日本との関係で、親日ポーランド人が“意外”に思ったこと 

 

ポーランド出身でアメリカの大学を卒業した後、日本の学校で英語を教えていて、いまはアメリカに住んでいる知人がいる。
最近、彼女と話をしたから、今回はその内容をシェアしようと思う。
日本が好きで親日的な彼女は話の中で、日本との関係で意外な発見があったらしい。

 

ーーこの前、ポーランドへ帰っていたんですよね?
数年ぶりのポーランドはどんな感じでした?

久しぶりに行ったら、街がすっごく発展していたのが印象的だった。
ポーランドが経済的にうまくいっている理由? 何だろう、すぐに答えが出てこない。

ーーそういう時こそ AIですよ。
(カチャカチャ)AIが出した答えは、ポーランドは自動車や電子機器の製造と輸出で、利益を上げているとのことです。

本当に?
それは予想外。
でも、経済発展の一番の理由は、2004年にポーランドが欧州連合(EU)に加盟したことだと思う。

ーーーそれに、ポーランドは観光業も盛んみたいですね。
クラクフの旧市街やヴァヴェル大聖堂なんかが、人気の観光スポットになっていると。

クラクフは昔、ポーランド王国の首都として繁栄した都市で、日本でたとえるなら、京都みたいな歴史のある古都。
ヴァヴェル大聖堂かあ。
それもクラクフにあるんだよね。
私が中学生のころ、学校の旅行でヴァヴェル大聖堂に行った思い出がある。でも、行った記憶があるだけで、どんな場所だったかあんまり覚えてないww

ーーウィキベテアによると、11世紀に建設がはじまり、ポーランド国王がここで戴冠式を行ったそうです。
そして、この場所には、ポーランドの偉人や歴代の国王が埋葬されているそうです。

そうなんだ。
学校の旅行ではガイドがいたから、そんな説明をしたと思うけど、もうまったく覚えてない。
日本でそういう場所はある?

ーー火葬と土葬の違いは別として、天皇や歴史上の偉人を一緒に埋葬した場所は無いですね。

 

ユゼフ・ピウスツキ(1867年 – 1935年)

 

ーーおや、ポーランドの建国の父で初代国家元首のピウスツキさんも、ヴァヴェル大聖堂に眠っているですよ。
この人は、日本でもわりと知られてますよ。

ポーランドではもちろん有名だけど…、でも、なんで日本人が彼を知ってるの?

ーーピウスツキは日本へ来たことがありますから。

ええっ?
なんで彼が日本へ行ったの?

ーーポーランドは日露戦争の時、ロシアの支配下にあったから、独立を考えていたピウスツキが東京へ来て、日本の政府関係者と会ってポーランドとの同盟を持ちかけました。
まぁ結局は、あまりうまくいきませんでしたが。

そんな歴史があったんだ…。

*日本陸軍の軍人・明石元二郎はポーランドへ資金を提供し、ロシアに対する武装蜂起を支援した。

ーー日露戦争では、ポーランド人がロシア軍の兵士として、日本軍と戦っていたんです。
それで、ピウスツキは日本政府に、捕虜になった約4600人のポーランド人捕虜の待遇を良くしてほしいとお願いした。
日本はそれに応えて、松山市にいたポーランド人を手厚く扱った。

そんなこともあって、彼は日本に好印象を持っていたんです。
その後、ポーランドが独立し、ピウスツキが最高実力者になると、彼は日露戦争で活躍した日本軍の将校たち51名に勲章を与えたんです。
外務省のHPにも、日露戦争で日本がロシアを破ったことで、「日本人に対するポーランド人の好感情は今日までつづいている」とあります。(ポーランドという国
ピウスツキが日本とポーランドの友好関係の橋渡しになったことは、下のサイトにも書いてあります。

知られざる親日国。なぜポーランドの人々は日本に感謝し続けるのか

でも、あなたが初めて聞いたということは、ほとんどのポーランド人はこの感動秘話を知らないでしょうね。

ええ。
ピウスツキが日本へ行ったことを知っているポーランド人なんて、本当に少ないと思う。
それに、日本でポーランドが「親日国」と言われていることも知らなかった。
日本とポーランドの関わりは薄いから、ほとんどの人は普段の生活で日本を意識することはない。
若い世代なら、日本と聞いたら日露戦争じゃなくて、寿司を思い浮かべる。
今日は、意外なことが分かってよかった。
ありがとう。

ーーボクとしても、「なぜポーランドの人々は日本に感謝し続けるのか」という情報が先入観としてあったから、その反応は意外でした。
というか、正直ガッカリしました。

 

ポーランドの首都ワルシャワ

 

時々、こんなことがある。
ネットで「~で日本は大人気だった!」という話を知って、その国の人に確認したら、「えっ? そうなんですか」と言われて、肩すかしをくらうようなことが。
だから、ネットとリアルは分けて考えたほうがいい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。