今もあるか分からないけど、浜松駅にはこんな英語の案内があった。
「Get Off」は命令形だから、これを見たアメリカ人は「なあ、聞こえなかったのか? さっさと降りろって言ってんだよ!」といった乱暴な印象を受けたらしい。
といっても、彼はこの英語を見て喜んだし、投稿を見た友人も面白がっていた。
日本では、翻訳アプリの英語をそのまま書いたような意味不明な英語表現がよくあるから、「今日はこんなのを見つけました!」とSNSに投稿する外国人がよくいる。
「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」と相田みつを先生も言っていたし、人が失敗するのは仕方ない。
ただ、外国人を笑わせるミスならいいとしても、イラッとさせるような間違いについては、事前に知って避けた方がいい。
以前、知り合いのアメリカ人女性が日本に住んでいて、中学校で英語を教えていた。
彼女は話をすることが大好きで、会話をすると、いつもこちらが防戦一方になる。
それと、発想が何というか「アメリカン」なのだ。
たとえば、インドネシア人が「日本のカキ氷をまだ食べたことがない」と言うと、彼女は驚いたような顔をして「本当?」と言って、「じゃあ、あなたはどうやって日本の夏を生き残ることができたの?」と聞いて、インドネシア人を苦笑させる。
個人的に、こういう感覚は日本人的ではないと思う。
このアメリカ人はニューヨークで生まれ育った黒人女性で、さまざまな民族や宗教の人たちと交流した経験があるから、知識や視野が広くて話題も豊富。
彼女のしゃべりのスキルの高さにはよく感心した。
それである日、「あなたは話をすることが好きですね」という意味で、「トークティブ」という単語を使ったところ、笑顔が消えて「それは失礼だ!」と怒られた。
あれ? 「talkative」って地雷ワードなの?
よく分からないけど、謝りつつワケを聞くと、その言葉には、「話の内容がうすい」とか「相手への配慮に欠ける」といったネガティブなニュアンスがあるから、侮辱的に聞こえると言う。
それでも、しょせんは英検2級の人間が言った英語だから、「次からは気をつけて」と恩赦をもらうことができた。
「話がうまいですね」と言いたいなら、「a good talker」と言えばいいらしい。
ただ、個人差があるから、別のアメリカ人は「トークティブ」と言われても気にしないと言う。このへんは言い方や状況、相手との関係によって受け止め方は違う。
韓国で見た謎の日本語
こういうことは世界中である。
日本に住んでるベトナム人が「超かわいい! 本当に日本らしい」と、SNSに上の写真を投稿した。
日本には外国人から見ると不思議なものがよくあって、あるドイツ人は四角いスイカにビックリした。
「日本の常識は世界の非常識」と日本人自身も言うし、日本人の発想や行動は変わっている。そんなことから、「日本人は変なんです」とか「変わった文化があるんです」と外国人に言いたい場合は、使う単語に注意した方がいい。
最近、日本にいるアメリカ人とイギリス人と話をしていたら、そういうときに「special」という言葉を使う日本人がたまにいて、ネイティヴからすると、少しイラッとくると言う。
「日本人はスペシャルなんです」と聞くと、彼らとしては、「私たちは別格なんです」と言われているような感じがしてしまう。
日本人は「special」という言葉を、「普通と違う」や「特殊」という意味で使っていると思う。
でも、アメリカ人やイギリス人は「普通より優れている」といった意味で使うことが多いらしい。
2人はそんな語感を身に着けているから、「あなたたちとは違うんです」と上から目線で言われているように聞こえる。
でも、そう言った日本人に悪気がないことは分かるし、単純に英語を知らないだけだから、英語講師として「そういうときは、“different” と言うといいですよ」とニッコリ教えるらしい。
いまの日本には、学習アプリが洪水のようにある。
でも、生きた人間が相手でないと、できない失敗や学びがある。
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