最近、日本に住むインド人のヒンドゥー教徒が、こんな写真を SNSにアップした。
花に包まれて、ゾウの頭とメタボなお腹を持つこの神さまはガネーシャという。
ヒンドゥー教で最も尊敬されているのがヴィシュヌ、ブラフマー、シヴァの3つの最高神で、最も人気のある神さまがおそらくガネーシャだ。
2023年は9月19日から、ガネーシャの誕生祭(ガネーシュ・フェスティバル)が始まる。
それで、このインド人は祭壇の上にガネーシャの像を置き、食べ物や飲み物をお供えして祝っている。
ガネーシャ様は、人間の子どものように甘いモノが大好きだ。
ガネーシャの鼻が曲がっているのは、左手に持ったお菓子を食べているからで、写真のお供え物もスイーツらしい。
日本人の感覚で言うと、神を崇拝するというよりも、推しのアイドルの生誕祭をするような、親しみやすいイベントだと思う。
ガネーシャ神の守備範囲はとても広い。
障害を取りのぞく、幸運をもたらす、芸術や学問を守護するといった役割を持っていて、特に商売繁盛の神として有名だから、商売人から絶大な支持を受けている。
ガネーシャは、人びとが日常生活で望むことをかなえてくれる神だから、インドを超えて東南アジアでも大人気だ。
日本の神道も多神教で、八百万(やおよろず)の神々がいるだから、幸運や金運のアップ、商売繁盛、芸術や学問の神さまはいる。
ちなみに、この場合の「八百万」は具体的な「800万」ではなく、「数えきれないほど多い」という意味。
でも、ガネーシャについては、神道の神には無そうなユニークな役割がある。
ガネーシャは「始まりの神」とされていて、儀式を行う際には最初に祀られるのだ。
As the god of beginnings, he is honoured at the start of rites and ceremonies.
ガネーシャはあらゆる障害を取り去ってくれるから、まず最初にガネーシャを祀ることで、その儀式はうまく進むと信じられている。
この「始まり」の意味は、個人の解釈や願いの数だけ、まさに八百万のようにある。
冒頭のインド人は数年前、日本の大学に留学することが決まって、インドからこのガネーシャ像を持ってきた。
そして彼女は日本の寮に到着すると、まずガネーシャを祀って、これから始まる新しい生活がすばらしいものになるように祈った。
人生には引っ越しや入学、結婚など、さまざまな重要な節目がある。
インドでは宗教儀式も多いから、ヒンドゥー教徒にとって、始まりをつかさどる神・ガネーシャは常に身近で、欠かすことのできない存在だ。
それにガネーシャは愛きょうがあって親しみやすいから、人気が爆発したと思われる。
ガネーシャの生誕祭(ガネーシャ・チャトゥルティ)では、人びとがガネーシャの像を引っ張って街中を移動させる。
最後にその像を川や海に流すことによって、ガネーシャは本来の場所(天)に帰るとか。
インド人からは、こうすることによって、ガネーシャが街や人びとの障害を取りのぞいてくれるという話を聞いた。
その意味では、ガネーシャ・チャトゥルティは山や鉾(ほこ)が京都市内を練り歩き、厄災を取り除く祇園祭と似ている。
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