日本通の外国人が考える、お盆とハロウィンの共通点・違い

 

きょう10月28日の土曜日は、日本でハロウィンがいちばん盛り上がる日。
渋谷区にとっては、酔っぱらいが暴れたり大量のゴミが残されたりして、とっても頭が痛くなる日。
毎年トラブルが起こるから、ことし渋谷区は、「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」と書かれたでっかいポスターを設置して、パリピどもに「NO!」を突きつけた。
このハロウィンを日本の行事で例えるとしたら、それはいったい何だろうか?

以前、日本に興味のある外国人が集まるSNS上のグループで、外国人のAさんが「お盆について教えてほしい」と投稿した。
すると、日本に住んでいて歴史や伝統文化にくわしそうな外国人のBさんが反応し、日本のお盆はハロウィンと似ていると指摘する。
Aさんは「そうなんですか!」と驚き、続けてこんな質問をした。

「Do people dress up in horror movie clothing and vandalise things?」
(人々はホラー映画の衣装を着て、街にある物を破壊するのですか?)

「そんなわけない(笑)」とBさんは笑顔で否定して、こんな説明をする。

「Modern day Halloween is commercialized and has no religious significance any more. Obon still has spiritual implications, even if not all Japanese people pray at shrines.」

(現代のハロウィンは商業化され、宗教的な意義はもうありません。お盆は、すべての日本人が神社でお祈りをするわけではありませんが、まだスピリチュアルな意味合いが残っています)

 

 

キリスト教(カトリック)では、11月1日にすべての聖人を祝福する「諸聖人の日( All Saints’ Day)」があり、続く2日には亡くなった信者のために祈る「死者の日(All Souls’ Day)」がある。
ハロウィンは諸聖人の日の前夜祭だ。
クリスマスの前夜が「イブ」(イブニングの略)として祝われるように、キリスト教の世界では、人々の気分を高めるために前夜祭が行なわれる。
(内容や目的はまったく違うが、日本でいうと、お葬式の前に行う通夜がこれに相当するらしい。)

すべての聖人(Hallows)のための日(=諸聖人の日)の前夜を意味する「All Hallows’ Eve」を語源として、「ハロウィン(Halloween)」という言葉が生まれた。
ハロウィン・諸聖人の日・死者の日の3つをまとめて「オールハロウタイド」(Allhallowtide)という。
「すべてのキリスト教の聖人や亡くなった家族を偲(しの)んだり、祝福したりする期間」と考えていいと思う。
さっきのBさんはそう考えていて、お盆とオールハロウタイドにはこんな共通点があると指摘した。

「a time to see family and remember those who has passed away」
(家族と会い、亡くなった人を思い出す期間)

この人の場合は、母親が好きだった飲み物を飲んで、母との日々を思い出すらしい。

 

昔のイギリスにいたケルト人は、10月31日にこの世とあの世の境界が薄くなり、霊や精霊、妖精といった異世界の住民がこの世に入ってくると考えていた。
これが現代のハロウィンの元ネタで、人間以外のナニカに仮装をするという発想につながった。
この発想は、先祖の霊がこの世に戻ってくるというお盆とそっくり。
一年の特定の日に、死者が帰ってくるという発想は中国やメキシコにもある。
知人のドイツ人は、10月31日になると墓地へ行って、祖父母の墓にロウソクを灯(とも)すと話していた。
日本の文化にくわしい外国人のBさんは、お盆ではナスとキュウリで精霊馬を作り、ハロウィンではカボチャを使ってジャック・オー・ランタンを作るなど、どっちにも野菜を使うという共通点にも言及した。

 

10月31日には、愛する人のためにキャンドルを灯したり、花を供えたりする人もいる。

 

・子どもが近所の家々を回って、「お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ(Trick or Treat)」と言う。
・カボチャをくり抜いてジャック・オ・ランタンを作る。
・大人がパーティーをしたり、仮装して街なかを歩いたりする。

日本人が想像するこんなハロウィンはアメリカの大衆文化で、キリスト教の教えや伝統とはほとんど関係がない。
無宗教の日本人は、10月31日にハロウィンを楽しんで終わり。
でも、カトリック教徒にとっては「諸聖人の日」で聖人に祈ることが重要。
もし、日本人が宗教的な意味合いのハロウィンをしたかったら、墓地へ行ってキャンドルを灯せばいい。
そうすれば渋谷区長もきっとよろこぶ。

 

世界的に有名で、ハロウィンのイメージに影響を与えているニューヨークのハロウィン。
渋谷のハロウィンはパレードがないだけで、このパクリだろう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。