韓国にはK-ポップやK-フードという強みがある一方で、日本と比べると、全体的に地方の魅力に欠けている。
だから、外国人は日本や中国を旅行先に選ぶ。
いま韓国の旅行業界では、そんな課題が指摘されているという。
この記事で引用した朝鮮日報のコラムによると、最近、韓国の人たちは、ソウルの有名観光スポット「広蔵市場(クァンジャンシジャン)の魅力が失われたとガッカリしている。(2024/03/09)
その原因としては、外国人観光客の爆発的な増加とそれを目当てにした店側の価格設定がある。
外国人でいっぱいの風景や価格を水増しする「小ざかしい商売」を不愉快に思う内国人の相当数が訪問をためらっている
ユニクロ心斎橋の「大阪弁POP」
ソウルの広蔵市場
10年以上にここを訪れた時は、外国人がほとんどいなくて、庶民の熱気を感じられる「穴場的」なスポットだったのだけど…。
そんな広蔵市場の現状を知って、20年以上前から京都に住んでいる知人の話を思い出した。
「京の台所」の錦市場も最近はそんな状態で、彼女は「もう死にそうやねん」と嘆きを超えて、存亡の危機を感じていた。
その知人は以前はここに行って、正月用の飾りや祇園祭で使うものを買うことが大好きだった。
でも、錦市場に外国人があふれ、店側もそんな観光客をターゲットに定めて様変わりすると、ここへ足を運ぶことがめっきり減った。
以前は、四条河原町から歩いていき、錦市場を西側から、いろんなお店を見ながら歩くのを楽しみにしていたけど、いつの間にか、前後左右を外国人に囲まれ、ストレスを感じるようになる。
内側からも変化が現れた。
インバウンドを意識した店や屋台が増えたから、昔の錦市場を知っている人間からすると、見ていて残念な気持ちの方が大きい。
特に、ドラッグストアができたのは衝撃的だった。
そんなわけで、今では南側から縦に入って、最短距離で目的に店へ行くようになった。
ここは常連客を相手にしている店で、店員も最近の錦市場の変化には「目も当てられない」と嘆いている。
店員は、外国人をねらった強気の価格設定なんて、どうせ長続きしないと言っているが、知人からすると、その前に店がつぶれ、代わりにファストフード店ができそうで不安しかない。
最近の錦市場を訪れた日本人の SNSの投稿を見ても、否定的や悲観的な声が多い。
・日本人にとっては「ぼったくり値段」でも、外国人観光客には「お手ごろ価格」なんだろうね。
・「京都人の台所」が「ガイジン通り」になってしまった。
・日本酒がお試し一杯100円、串刺しの天ぷらが600円になっててビックリ。好きだったけど、さようなら。
錦市場の串刺しの天ぷら
外国人はどう思っているのか?
トリップアドバイザーの「Nishiki Market Shopping District」では、5点満点で「4」と評価はとても高い。
では、その中で最高と最低の評価を見てみよう。
○五つ星を付けた外国人
・This is an amazing market! It’s like nothing I’ve ever seen before. It felt endless and had so many amazing foods, shops, and experiences! It’s. Must see! We went three times at different times of the day just to experience new things!
ここは素晴らしい市場だ!
それまで見たこともないような感じ。
いつまでも続く感じで、たくさんの素晴らしい食べ物やお店、体験があった!
必ずここを訪れなければならない。
わたしは時間を変えて3回も行った!
*以下、日本語訳のみ。
・信じられない体験だった!
新鮮な肉の串焼きや土産物屋などいろいろな店があって、ここには見るべきもの、体験する価値のあるものがたくさんある。
・この魅力的で巨大な市場には、日本食、特にうなぎ、タコ、エビなどの魚介類が豊富にそろっている。
○一つ星を付けた外国人の意見
・It’s no longer a good old Nishiki market anymore
I hate to say this but this is not worth a visit compared to other markets in Japan.
古き良き錦市場はもうなくなった。
こんなことを言いたくないが、日本のほかの市場と比べて、ここは訪れる価値がない。
*以下、日本語訳のみ。
・1800円の和牛串はまあまあだった。
しかし、全体的に過密状態で、サービスは悪いし値段も高く、食べ物の質も低い。
・人が多すぎてゆっくり見て歩けない。
わたしは東南アジアで屋台をよく利用していて、食べ物についてはうるさい方ではないが、ここには食べたいと思うものはひとつもなかった。
外国人でさえ「外国人が多すぎる…」と、ツッコミどころしかない不満を言っているのだから、京都人が思い描く錦市場は本当に絶滅寸前なんだろう。
これから錦市場はどうなるのか?
何かしらの変化が起きて、知人の知る「京の台所」が戻ってくるかもしれない。しかし、それよりは、現状が通常になって「ニシキ・マーケット」になる予感の方が大きい。
日本人観光客もしばらくは、「a good old(古き良き)錦市場」は期待しない方がいい。
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