きのう11月9日は、1799年にフランスで「ブリュメールのクーデタ」がぼっ発し、フランス革命が終わった日らしい。
＊フランス革命の終結は考え方によって違う。
以前、日本の会社で働いていて、日本の歴史や文化に興味があるスペイン人女性と話をしていたとき、浜松市のゆるキャラ「家康くん」の話になり、その流れで豊臣秀吉が話題に上がった。
秀吉は1590年に天下を統一し、戦国時代を終わらせた後に朝鮮出兵を行い、その最中に亡くなった。
それで日韓では評価が逆転していて、日本では英雄視されているけど、韓国では侵略者として嫌われている。
そんな見方の違いがよく表れた出来事があった。
トヨタのCMで、木木村拓哉さんが演じる織田信長と豊臣秀吉（北野武さん）が21世紀の日本に復活して、トヨタの車でドライブをしながら会話をした。
このCMは日本人には好評だった一方で、韓国紙『中央日報』によれば、これは韓国人の「気持ちを逆なでした」。
ほかにも、こんな反応があったという。
「韓国を無視したもの」
「隣国も配慮できない企業が世界市場で再跳躍するというのは矛盾」
ソース：豊臣秀吉復活させたトヨタのＣＭ、「韓国無視」と非難の声（2011.12.06）
そんな「日韓あるある」の話をすると、彼女はこう言った。
「豊臣秀吉はナポレオンみたいね。彼もフランスでは英雄視されているけど、スペイン人にとっては侵略者だから嫌われてる」
なるほど。
秀吉を海外の人物にたとえると、スペイン人目線だとナポレオンになるのか。
ナポレオン・ボナパルト（1769年 – 1821年）
ナポレオンは1799年11月9日に軍事クーデターを起こし、総裁政府をぶっ倒して1804年に皇帝として即位した。
ナポレオンはフランスで国民的英雄として尊敬されていて、豚に彼の名前を付けることは法律で禁止されているのだ。
（まだ、この法は廃止されていないと思う）
ここまでなら、スペイン人が彼を嫌う理由はない。
しかし、ナポレオンはフランスの天下を取った後、スペインへ進軍（侵略）し、その地を制圧し、支配下に置いた。（半島戦争）
＊前半部分は秀吉も同じ。
1808年にスペインの民衆は自由を求め、武器を持って立ち上がったが、強大なフランス軍に勝てるはずもなく、鎮圧され、人々は虐殺された。
スペインの画家ゴヤはその悲劇を取り上げ、日本の教科書にも載っている下の作品『マドリード、1808年5月3日』を世に残す。
処刑をするフランス兵も辛かったらしく、顔を下に向け、市民から目を背けている。
しかし、その後もスペインの軍や民衆はフランスと戦い続けた。
スペイン人は小規模な部隊を組織し、奇襲攻撃や撹乱（かくらん）をおこなってフランス軍を悩ませる。
スペイン人はこの戦術を「ゲリーリャ」（小戦闘）と呼び、このスペイン語がゲリラの語源となった。
ただ、ゲリラのような戦い方は以前からあり、朝鮮出兵のときにもおこなわれた。
自由に質問し、それについて知識のある人が答えてくれる『クウォーラ』の英語版にこんな質問がある。
「Why did the Spanish dislike Napoleon?」
（なんでスペイン人はナポレオンを嫌ったのか？）
これに対する答えは、これまで書いたようにナポレオンがスペインを侵略し、破壊と殺りくをもたらしたから。
ある回答者（おそらくスペイン人）は、この出来事はスペインにとって大惨事（disaster）だったという。その人は、約100万人が死亡し、スペインの歴史に破壊的な時代を期間をもたらしたと指摘し、最後にこう書く。
「Asking why the Spanish dislike Napoleon is like asking why the Jews dislike Hitler.」
（スペイン人になぜナポレオンを嫌うのか聞くのは、ユダヤ人になぜヒトラーを嫌うのかと聞くようなもの）
日本では、豚に「ひでよし」と名付けても法的な問題はないから、豊臣秀吉はきっとフランスにおけるナポレオンほどの尊敬を受けていない。
でも、韓国人が秀吉を「ヒトラー」と呼ぶのは聞いたことがない。
ナポレオンに対するスペイン人の憎悪の方が強い気がする。
まあ、フランスのCMでナポレオンが出てきても、「スペインを無視したもの」と怒ることはないだろうけど。
一つの国に収まらないスケールの大きな人物だと、どこに焦点を当てるかによって、評価はまったく変わってくる。
それは「世界あるある」でよくあることだ。
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