「イギリス」という言葉は和製英語で、そんな国は日本にしかない。
その国の正式名称は「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」で、英語では「United Kingdom(連合王国)」を略した「(The)U.K」と呼ばれている。
この「ユーケー」はイングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの4つの「国」で構成され、サッカーW杯でもそれぞれが独自に参加している。
だから、この4つをイギリスの「地方」と考えてはいけない。
そんな見方にイラッとするスコットランド人もいるのだ。
それに対して、韓国と北朝鮮の関係はまさに反対。
この2国はお互いを「地方」と見ていて、「国」とは認めていないのだ。
朝鮮戦争のころの様子
昨日、サッカーの日本女子代表「なでしこジャパン」が北朝鮮に勝って、パリ五輪への出場を決めた。
しかし、北朝鮮の「本当の敵」は別にあった模様。
東スポウェブの記事(2024年2月27日)
【なでしこ】北朝鮮監督 前日会見で韓国メディアと一触即発「我々は北韓チームではない!」
日本戦の前に行われた会見で、北朝鮮の監督は機嫌よく話していたが、韓国メディアの記者が「禁句」を口にした瞬間、表情が一変する。
その記者が北朝鮮を「北韓」と呼ぶと、監督は「われわれは北韓チームではなく〝朝鮮民主主義人民共和国〟チームだ!」と怒り、正しい国名を使わなければ質問を受け付けないと口を閉ざす。
すると、記者は「わかりました。では、朝鮮民主主義人民共和国が〜」と応じることはなく、国名を言わずに質問をした。
韓国人の立場では、公の場でそんな言葉を使うことはできない。
質問を拒否する北朝鮮側と、国名を拒否する韓国側がにらみあい、現場は一触即発の緊迫した雰囲気につつまれたという。
戦後、朝鮮半島は韓国と北朝鮮の2つに分かれ、1950年に北朝鮮が「祖国統一」を求めて奇襲攻撃を仕掛けたが、韓国の粘り強い抵抗にあって成功せず。
この戦争は53年に休戦協定が結ばれ、戦闘は停止したが、戦争そのものはまだ終わっていない。
韓国も北朝鮮も、自分たちが朝鮮半島の正統な政府とし、相手を「国」として認めていない。
未回収の「地方」で、いずれ自国に統一されるべきと考えている。
*韓国側では、このへんの認識は少しずつ変わっているけれど。
この立場から韓国は北朝鮮を「北韓」と呼び、北朝鮮は韓国を「南朝鮮」と呼ぶ。
立場が逆だから、見方も反対になる。
日本で「朝鮮戦争」と呼ばれるものが、韓国では韓国戦争、または開戦日にちなんで6.25戦争と呼ばれ、北朝鮮では祖国解放戦争と呼ばれている。
「朝鮮半島」も韓国では「韓半島」になる。
だから、自国の指導者や国民、世界中の人たちが見ている場で、北朝鮮サイドが「北韓」、韓国サイドが「南鮮(南朝鮮)」という言い方を認めることはできない。
これは、絶対に負けられない戦いだ。
韓国で見た像
2つに割れた祖国をひとつにしようとしている。
サッカーW杯ではバラバラのイギリスも、五輪では協力し、4カ国が一つになって参加している。
その際のチーム名は、グレート・ブリテンから「GB(Team GB)」。
韓国と北朝鮮にもそんな瞬間があった。
五輪やアジア競技大会などの国際大会では、「南北統一」が実現したことがあり、その合同チームは中立的な「コリア」と呼ばれた。
2018年には卓球の世界大会では、こんなイレギュラーなことがおきた。
韓国と北朝鮮の女子チームが勝ち上がり、準々決勝で対戦するはずだったのに、両国が試合をキャンセルし、とつぜん南北合同チームの「コリア」が爆誕し、準決勝に進出したのだ。
このミラクルの背景には、準決勝の相手が日本だったことがあったはず。
2国の強豪選手で1つのチームを結成したから、当時は「チート行為」という声もあったが、「コリア」は日本に返り討ちにされた。
イギリスの国内事情は複雑で、スコットランド人に「あなたはイギリス人ですよね?」と言えば、「なわけねーだろ!」と怒られる。
韓国と北朝鮮はいまも「戦争状態」にあるから、関係はそれよりも複雑で、「北韓」と言ったとたん、その場の空気は急変し一触即発となる。
このキケンな関係が改善する兆候はいまのところ何も無い。
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