数年前、日本に住んでいた韓国人が、ふとこんなことを言う。
「1万円って微妙なんですよ。大好きなんですけど、顔は見たくないというか…」
彼からすると、1万円の価値はとても魅力的だけど、そこに描かれている福沢諭吉は韓国人にっては敵。
だから、やや複雑な気持ちがあるらしい。
(もちろん全体的には大好き)
伊藤博文や安重根などの歴史上人物について、評価が逆転することは「日韓あるある」だ。
日本人にとっては、素晴らしい教育者である福沢諭吉もそのうちの一人。
彼は江戸時代の封建制度を批判し、「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」という新しい四民平等の世の中では、学問が重要であることを説いた。
また、西洋に学んで、日本の発展に不可欠なポイントを理解し、個人の自由や権利の重要性を日本に広めた。
日本の民主主義の基礎づくりにも貢献した福沢諭吉は、日本の最高紙幣のカオになる価値がある。
一方で、隣国では天地がひっくり返って、福沢諭吉は蛇蝎のように嫌われている。
韓国の全国紙、中央日報のコラムを読むと、福沢はまさに諸悪の根源だ。(2009.08.12)
アジアの多くの国を見下して侵略を肯定した彼は、侵略の過去史を誇らしい歴史としようと右翼勢力と日本列島で吹き始めた嫌韓流を生んだ父だ。
【その時の今日】福沢諭吉…侵略戦争正当化した日本右翼の元祖
福沢諭吉は、現在の日本の「右翼勢力&嫌韓」の父であるーー。
こういう韓国の観点を見ると、日韓では歴史認識がひっくり返ることがよく分かる。
福沢が韓国メディアに、ここまでボロクソに書かれる理由は、彼が発表した「脱亜論」が現代の韓国人の逆鱗に触れたから。
福沢はその中で、日本はアジアを抜け出してヨーロッパの仲間になるべき、という「脱亜入欧」の考え方を提唱した。
四文字熟語よりも、英語の「out of Asia and into Europe」の方が分かりやすいかも。
「脱亜論」で福沢諭吉がした主張はだいたいこんな内容だ。
日本・中国・朝鮮は漢字文化圏に属し、同じ古典を共有していた。
歴史や文化的には近い価値観を持っているが、欧米列強が近づくいまでは大きな違いが生じている。
日本は欧米の文明や国際法の重要性を知り、国を近代化しようと努力している。でも、中国と朝鮮は過去に固執し、変化を避けていて、その精神は千年前と変わらない。
江戸時代の古い体制を廃止し、新しい国づくりをしている日本とは、考え方や認識の違いがあまりにも大きくなってしまった。
もう、3国が「東アジア共同体」として繁栄するという幻想は捨てるべきだ。
日本は、中国と朝鮮という悪友と絶交し、 欧米と共に進まなければならない。
この二国に対しても、国際的な常識や国際法に基づいて接すればよいのだ。
福沢諭吉がこんな「脱亜入欧」を主張したのは、中国と朝鮮に絶望したからだ。
福沢は、当初は日中朝が「東アジア共同体」となり、西欧列強の侵略から東アジアを守ろうと考えた。
それは彼は、朝鮮人が慶応義塾へ入ることを認め、共に語り合って朝鮮の近代化を支援した。
そのころの福沢は、「朝鮮人は貴賎となく毎度拙宅へ来訪、其咄を聞けば」と、身分に関係なく、自宅を訪れた朝鮮の人たちの話を聞いていた。
福沢諭吉の目には、当時の朝鮮が30年前の日本のように見えた。
古い身分制度や価値観を無くし、朝鮮を近代化させることは日本の利益にもなる。
そう考えた福沢は弟子のユ・ギルチュンに、漢字ではなく、分かりやすいハングル文字で新しい情報や価値観を国民に伝えるべきだと伝え、その手助けをした。
福沢は、日本の明治維新を参考に、朝鮮の近代化を目指した金 玉均(きん ぎょくきん)を特に大切に考えていた。
金ら開化派は、朝鮮が清から独立し、国内を改革して近代国家になることを願ったが、清に従属する反対派(事大党)につぶされた。
金玉均は最終的には暗殺され、その遺体は手足や首を切断されて川に捨てられたり、さらしものにされたりする。
金玉均ら開化派が残酷に殺されたことを知り、福沢は涙を流す。そして、朝鮮が清から独立し、近代国家になることは不可能で、日本と一緒に未来を築くことはできないと絶望した。
彼は朝鮮を「妖魔悪鬼の地獄国」と表現し、そのあと「脱亜論」を発表する。
これは決別宣言だ。
韓国メディア(中央日報)は、福沢諭吉を「アジアの多くの国を見下して侵略を肯定した」と書く。
福沢は江戸時代の古い価値観や制度をバカにしていたから、それと変わらない当時の朝鮮も、同じような目で見ていたことは想像できる。
ただ、現代と同じ基準で「見下した」ということではないと思う。
それに福沢の言う脱亜とは、近代化を拒んだ中国と朝鮮を指していて、「アジアの多くの国」ではないはずだ。
ところで、福沢が「侵略を肯定した」というのは、具体的に何を指しているのか?
中央日報のコラムを読むと、それはこの部分のようだ。
「もう彼の目に朝鮮は連帯して協力する相手ではなく、日本が「文明化」させなければならない侵略の対象と映った。」
朝鮮を近代化、文明化させようとしたのは金玉均などの開化派で、福沢諭吉はそうした朝鮮の人たちを支援した。
韓国の歴史認識ではこれが「侵略」になる。
現代的な視点では、内政干渉になるかもしれないが、当時の常識や価値観は現代とは違う。
こうして福沢諭吉は韓国社会において、侵略の歴史を誇らしいとする右翼勢力と嫌韓流を生んだ父となる。
現在の日本では、福沢が1万円札に描かれているから、韓国的には、日本は過去の侵略の歴史を肯定しているように見えるらしい。
(こういう認識があると、一万円札を見て複雑な気持ちになるかも)
不幸な歴史をくり返さないために、「我々は彼を記憶しておかなければならない」と書いてコラムは終わる。
韓国にとって、福沢諭吉は“諸悪のはじまり”だから、ハンギョレ新聞のこの寄稿文も内容は同じだ。(2019-10-13)
[寄稿]日本の“韓国蔑視”の根源
福沢は、「朝鮮人の頑固無識さは南洋の未開人にも遅れを取らない」「朝鮮人の上流は腐敗した儒学者の巣窟で、下流は奴隷の群集である」と暴言や妄言を並べ立てた。このような韓国を侮辱する見方が、現在の極右勢力の歴史観に影響を与えている、と。
「侵略戦争を正当化した、日本右翼の元祖、嫌韓を生んだ父、“韓国蔑視”の根源」
これが福沢諭吉に対する韓国人のイメージだ。ネガティブな用語ばかりだ。
だから、開化派の朝鮮人と語り合って彼らを支援し、金玉均のために泣いた福沢の姿はどこにもない。
歴史の見方は国によって違って当然。
だから、それについて話し合って意見を一致させようとすると、ケンカは避けられない。
話せば違いが分かるから、お互いに「相手とは分かり合えない」ということを分かり合えばいい。
それが「日韓あるある」なのだから。
面白いことに、これが中国などでは見方が逆転する。
尊敬する日本人について、中華圏でアンケート調査を行ったところ、福沢諭吉は1位だった。
日本右翼の元祖、嫌韓の父という韓国とは違い、中国では福沢に学ぶべきという人が多いのだ。
このことは近いうちに書きますよ。
韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
福沢諭吉は偉大な先覚者だと思い、彼が韓国で悪人と見なされるのはやはり韓国の誤った歴史教育のためです。韓国の歪んだ近代韓日史を正せば、韓国では天地開闢するほどのショックが来ると思います。現在、韓国では数は小さいですが、”歴史を正しく知ろう”という学者たちの動きがあり、それでも幸いだと思います。
上記本文と無関係な質問をして申し訳ありませんが、気になって質問するので答えていただければ幸いです。
私は今夏の甲子園大会を見ています。甲子園大会は私が日本に対する認識を根本的に変えるようになった重要なきっかけとなりました。特に2018年の100回大会で秋田代表だった金足農高と吉田投手の闘魂は私に深い感動を与えてくれました。そして私はその大会でこれまで知らなかった”日本の力”を感じることができました。世界の強国の中でも日本は最も”安定した”国家であり、未来に世界の中心になれるほど底力を持った国ですが、その理由は甲子園大会で10代の高校生選手たちが見せる闘魂と覇気、最後まで最善を尽くす誠実さ、節度ある行動、そして礼儀を守る姿だと思いました。韓国は高校野球が事実上プロのFARMシステムのようになり、高校野球は誰も見ていないだけでなく、選手たちの行動からも日本のような姿は見当たりません。
それで甲子園でプレーする日本の高校選手たちの闘魂のプレーは私には感動そのものでした。
さて一昨年韓国で発刊された甲子園を紹介する本では、慶応義塾高校監督の森林という人が、「大人たちが勝手に青春ストーリーを作っている。 大人の視線から高校野球は頭を坊主にして無条件全力疾走しなければならず、勝っても涙、負けても涙というストーリーを作っている」と批判したそうです。森林監督の言葉は、日本の高校野球も韓国の高校野球のように変わらなければならないという意味に聞こえます。日本人のほとんどがこのように考えているのですか?
そして森林監督のインタビューはハフポストというメディアに載っていたそうですが、そのメディアも日本で有力なメディアなのか知りたいです。私は髪を短く切り、覇気溢れるプレーを繰り広げる日本の高校野球選手たちを応援します。
このブログのオーナーだけでなく、甲子園野球に詳しい読者の方でもコメントしていただけると助かります。
福沢諭吉について、中国では尊敬する日本人の1位に選ばれましたが、韓国ではもっとも嫌われている日本人の一人になっていて、対照的です。
高校野球についてです。
森林監督は、生徒が自主的に考えて野球をすることを重視しています。
高校球児が全力でプレーをすることは感動的です。
ですが、大人の感動のために彼らが犠牲になってはいけません。
ことし、高校野球を放送するテレビ画面に、「熱中症に厳重警戒」「危険な暑さ。外出はひかえて」と文字が出ました。
一般人には冷房の効いた部屋の中にいることをすすめているのに、高校生には長袖・長ズボンで野球をさせています。
試合後中に倒れた生徒が何人もいます。
こうした過酷な状況で、丸坊主にしないといけないといった決まりがあって、高校野球をする子供が減っています。
森林監督はこうした状況に危機感を感じて、提案したと思います。
なお、ハフポストはネットメディアでは有名ですが、読売新聞や朝日新聞などの新聞ほどの影響力はありません。
「フチに高温注意情報が出続けてる甲子園中継で球児を心配するなという方が無理」
韓国では甲子園大会は非常に否定的に見ています。大日本帝国主義、軍国主義を象徴する大会だと非難するメディアが多数です。それで髪の毛を坊主にしてしまった選手たちを見て”少年兵”とからかうこともあります。しかし、私は実際に甲子園大会を見てからはそんな韓国の考えには同意しません。上のコメントでも書いてあるように、私は日本の学生選手たちのそういう闘魂と覇気、礼儀正しい行動こそ日本を世界の一流国家に保つ根本的な力だと思います。
ところで、普段日本に対して自負心を持っていたブログのオーナーが韓国のマスコミと似たような考えを持っている姿にびっくりしています。
他の多くの日本国民も甲子園大会について否定的な考えを持っていらっしゃいますか?
いえ、軍国主義の象徴とはまったく思っていません。
誰のための大会なのか? ということを考えると、高校生の健康のために秋に大会をすればいいと思うのです。
猛暑に試合をして、倒れる生徒が何人にいます。
でも、夏に大会をしないと、主催者側はもうかりません。
大人のカネもうけの影響もあって、夏に大会を開いています。
そのへんは賛成できません。