歴史と日本に対する認識 韓国と台湾では天地の違い

 

日本は日清戦争に勝利し、1895年に台湾を清からゆずり受けて統治した。
そして1910年には、大韓帝国と条約(韓国併合ニ関スル条約)を結び、韓国の統治を開始した。
その結果、台湾と韓国は、1945年まで日本の一部だったという歴史を共有していて、期間でいえば台湾の方が長い。
でも、現在を見てみると、韓国と台湾では、歴史や日本に対する認識が天と地のレベルで違っている。

 

2010年に韓国を旅行した時のこと。
空港からソウル市内までバスで移動し、目的地のバス停で降りた瞬間、その年は韓国併合からちょうど100年後だったことをに気づいた。

 

 

日本で言う「韓国併合」は、韓国では「強制」のワードを付け加えて、日本の加害性を強調している。
日本による韓国併合について、ハンギョレ新聞にこんな寄稿文が掲載されていた。(2023-08-21)

[寄稿]韓日関係の未来と歴史に対する反省の前提条件

韓国側の観点によると、1910年の「強制併合」は現在でも韓日関係を規定するもっとも重要な要素だ。
そう指摘するこの寄稿文は大体こんな主張をしている。

・韓国の学界では、この併合を不法・無効なものとみなしている。
(日本は逆で、合法だったとしている)
・これは、韓国人としては受け入れられないことだった。
・韓国併合は、日本の最大の過ちということができる。
・韓国を統治した日本は数多くの過ちを犯し、韓国人に恥辱と怒りを感じさせた。
・日本による併合とその後の支配は、韓国人にとっては忘れることのできない受難と苦痛の歴史となった。

結論としては、韓国と日本が真の友好関係を築くためには、「過去の歴史を直視し、反省すべきことがあれば反省する姿勢を取ることが必要だ」という意見を主張している。
つまり、日本は韓国人に対して受難と苦痛を与えた歴史を直視し、心から反省し、謝罪を行うことで、韓日関係は本当の友人になることができるということだ。
これは、韓国ではよくある対日認識&歴史観だ。

 

韓国の新聞にそんな寄稿文が掲載されていたころ、台湾の新聞にはこんな報道があった。

 

これを教えてくれたのは、台湾と日本の歴史や文化に関する情報を発信している台湾人の Hsu Hsuさん。
日本の統治時代に、皇太子(後の昭和天皇)が台湾を訪問してから、今年でちょうど100年になる。
この「台湾行啓100周年」を祝うために、当時の皇太子が味わった料理を再現した。
そして、台南を訪れていた京都市議会の訪問団がそれを食べ、大絶賛したという。

 

韓国で昭和天皇は「戦犯」と呼ばれるほど、一般的には嫌われている。
だから、皇太子(昭和天皇)の韓国訪問100周年を祝うという発想はあり得ない。
そんな親日(=裏切り)行為をしたら、ネットで総攻撃を受け、社会的には抹殺されてしまう。
一方、台湾は韓国よりも長い間、日本に統治されていたが、その反応はまったく違って好意的だ。
台湾併合の100年後に、日本は受難と苦痛を与えた歴史を直視し、心から反省し謝罪をすることで、日台は本当の友人になることができるといった主張はしない。
そもそも、日本と台湾はすでに真の友人になっている。
同じ歴史を共有していても、教育の影響によって、これほど大きな違いが生まれるのだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。