4月7日は、1945年に日本海軍の誇る戦艦大和が米軍の攻撃をくらい、沈没した残念な日。
戦艦の攻撃力でいえば、戦艦史上最大の46センチ主砲を搭載した大和と武蔵は世界最強だった。
しかし、第二次世界大戦の末期、そんな「大艦巨砲主義」の考え方は時代遅れとなり、大和は米軍の戦闘機や爆撃機などの攻撃を受け、最期は鹿児島県の西方の海に沈んだ。
大和が爆発し、それによって生じた火柱やキノコ雲は鹿児島から見えたという。
上は攻撃される大和で、下は大爆発して沈む瞬間。
大和や武蔵のように、日本海軍では、地名にちなんで戦艦の名前がつけられることが一般的にあった。現在の海上自衛隊でも、「いずも」や「かが」などの艦船がある。
対して欧米では、イギリスの皇太子に由来する戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」のように、偉人や有名人にちなんで軍艦の名前がつけられることが一般的だ。
この「プリンス・オブ・ウェールズ」は日本軍の攻撃を受けて沈没した。
日本人の感覚なら、そんな不吉なことが起こる可能性のあるモノに、皇族の名前をつけることはない。
しかし、今でもアメリカやイギリスでは、空母にジョン・F・ケネディやクイーン・エリザベスといった実在した人物の名前をつけるが多い。
日本では昔から、船に「〜丸」という名前をつける習慣がある。
例えば幕末には、幕府の船として、初めて太平洋を往復した咸臨丸(かんりんまる)があった。
また、16世紀には、九鬼水軍を率いた武将の九鬼嘉隆が建造した「鬼宿(きしゅく)丸」を、豊臣秀吉はもっとも優秀な船として「日本丸」と名付けたこともある。
日本の船に「〜丸」と名付けた最初の記録としては、12世紀の書物に「坂東丸」という船が出てくる。
これは日本独特の発想で、外国人から見ても特徴的。
英語版ウィキペディアには、日本人の船名のつけ方は西洋の一般的な命名法と異なり、商船の名前には「丸」が含まれるという解説がある。
Japanese ship names follow different conventions from those typical in the West. Merchant ship names often contain the word maru at the end (meaning circle)
日本の軍艦には人名ではなく、山や島、気象現象などの名前が採用されることも触れている。
日本人が船に「〜丸」と名付けた理由について、まえに日系ブラジル人から、ポルトガル語に由来するという話を聞いたことがある。
初めて日本に来たヨーロッパ人は、16世紀に種子島に漂着したポルトガル人で、それがきっかけとなり、日本とポルトガルの交流がはじまった。
そして、ポルトガル語のパン、カステラ、ボタンなどが日本語に取り入れられた流れで、海洋国家ポルトガルの「マール(mar:海)」という言葉が、日本では船の名前につけられるようになったという。
でも、12世紀にすでに「坂東丸」があるから、この説は事実ではない。
日本人が船に「〜丸」と名付けるようになった理由は諸説あるが、有力なものは船を擬人化したという説。
古代の日本では、船をヒトのように考えて、名前や地位(位階)を授けることがあった。
例えば、8世紀の遣唐使船には「播磨」や「速鳥」といった名前があり、貴族に相当する従五位下の身分が与えられている。
柿本人麻呂や坂上田村麻呂のように、人の名前に「麻呂(麿)」が使われていて、それが「丸」に転化し、人間だけでなく、船も「〜丸」と呼ばれるようになったという説がある。
また、鎌倉幕府の執権・北条 時頼(ときより)が愛刀に「鬼丸」と名付けたように、昔の日本では刀をはじめ、大切なものを人に見立てて「〜丸」と名付けることがあった。
「ここで永久に凍ってろ」の氷輪丸も、この発想で命名されたと思われる。
ほかにも、船を“水上に浮かぶ城”として考え、城の曲輪(くるわ)を「丸」と呼ぶことに由来し、それを船名に採用したという「城郭説」もあり。
個人的には「擬人化説」を強く推したい。
日本には神道の影響から、木や石などの自然物に魂が宿るという発想が古代からあった。いっぽう、西洋ではキリスト教の影響でそんな考え方は厳禁されていた。
日本人には船を人と一体化する傾向が強いから、ジョン・F・ケネディやクイーン・エリザベスといった実在した人の名前をつけるのは生々しく感じられたから、それは避けられた。
日本人が尊敬する人物と同じ名前の船が敵に爆破され、沈没するというのは精神的なショックが大きい。
日本国を意味する「大和」が沈んだことについて、今でも縁起が悪いと感じる人もいるのでは?
しかし、身近で命を守る重要な船に“魂”を感じ、親近感から、人にちなんで「〜丸」という架空の名前をつけることはできた。
そういうことだと思います。
> 個人的には「擬人化説」を強く推したい。
> 身近で命を守る重要な船に“魂”を感じ、親近感から、人にちなんで「〜丸」という架空の名前をつけることはできた。
そうかもしれません。その可能性は高いと思います。
でも私としてはもう一つ、「~号」という呼び方が気になります。乗り物とか、警察犬とか、死んだペットとか。いつ頃から、どういう意味で、始まった習慣なんでしょうか?
自分が飼っていた犬が死んだとき、ペット専門の寺院墓地へ持って行ったら位牌に「○○号」という名前を書かれて少し違和感を覚えました。うちの仔は警察犬じゃないのですけど・・・。
たしかに。
ちょっと調べてみましたが、「号」のナゾは解けませんでした。