。
そこで江戸時代から雨具を作って売っていた「武田長五郎商店」が、いつごろかホワイトローズと大胆に名前を変えた後、戦後に米軍が持ってきたテーブルクロスに社長が注目する。
「この素材のビニールなら、色落ちを防ぐことができる!」とひらめいて、ホワイトローズは人類で初めてビニール傘を作って1958年に売り出した。
でも、これは画期的すぎて、日本の社会に合っていなかった。
まったく新しい発明品で、それまでの傘業者の仕事を無くすシロモノだったから、日本での売れ行きはイマイチ伸びない。

1964年の東京オリンピックに転機がやってきた。
この時アメリカから観光客としてやってきたバイヤーの目に留まり、「ビニール素材の傘…だと…?」とその発想に驚いたバイヤーが、ニューヨークで販売したいとホワイトローズにオファーを出す。
これがきっかけになって、ビニール傘へ世界中に広がっていく。(ホワイトローズ
ビニール傘を「文化」と考えるこの会社の傘は、1本1万円以上とかなりハイクラス。

ちなみにビニール傘は英語では「プラスチック・アンブレラ(plastic umbrella)」という。
ビニール袋も同じく「プラスチック・バッグ」だから、ビニール・アンブレラ(バッグ)はたぶん通じない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。