神道のキリスト教の共通点 穢れと罪・祓いとゆるしの秘跡

 

きょう7月2日は1年の半分になる日で、「半夏生」(はんげしょう)という。
農家にとっては、この日までに畑仕事や田植えを終える目安となっている。

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一部の地域では半夏生を「はげっしょ」と呼ぶのだけど、これだと「また髪の話してる」と不快に思われる方もいるだろうから、さっそく本題に入ろうと思う。

 

 

半夏生を迎える直前の6月30日は、大祓(おおはらえ)をする日になっている。

神道では罪や穢(けが)れを祓(はら)い、心身をいつも清浄に保つことがとても重要視されている。
日常生活を送る中で人の身体には穢れが付いてしまい、それが蓄積すると病気やケガなど不幸(厄災)の原因になってしまう。
だから年に2回、6月と12月の大祓(おおはらえ)の日には神社で茅(ち)の輪をくぐり、半年分の罪や穢れを祓う必要がある。
これによって心と体を清め、残り半年の無病息災を祈るのだ。

 

以前、アメリカ人(30代の男性)にこんな日本の伝統行事について話し、キリスト教にも似たような考え方やイベントがあるか聞くと、「それは神道の神事だろ? キリスト教にあるわけないだろ」と一蹴されるかと思ったら、似たようなものがあると言う。
キリスト教には「穢れと厄災」という概念はないが、「罪と罰」という重要な考え方がある。
重大な罪を犯した人間は神とのつながりを断ち切ることになり、その結果、地獄で苦痛を受けることになる。
しかし、教会で「ゆるしの秘跡(Penance)」を行なうことで、その罪を取り除くことができる。
Penance

The Sacrament of Penance removes this guilt and the liability of eternal punishment related to mortal sin.

Indulgence 

正教会の痛悔機密(つうかいきみつ)
カトリックでいう「ゆるしの秘跡」

 

信者は神父などの聖職者に自分の罪を告白し、神からの赦(ゆる)しと和解を得ることで罰を免れる。
カトリック教会では、この「ゆるしの秘跡」を年に1回は行うべきとしている。
*懺悔、告解、ゆるしの秘跡の用語や、キリスト教の教派ごとの違いについては上のリンク先を見てくれ。

神道では、身心の穢れを祓うことで、厄災から身を守ることができる。
だから年に2回、大祓(おおはらえ)の日に茅の輪をくぐることが行われている。
一方、キリスト教(カトリック)では、「ゆるしの秘跡」を行うことで地獄行きを回避できるという。
信者は年に1度はこれを行うことになっている。
「穢れと厄災」と「罪と罰」の概念は根本的に違うけど、神道とキリスト教は「不安と救済」という宗教としての本質的な部分では似ている。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。