知人のドイツ人は、江戸時代を舞台にした『はぐれ狼』を観て、独特の世界観に衝撃を受けた。
そのきっかけで、彼は日本に興味を持って日本語の勉強をはじめ、日本の大学に留学した。
いまは母国のブレーメンにいる彼とこのまえ話をしたから、今回はその内容を紹介しょうと思う。
彼は京都で、とっても「日本らしい」スポットを見つけたらしい。
ーーそういえば、ことしの夏に日本へ来るとか言ってたよね?
そうそう。
20日ぐらい日本にいる予定だから、いまはその計画を立てているところ。
基本的には静岡にいて、日帰りか1泊2日で京都へ行くことは決まっているけど、それ以外はまだ未定。
ーーあれ?
京都にはもう何度も行っていて、清水寺や伏見稲荷大社みたいなド定番から、塔頭みたいなニッチなところまで、もういろいろな場所へ行ったよね?
今度は、YOUは何しに京都へ?
北野天満宮で月に一回、「天神市」が開かれるから、それに行きたいんだ。
その後は静岡に帰るか、気になる場所があれば一泊する予定。
ーーああ、「天神市」は毎月25日にあって、着物や工芸品なんかが売られていて、君の好きそうなところだ。
そこをねらって京都に行くっていうのは、誘導ミサイルみたいなピンポイント観光だね。
でも、そのために、新幹線で往復するっていうのはもったいなくない?
ないね。
たしかに新幹線は高いけど、日本はいま円安で、ドイツに比べれば物価が安いから。
ーーそうか。
ドイツを旅行していた日本人が、「駅の自販機で売ってるコーラ(500ml)が400円もする!」ってビックリしてたっけ。
*ドイツでは、駅で売っている飲食物は基本的に割高になっているから、市内のスーパーでコーラを買えばもっと安い。
まえに京都旅行をしていた時、東寺でに月に一回、市(弘法市)が開かれると聞いて行ってみたんだ。
そしたら大当たり。
神社やお寺でよくランタンが吊るされているのを見て、前々から欲しいと思っていて、いろんなお店で探したけど見つからなかった。
それが弘法市にあったから、思わず「ワオ」って声をあげて即買いしたよ。
ーー神社やお寺のランタン…、ああ「吊り灯籠」のことか。
あれは一般の日本人が欲しがるものじゃないし、それに高いから、売ってる店なんて見たことないよ。
でも、弘法市ならあるかも。
吊り灯籠
ほかにもそこで、青銅でできたサムライの像を買ったんだ。
ドイツに戻った後、おじさんにそのお土産をあげたら、すっごく喜んでくれたよ。
弘法市では、ドラマで見たことあるような骨董品やめずらしい品がたくさんあって、見ているだけですごく面白いし興奮した。
あとで調べてみたら、北野天満宮でも市をやっていることがわかったんだ。
そこへ行ったヨーロッパ人がユーチューブに動画をアップしていて、きれいな刀の鍔(つば)を買えたと自慢していた。
それはすごく素敵だったから、本当にうらやましい。
ーー弘法市や天神市は特殊なところだから、お土産屋にはないレベルの古美術品や古道具なんかがあるんだろうなー。
本物か知らないけど、埴輪まで売ってたし。
京都ならではの市だから、文化や伝統が好きな外国人にはたまんないだろうね。
それにいまの欧米人なら、日本の物価はただでさえ割安だろうし、きっと骨董品も日本人ほど高いとは感じない。
そうなんだ。
いまではドイツでも、街なかにラーメン屋や寿司屋があるし、ネットで日本のアンティークを買うこともできる。
でも、あんなに楽しくて、日本らしい雰囲気を味わいながら買い物ができる場所なんてない。
お金の問題じゃないんだよ。
ーーなら、そのために新幹線で往復する価値はあるか。
余裕であるね。
それに、ボクは日本語を勉強しているから、日本人と会話をしたいんだ。
日本のお店では、店員とおしゃべりすることは難しいけど、弘法市は自由な空気があるから、店の人は商品や自分のことを気軽に話してくれたし、ボクやドイツのことを質問してくれた。
あのコミュニケーションがまた良いんだよ。
ーーなるほど。
じゃあ、天神市を楽しんで。
もちろん。
いまからワクワクしている。
京都を旅行した外国人がSNSに、「ここはすごく日本らしい雰囲気があるんだ。みんなもぜひ行ってみてくれ!」と投稿していたのを見て、初めて「リド飲食街」を知った。
ここは、京都駅に近くにある穴場的な呑みどころ。
日本人からすると、昭和にタイムスリップしたような感じがする。
外国人が先斗町を知っていても驚かないが、こんな場所まで開拓していたのは想像外。
ドイツ人はバウムクーヘンを食べるのか? 日本の物とはどう違う?
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