日本を学んでいる外国人の中には、和製英語を知って「ふざけんなよ…」と怒りを感じる人がよくいる。
立場を逆にすると、海外にいる日本人が、不思議な日本語をたくさん覚えないといけないと考えると、きっとウンザリすると思う。
日本人はよく言葉を省略するから、日本人のボクにも意味不明の言葉がある。
最近は”シクレ”という言葉を見つけて、「何だコレ?」と思ったら、シークレットゲストのことだった。
今回は数ある和製英語の中でから、特にスゴイというか、ムゴイものを紹介しようと思う。
日本の大学に留学していたドイツ人がいつものように、研究室で日本人の大学生の会話を盗み聞きして、こっそり日本語の学習をしていた。
するとある大学生が「ノーパソ」と言う。
「ノーパソ? そんな言葉は初耳だぞ」と思ったドイツ人が食いついた。
ドイツ人:「ねえ、ノーパソってなに?」
大学生:「ノートパソコンのことだよ。そういえば、英語でノートパソコンを省略した言い方ってなに?」
ド:「いや、ノートパソコン自体が和製英語だから…。それを省略した英語なんてないよ」
日:「えっ! ノートパソコンって英語だと思ってた。じゃあ、あれは英語ではなんて言うの?」
*ネットを見るとノートパソコンの略語には、ほかにもノートやノートパソ、ノトパ、ノーパなどがあるらしい。
英語でノートパソコンは「laptop(ラップトップ)」と言うから、上の大学生の質問は出発点から間違っている。
「top」は上、「lap」は膝(ひざ)という意味だから、直訳すれば「ひざの上」になる。
ちなみに、アニメ『崖の上のポニョ』の英語タイトルは「Ponyo on a Cliff by the Sea」だ。
欧米人の感覚では、ノートパソコンは持ち運びが可能で、膝(もも?)に乗せて、パカッと開いて、作業ができるパソコンというニュアンスだろう。
先日、日本の学校で英語を教えていたアメリカ人と話していた時に、この話をしてみたところ、「そうそう、私にもノートパソコンは意味不明だった!」と彼女が笑いだす。
英語のネイティブからすると、この単語にはツッコミどころが多々あるらしい。
そもそも personal computerを略した「パソコン」が和製英語だから、「ノーパソはノートパソコンを短くした言い方だよ」と言われても、外国人にはさっぱり意味が分からない。
彼女は「コスパ」も同じだと言う。
「コスパは“コスト・パフォーマンス”の略だって言われても、コスト・パフォーマンス自体が和製英語だから、そこからして意味不明。日本人が作った和製英語をさらに省略した言い方が、外国人に通じるわけないでしょ。」
では、「パソコン」を英語で何と言うのかというと、単に「コンピューター」でOKらしい。
だから、デスクトップパソコンは英語では「desktop computer」になる。
そのアメリカ人は 「personal computer(パーソナルコンピューター)」と聞くと、自分の好きな動画や旅行の写真を保存したり加工したり、個人がプライベートに使うコンピューターを連想する。
逆に、会社が従業員に与えるもので、仕事のためだけに使うコンピューターを「ワークコニュニティー」と呼ぶ。
パーソナルコンピューターは個人の趣味、ワークコニュニティーは業務用になるから、この2つは使う目的がはっきり違っている。
そのアメリカ人の考えからすると、ノートパソコンを省略した言い方を作らなくても、日本人が最初から、「ラップトップ」という英語を採用したらよかったのに、と思うらしい。
そう言われると確かに。
AIにその理由を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
・日本人は膝に乗せて使うよりも、テーブルに置いて使うことが一般的だから、英語の「laptop」より、「ノートパソコン」の方が表現として適切。
・デスクトップパソコンと比べて、ノートパソコンという表現は薄くて軽く、持ち運んで使えるメリットを強調している。
・メーカーや販売業者が、日本の消費者に親しみやすい言葉として「ノートパソコン」を採用した。
まぁ、日本人の日本人による日本人のための用語として、ノートパソコンという和製英語が考案されたことは間違いない。
でも、これから新しい言葉を作る際には、「国際化」の要素も重視した方がいい。
外国人には「なぜ?」の和製英語:コスパ・ハイタッチ・ハイテンション
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もし違ったら本当に申し訳ないのですが、洋楽の和訳動画をYouTubeでアップされてませんか?
こんにちは。
それは私ではないですね。
洋楽は聞きませんから。
日本でもかつては(据え置きのデスクトップコンピュータじゃない)可搬型のコンピューターをラップトップコンピューターと呼んでいましたね。
当時は重量が7kg程度はあり「アメリカ人にとってはLaptopでも日本人にはLap Crasherだ」と揶揄される事もありました。
その後、東芝のDynabook(A4ファイルサイズ、重量が約3kg)が、それまでのラップトップコンピュータと差別化を図るために「ノートブックコンピューター」として発売され、以降ラップトップより小型で可搬性の高いコンピュータを「ノートブック(省略してノート)」と呼ぶようになりました。
「ラップトップ」とは大きくて重い(古臭い)可搬型のコンピュータ、「ノートブック」とは小さくて軽い(より新しい)可搬型のコンピュータとなったんですね。
そして日本ではラップトップコンピューターは絶滅、可搬型のコンピューターの呼び名として「ノート」だけが残ります。
※アメリカでは大きいノートパソコンを「Laptop」、小さいノートパソコンを「Notebook」と呼ぶこともあるようですが。
名に歴史あり。
辿れば色々な経緯がありそうですが「ノートパソコン」という和製英語が初めから存在した訳でないこと留意いだだければ幸いです。
おおっ。
かなり詳しい事情をご存知ですね。
紆余曲折があって「ノートパソコン」にたどり着いたのですか。
こんな進化の過程があるのは世界で日本だけでしょう。