いま韓国人が最も尊敬する人物は? それを日本史で例えると?

 

いま韓国の人たちが最も尊敬する韓国人はだれか?

韓国ギャラップが行った世論調査によると、それは「やっぱり」の結果だった。

中央日報の記事(2024.06.13)

韓国人、最も尊敬する人物は「李舜臣将軍」…好きな歴代大統領は「盧武鉉元大統領」

全国の13歳以上の人に尊敬する人物を尋ねたところ、トップ3は以下の3名であることが判明。

1位:李舜臣(14%)
2位:朝鮮王朝4代目の王・世宗(10%)
3位:朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(7%)

ここでは、韓国民が最もリスペクトする偉人、李舜臣(イ・スンシン)を取り上げよう。
彼は、16世紀に豊臣秀吉が行った朝鮮出兵で、日本軍を撃退した朝鮮水軍の将軍だ。
ただ、日韓の「歴史あるある」で、彼に対する見方や評価は両国では大きく違う。

韓国では、李舜臣は「鳴梁(めいりょう)海戦」で日本軍を撃破し、大ダメージを与えたとされている。
しかし、日本ではウィキペディアに「戦果を250倍に誇張したと思われる創作的な主張も行われている」と書かれているように、この戦果についてはかなり疑問視されている。
ピクシブ百科事典でも「日本との絶望的な戦いをやり遂げ、最終的にはあっけなく死亡」(李舜臣)と評価は高くない。
ちなみに、尊敬する韓国人ランキングでは、日本と“戦った”独立運動家の金九(キム・グ)、安重根(アン・ジュングン)、柳寛順(ユ・グァンスン)も上位に選ばれた。

 

年齢や性別にかかわらず、国を救った人物が国民的英雄になることは海外では常識となっている。
フランスでは、百年戦争でイギリス軍を撃退したジャンヌ・ダルクが有名だ。
イギリスでは、第二次大戦時に首相だったチャーチルがドイツ軍の猛攻撃を耐え抜き、国民に勝利をもたらしたことで、彼は英雄とされている。
ただ、現在では、チャーチルが「強く優秀で賢い人種(=白人)が土地を得た」と述べたことがあり、人種差別主義者との批判もある。
しかし、基本的には救国の英雄は究極の英雄になるのだ。

 

閑話休題

「韓国人が最も尊敬する韓国人」だけでは日本人にはほぼ関係ないから、この結果を日本の歴史で例えてみよう。
日本で李舜臣のような人物はいったい誰になるのか?
それは、まずは鎌倉幕府の執権で、元寇という大ピンチを切り抜けた北条時宗だ。
13世紀、モンゴル・高麗の連合軍が九州北部にやってきた時、日本の最高実力者だった北条時宗のもと、全国の御家人たちが戦い、「神風」とのコラボもあって敵を撃退し、日本を守ることができた。
まぁ、元寇がはじまった原因は、時宗が元の使者をぶった斬ったことが大きいから、彼がこの国難を招いた面は否定できない。
また、日本史で李舜臣のような人物といえば、1905年の日本海海戦で、ロシアのバルチック艦隊を撃滅した東郷平八郎がいる。
この歴史的な戦いについて、イギリスのある海軍研究家はこう絶賛したという。

「なんと偉大な勝利であろう。自分は陸戦においても海戦においても歴史上このような完全な勝利というものをみたことがない」

韓国側では「東郷平八郎は李舜臣を尊敬していた」といった話が聞かれるが、東郷が実際にそう発言した事実は確認されていないため、日本では俗説や都市伝説の扱いになっている。日韓では歴史認識が本当に違うのだ。

 

もし、元寇と日露戦争で負けていれば、日本は異民族によって統治され、今と全く別の国になっていはず。日本が日本ではなくなっていた。
敵軍と戦って、日本を守り抜いた功績は大きい。が、今の日本で彼の評価は高くないというか、はっきり言って低い。「日本人が尊敬する日本人ランキング」で、この2人がトップ3に入るとは思えない。
韓国人が李舜臣を尊敬するように、日本人も北条時宗と東郷平八郎をもっともっとリスペクトしていい。祖国を守った人物に敬意を払うことは世界の常識で、日本の平和主義とも矛盾しないのだから。

 

 

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3 件のコメント

  • 李舜臣将軍を韓国人が一番尊敬する理由はもちろん彼が日本から国を救った人物だということを大事に思いますが、当時唯一国を考える人として、国王の宣祖をはじめとする多くの人々の謀略を受けながらも、自分の命を捧げて国を救った愛国心を尊敬するからです。しかし、国を救った将軍は李舜臣以前にも多かったです。高句麗時代、乙支文徳将軍は中国の隋の100万の大軍に対抗して戦い、国を守り、高麗時代のカン·ガムチャン将軍も契丹の30万の大軍を打ち負かしました。李舜臣将軍の何倍もの勝利を収めました。しかし、韓国人はそのような将軍には目を背け、李舜臣将軍を最も尊敬します。その理由は「やっぱり」日本に勝ったからです。反日感情に助けられたのです。

  • > 日本人も北条時宗と東郷平八郎をもっともっとリスペクトしていい。日本を守った人物に敬意を払うことは世界の常識で、日本の平和主義とも矛盾しないのだから。

    それは本当にそう思います。が、現実にはなぜそうなっていないかと言うと。
    おそらく、日本人は、外国に蹂躙され支配された経験がないから、彼ら英雄が「国を守った」という功績に対して実感がないということも、理由の一つでしょうね。
    それと、戦後の左派教育による徹底した「反戦主義・自虐史観」の影響も大きいと思います。

    戦前に育った私の祖母(寡婦)なんかは、その二人の功績をかなり称賛していました。でも幼い私には何の話か当時はよく理解できませんでしたけど。
    因みに、祖母の兄は日露戦争で乃木大将の突撃作戦に参戦して戦死、さらに長男(私の叔父)は太平洋戦争に召集され南方戦線で戦死して靖国神社に祭られています。その二人の戦死に祖母はあまり好意的ではありませんでした。どちらかと言えば「国」を恨んでましたね。

    これからの人達には、あのような苦悩を抱いて生きてほしくはないです。
    ただしそれも、「祈り、願う」だけでは実現できないのですよ。

  • 韓国は何度も侵略を受けたから、救国の英雄は何人もいますね。
    その中で李舜臣が特に尊敬されているのは、やっぱり国民感情に合っているからでしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。