先日、日本に住んでいるイギリス人(30代・女性)と買い物へ行ったので、今回はその時にした話を紹介しよう。
ーーそれは、すごくイギリスを強調したチーズだ。
イギリス人としてそのユニオン・ジャックに惹かれた?
イギリス人「“ユニオン・ジャック”って、なんか海賊みたいな響き。でも、たしかにそれもある。ところで、このユニオン・フラッグの意味は知ってる?」
*「ユニオン・ジャック」と言っても間違いではない。
ーー知ってる。
「イギリス」は日本語で、英語だと連合王国(United Kingdom )を略して「UK」になる。
イングランド・スコットランド・アイルランドの国旗が一つのデザインになったものが、イギリスの国旗ユニオン・フラッグになると聞いた。
*「ユニオン・ジャック」と言っても間違いではありません。
イ「正解。パチパチ。それにしても日本語を学んでいて、“イギリス”という単語を知った時は衝撃的でしたわ。なんでわが国がそう呼ばれるのか、さっぱり分からなかった。」
ーー「イギリス」はポルトガル語が由来らしい。
戦国・江戸時代に来たポルトガル人がイングランドを「イングレス」と呼んでいて、それが日本語化してイギリスになったと。
ユニオン・フラッグの構成
ーーデイリー(乳製品)は日本よりも、やっぱりイギリス製の方がいい?
イギリス人「えっ? ああ、デーリー(dairy)ね。デイリー(daily)だと“毎日の”って意味になる。これは乳製品(dairy product)ね。」
ーーああ、LとRを間違えてたか。
日本人が英語でよくやるミスだ。
イ「大丈夫、私もやっちゃうから。」
ーーイギリス人もLとRを間違えるの?
イ「日本語でね。“ありがとう”の発音は“aligatou”なのに、つい“arigatou”って言っちゃうの。」
*「L」は舌を上につけて、「R」はつけないで発音する。
「ラックス・スーパー・リッチ」を早く言うと、ラが「L」で、リが「R」に近い発音になる。
イ「話を戻すと、イギリスのチーズはやっぱり日本のものとは味が違う。特に、この“AGED”というのがポイント。」
ーー人間だと「お年寄り」だけど、チーズなら「熟成した」という意味か。
関係ないけど、簡単な英語でも、使い方しだいでけっこういろんな表現ができるよね。「このワインは何年もの?」は「How old is this wine?」でいいとか。人に年齢を聞くのと同じ発想とは思わなかった。
イ「関係なくはないかな。熟成チェダーチーズとワインはすっごく合うのよ。」
ーーその組み合わせは本当にヨーロッパ的で、日本の食文化とはまったく違う。
イ「それなのよ〜。日本で生活していると、チーズの種類が少なくて、しかも高いのが大きな不満。」
ーー前にも言ってたよね、そのグチ。
そんなにチーズを食べたいかね。
イ「食べたい。日本人にこの気持ちは分からないだろうね。」
日本でも平安時代には、「蘇(そ)」と呼ばれる乳製品があって天皇や貴族が食べていた。でも、鎌倉時代になって、武士の世の中になるとそれが消えていったらしい。
いまの日本にあるチーズは、明治時代にアメリカ人(エドウィン・ダン)が乳製品の作り方を教えたことからはじまる。
だから、歴史が浅くて、日本人にはあまりなじみがない。
イ「日本の食べ物と飲み物なら、チーズとワインの組み合わせは何になると思う?」
ーー個人的には、日本酒とスルメ。
イ「スルメってなに?」
ーーイカを干して乾燥させた食べ物で、日本酒との相性はすごくいい。
ワインにもよく合うんだって。しらんけど。
そういや、イカって英語で「squid(スクウィッド)」だけど、「devilfish(デビルフィッシュ)」とも言う?
イ「は? イカがデビルフィッシュ? そんな話は初めて聞いた。」
ーーやっぱり。
日本のネットではよく、「欧米でイカやタコは悪魔を連想させることから、デビルフィッシュと呼ばれている」なんてことが書いてある。でも、今までドイツ人、スペイン人、リトアニア人、ポーランド人に聞いても「なにそれ?」という反応で、そんな話は誰も知らなかった。
イ「イギリスでもイカは売ってるけど、一般的な食材じゃあない。」
ーーそうか。
イギリスは島国で、ウェールズ地方では海草を食べるというし、日本と食文化が似ている面もあると思ったけど、イカはそうでもないか。となると、イギリス人が日本でチーズを欲しくなるように、日本人がイギリスへ行くとスルメを恋しくなるかも。
イ「かもね〜。」
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