最近、「Japanophile(ジャパナファイル)」という英単語を知った。
これは、Japan に「phile(好きな人)」をくっつけた言葉で、日本びいきや親日家の外国人のことをさす。
友人のドイツ人(30代・♂)がまさにジャパナファイルだ。
彼は日本が好きで日本の大学に留学して、今は母国に戻って働きながら日本語を学んでいる。
そのスキルをさらに向上させるため、彼は今年のゴールデンウィークのころに、約1ヶ月間の休みをとって日本へ旅行にやってきた。
*労働者の権利として、数週間の休みを簡単にとれると知ったら、「Germanophile」(ドイツ好き)になる日本人もいるかも。
今回は、そんな彼に聞いた話を中心に書いていこう。
ーー君が日本にいたころ、「ムム、これはドイツと違うぞ」って思ったことは?
住宅街を歩いていて、「なんで日本の家には庭がないんだろう?」って不思議に思った。じつは、小さい庭があって外から見えないだけなんだね。
ーーそうか…。
何かむかし、EC(ヨーロッパ共同体、EUの前身)の報告書で、日本の家が「ウサギ小屋」と書かれていたのを思い出した。
それと、窓のカーテンがいつも閉まっている。日本人は他人に、家の中をのぞかれたくないんだろうね。
ドイツ人はカーテンを開けて、太陽光を取り入れている。個人的には、その方が気持ちいいと思う。
ーー日本人は日照権にはうるさいんだけどね。
ーーいまドイツにいて、日本の生活についてなつかしく思うことはある?
あるよ、ありまくるよ。
日本にいたとき、浴衣を買って夏祭りに出かけたんだ。日本のアニメで、何度かそんな場面を見ていたから、夢がかなったと思って気分がアガった。
その浴衣は今でも家にある。でも、ドイツではこれを着る理由と勇気がないから、まだ一度も着ていない。
デュッセルドルフで日本文化を紹介するイベント(日本デー)が開かれるから、それなら大丈夫かな。
*「日本デー」は、ドイツで毎年おこなわれるヨーロッパ最大級の日本文化イベント。
寿司、たこやき、やきそば、折り紙、書道、柔道、剣道、アニメ、マンガ、J-popなどなど、伝統的な日本文化から最新のポップカルチャーまで紹介されている。
20回目となった2023年の「日本デー」には約65万人が集まった。
日本人は、外国人がして怒ることはある?
ーーゴミのポイ捨てとか、電車の中で携帯電話で話すとか、そういうマナー違反をしたら怒るよ。SNSを見ると、そんな外国人を見てムカついた、という投稿がよくある。
そうじゃなくて、文化的なことで。
ーー外国人がすると、日本人が怒る「文化的なこと」。
ごめん、意味がわからない。
外国人が浴衣を着てもいいかどうか、日本人の友人に聞いたら、みんな「OK」と言ってくれた。
欧米では自分とは違う民族の伝統衣装を着ると、「文化を盗んだ!」って非難されることがあるから、それが気になったんだ。
ーーああ、文化盗用ね。
アメリカでは白人が着物を着ると、「差別的だ!」って怒り出す人がいるけど、日本人はそういうことを気にしない。
外国人が着物や浴衣を着ると、むしろうれしいと感じる。
みだいだね。
日本人の友人たちは、私の質問の意味がわからなかった。外国人が日本の伝統衣装を着ることが、差別行為に結びつかなかったから。
そういう自由な雰囲気はいいね。
『ラ・ジャポネーズ』
フランスの画家モネが着物を着た白人を描いた。
* 100年以上前は問題なかったけど、今の欧米で「日本の着物を着てみよう!」的なイベントは、日本人主催じゃないとむずかしいと思う。
「文化盗用」に対する感覚は、特にアメリカで厳しい。
日本でもこれが問題になることがある。
きょねん北海道で航空自衛隊が新しいマークを発表したところ、そのデザインがアイヌ民族の伝統文様に似ていて、「文化の盗用だ!」と物議をかもし、朝日新聞が報じて全国ニュースになった。(2023年1月20日)
空自航空団の新マークは「アイヌ文化の盗用」か デザインめぐり議論
*職場でチームの目標を達成するために、個々のメンバーの能力を引き出し、強い組織を築くことを「チームビルディング」という。
ーー飲み会も広い意味ではチームビルディングの一例で、日本の会社はよく忘年会をする。ドイツでもそういうことをする?
ドイツの会社でもチームビルディングは重要とされていて、たとえば、年末にクリスマスーパーティーをやる。
レストランですることが多いけど、会社の中でやることもある。費用はすべて会社が出すから、社員は安心して飲み食いができる。
日本の忘年会は社員がお金を出すって聞いた。それだと、チームビルディングの効果が下がらない?
ーーそれどころか、今では「職場の人とはタダでも飲みたくない」って人も多い気がする…。
ーー今年の3月ごろ、ドイツであるタクシー運転手が車に貼っていたステッカーが問題になった。
それには聖書の言葉(イエス―わたしは道であり、真理であり、命である)が書かれていたから。それについてどう思う?
それはダメだよ、アウトだよ。
プライベートで使う車だったら、個人的な信仰を表現してもいい。でも、仕事で使う車にそんなステッカーを貼ったら、宗教を宣伝しているみたいじゃないか。
日本では、それが問題にならないの?
ーーどうだろね、日本でそんな話は聞いたことがない。
そういえば、数年前に兵庫県で病院へ向かうバスの番号が「4250」だったから、それが問題視されたことがある。「死にごろ」と読めて縁起が悪いと。
そんな市民が多くて、別の番号に変更された。
ーーこのところ日本では多文化共生が進んでいて、副作用として、外国人と地域住民との間でトラブルが起きている。
それについて最近、ある政治家が「日本の文化・しきたりを理解できない外国の方は母国にお帰りください」と言った。
この言葉について、「ヘイトスピーチだ」という批判があがったけど、君はどう思う?
「外国人は出ていけ!」はヘイトスピーチになるけど、その発言は表現の自由の範囲内にある。私はその発言を支持するし、それを問題視するほうが問題だと思う。
その国の文化や常識を守らない人たちと、一緒に住むことは不可能だ。
ドイツではルールを守らない外国人だけでなく、そんな外国人に甘い政治家に不満を感じる人が増えている。
このままでは、多文化共生が失敗するんじゃないかと不安になるよ。
ーー日本では円安の影響で、海外に比べて物価が安くなっている。
来日する外国人はお金をたくさん使うから、そんな人を対象に、5千円や1万円超えの海鮮丼の「インバウン丼」を提供する店も出てきた。
テレビ番組では、訪日外国人にインタビューすると「安いね」とよく言う。
これって普通だと思う?
そうだね、ヨーロッパ人から見たら「そんなもんかな」って、思うわけないじゃん。
私なら、丼ものに出せるのは3千円までだね。
1万円の「インバウン丼」ってなに? 信じられないほど高い。
いくら円安でも、そんなのは普通には食べられないよ。
日本で食べたこのつけ麺は950円ナリ。
ドイツなら、3千円くらいはしそうと彼は言う。
ほかにも彼はこんな話をしていた。
・神道で、外国人の聖職者がいると知って驚いた。
外国人にできるのは神社に参拝したり、お祓いとかのサービスを受けたりすることだけで、神道の聖職者は日本人だけしかなれないと思っていた。
神道は案外オープンなんだね。
*オーストリア出身のウィルチコさんが外国人として初めで神主になった。
彼は日本に来て、大都会の中に古いお寺や神社があるのを見て、「昔ながらの文化が生きている」ということが印象的で、日本に興味を持ったらしい。
・ドイツは第二次世界大戦中に、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)という犯罪を犯した。その罪は消えないし、その責任はこれからも背負っていかないといけない。
それについてユダヤ人がドイツを批判するのは理解できる。けど、ほかの外国人に言われるとムカつく。
特に、ユダヤ人を迫害していた歴史のあるヨーロッパ人に言われるとね。
・日本では「コンビニ開拓」が好き。
商品の種類が多いし、新作もどんどん出てくる。
それに店ごとに強みが違うから、いろんなコンビニをめぐって、新しい食べ物や飲み物にチャレンジするのは面白い。
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