中国の東北部はロシアに近いおっそろしく寒い地域で、ことしの1月にはマイナス53度という、文字を見ただけで震えるような寒さを記録した。
静岡住みのボクなら軽く死ねる。
最近、中国東北部を代表する都市・大連からやって来て、日本に3年以上住んでいる中国人(20代・男性)と会って話をした。
寒さについては大連はマシなほうで、1月の気温が-4.9℃と、静岡県民でもギリ生存可能。
そんな大連出身の中国人は、日本についてどう思っているのか?
大連駅は、東京の上野駅をモデルにして建てられた。
この地域はかつて日本が統治していたから、いまでもその影響が残っている。
ーーもう12月の後半です。
日本の冬がホンキを出してくるころで、寒くなってきました。
でも、大連に比べたら、まだまだヌルいですか?
いやいや、それはないです。
普通に寒いですよ。
ーーまえにロシア人から、こんな話を聞きました。
気温だけなら、ロシアのほうがずっと低いけど、浜松には強い風が吹くから、それがとても寒いと。
そのロシア人は、風の冷たさに慣れていなかったから、浜松の冬には別の意味で厳しい寒さを感じた。
君もそんな感じ?
大連も冬になると風が強く吹くから、浜松と似ているんです。
だから、風で窓がガチャガチャ鳴ると、「なつかしいな」って思います。
ーーボクは大連駅を見て、なつかしさを覚えましたが、そういうノスタルジーの感じ方もあるんですね。
日本では冬になるとミカンやカニ、おでんなんかを食べます。
大連ではどんな冬の味覚があるんです?
最近の中国は経済的に豊かになって、いまでは冬でもスーパーにはいろんな肉や野菜が並んでいるから、「冬の食べ物」は特に思い浮かびません。
でも、20年ぐらい前は冬になると、よく白菜とジャガイモを食べていましたね。
白菜を乾燥させるために、アパートの階段や廊下に白菜がずらりと並んでいる光景は冬の風物詩でした。
だから、白菜を見ながら階段を上がるんです。
ーー日本でも冬になると、魚や野菜を干すことはありますが、アパートの階段でそれをする話は聞いたことありません。
そのノスタルジーを日本で求めるのはムリですね。
まぁ、公共空間の概念が日本人とは違うってことでしょう。
話は変わって、日本での生活で不便だと感じることはありますか?
現金をよく使うことかな。
最近の中国では、買い物も移動もすべてスマホで済ませているので、相手に直接お金を渡す機会はほとんどないです。
でも、日本では現金をよく使うから、気がついたら、サイフにお金がなくなっていたってことがあります。
それで、いちいちお金を下ろしに行くのが面倒くさいですね。
ーー「日本は想像以上に現金社会だった」ってのはよく聞く話で、「来日外国人あるある」です。
では、日本の社会ではなくて、人の違いで感じることはありますか?
日本人はとても時間に正確で、それはいつも感心します。
大連の人たちは基本的に時間を守らないんですよww。
みんな時間どおりに来ないから、自分だけ守っていたら損します。
ーー正直者はバカをみる。
そんなシビアな社会なんですね。
違いますよ。
中国人は大らかな性格をしているんです。
さらりと中国をディスるのはやめてください。
中国の店で売っていたカイロ
日本語ガイドから聞いた話によると、中国で日本製には“高品質”のイメージがあるから、こうして日本語をちりばめて消費者をだまそうとしている。
こういうトラップを見ると、やっぱり正直者が生きづらい社会かなと。
性格や考え方の違いについて言えば、日本人はよく予定を立てますね。
友だちと遊びに行くのも、「〇月〇日の〇〇時から、△と一緒に〜を食べに行く」みたいな約束をしておいて、その通りに行動するみたいな。
中国人の場合だと、その場の雰囲気で「いまから〜しよう」と決まることが多いです。
日本人はよく「今週、来週末には〜をする」と予定を決めていますが、中国人の感覚だと、事前にいくつも予定が決まっているのは息苦しい気がして、何かイヤですね。
ーーなるほど。
つまり、中国人は「そんなことより野球しようぜ!」的なノリだと。
何を言っているのかよくわかりません。
あと、中国人は自己主張が強くて、口で言うことと心で思っていることがだいたい一致しています。
日本人の場合だと、口と心で違うことが多いじゃないですか。
だから、私には日本人の言う「空気を読む」ってのが苦手なんですよ。
ーーそれも代表的な「来日外国人あるある」です。
アメリカ人もドイツ人もタベトナム人も、そんな悩みを抱えていました。
ある中国人は「日本では漢字よりも、空気を読むことのほうがむずかしい」と言ってました。本人は「うまいことを言った」みたいに思っているんでしょうけど、ちょっと空気を読めてないですね。
ほかに感じた違いはあります?
まえに、ファストフード店でバイトをやっていたんですよ。
そのとき、モンスタークレーマーって言うんですか? くだらない理由で激しく怒る客がたまにいたんです。
そんなとき、日本人のスタッフは「はい、はい。すみませんでした」とずっと頭を下げていたんですけど、私は聞いてて腹が立ちました。
中国の店員なら言い返して、客と対等にケンカしますよww。
ーーそれについては、「お客様は神様です」の日本は中国を見習ったほうがいいですね。
店員に土下座を要求するとか、一線を越えた客がよく問題になります。
中国人スタッフを雇うのもいいかも。
なんですか、その「目には目を」みたいな言い方は。
ーーいえ、「ブレイキングダウン」的な発想です。
では、今回はこのへんで。
中国の肯德基(ケンタッキー)
「ワンピース」は中国語で「航海王」になる。
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