いまや、日本の国民食として親しまれているカレー。
大地震があった石川県珠洲市のある避難所で、炊き出しのメニューで何を食べたいか尋ねたところ、人気ナンバーワンはカレーライスだった。
インド人が日本へ来ると、「こ、これがカレー?」と衝撃を受けることがよくある。
日本のカレーはインドから伝わったものじゃなく、インドカレーとは別ものなのだ。
日本初の西洋料理のレシピ本『西洋料理指南』(明治5年)には、「小麦粉を使う」と書いてある。
これはイギリス式カレーの作り方で、インドカレーとは異なる。
ちなみに、『西洋料理指南』によると、具材としてカエルを入れることになっている。
これはいまの日本人には、かなりハードなゲテモノか罰ゲームだ。
2006年6月2日に、「横濱カレーミュージアム」でそれを再現した日本最古のカレー「カエルカレー」が販売されたが、どれだけ売れたかは謎。
日本人の食文化:江戸は犬肉を、明治はカエル入りカレーを食べていた
6月2日は1859年に横浜港が開港した日で、それと同時にカレーが日本に伝わったという説にちなんで、「カレー記念日」となっている。
そしてきょう1月22日は、1982年に小中学校でカレーが統一メニューになったことから、「カレーの日」。
日本人はカレーが好きすぎて、記念日を2つも作ってしまった。
まえにモンゴル人と話をしていると、「日本語に由来するモンゴル語」の話題になった。
彼女が言うには、その一つに「カレー」がある。
しかし、日本語の「カレー」は英語に由来するから、それはちょっと微妙。
さらにその英語の起源はインドにあって、ソースを意味するタミル語の「カリ」や、「おいしいもの」を表すヒンディー語の「ターカリー」がカレーという言葉の“元ネタ”とされている。
では、なんで「カレー」という日本語がモンゴル語になったのか?
もともとモンゴル料理にカレーはなく、日本から伝わったカレーが人気を集めたから、カレーという言葉も社会に定着したという。
「仕事や留学で日本へ行ったモンゴル人が母国へ伝えたのでは?」と彼女は推測する。
モンゴルのスーパーでは、日本の食品メーカーのカレー粉が売っていて、モンゴル人はそれを使ってよくカレーを作る。
だから、モンゴル人がカレーと聞くと、一般的には日本式カレーを思い浮かべるという。
歴史をたどると、カレーはインドからイギリスへ伝わり、その後イギリスから日本へもたらされた。
日本ではそれが「カエルカレー」というゲテモノから始まり、独自の進化をとげ、日本からモンゴルへ伝わったらしい。
モンゴルはカレーの「真空地帯」だったから、いまでは日本のカレーが標準になったようだ。
*ここでいうモンゴルの話は、ほとんど首都ウランバートルのことで、地方へ行くと事情はかなり違う。
日本とモンゴルは1972年に外交関係を樹立し、現在まで友好を育んできた。
その50周年を記念して、2022年に「ジャパンフェスティバル・イン・モンゴリア」が開催され、約1万人のモンゴル人が日本文化を楽しんだ。
このとき日本からは「上等カレー」が参加して、約600食用意したカレーは完売したという。
こういうイベントの影響もあるのだろうけど、知人がいうには、モンゴルでカレーはインド料理ではなく、日本料理と考える人が多い。
すまんなインド。
カレー大好きモンゴル人のサイト「Curry lovers in Mongolia」では、日本カレーの作り方が紹介されている。
エスビー食品のカレーはかなり親しまれている様子。
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