最近、紅白歌合戦にも出場したことのある韓国のガールズグループのメンバーが、日本のバラエティ番組に主演し、食レポをしたところ、放送後に波紋を呼んだらしい。
まず、専門店でプリンを食べたメンバーは、おそろしく少ない量をスプーンですくい、「私、甘いの大嫌いですけど、これはあんま甘くないです」と評価したから、スタジオにいた日本の芸能人に「プリン屋さんで言う言葉か!」とツッコまれた。
和牛のステーキを出す店でも、メンバーは小さく一口かじった程度。
この記事に対して、『ヤフコメ』にさまざまな感想が寄せられ、それをAIが要約したコメントはこんなものだった。
・食事の仕事を受ける以上、美味しそうに食べるべきだと感じています。
・体型維持のための食事制限が厳しいアイドルには、食事の仕事は不向きという意見もあります。
見方は人によってそれぞれ違うとしても、たくさんの感想が寄せられるというのは、「食」に対する日本人の熱の高さを物語っていると思う。
それについて、知人のアメリカ人はイギリス人が感心したり、ガッカリしていたのを思い出した。
日本で英語を教えていた20代のアメリカ人男性と話をしていると、彼は日本人の考え方で驚いたことがあると言う。
日本人の知人がおいしいレストランで食べるために1~2時間待ったとか、旅行先で有名なグルメを味わうために同じぐらい列に並んでいたという話を聞いて、彼はこんな話をする。
「信じられないね。食事の待ち時間なら、オレなら15分が限界だ。それ以上待つくらいなら、味のグレードが落ちてもいいから別の店へ行く。これはオレだけじゃない、ほかのアメリカ人に聞いてほしい。おいしいものを食べるために、1時間以上待つアメリカ人なんて例外だ。日本人のグルメに対する情熱には脱帽するよ。」
アメリカには、日本人、インド人、ウクライナ人、メキシコ人など世界中の移民がいるから、各国の本場の料理を楽しむことができる。
日本にそんな多様性はないけれど、食についてはバラエティー豊かだ。
彼は日本人の新しい食べ物を創造する能力には敬意を表していて、飲食店では季節ごとに違ったメニューを出したり、日本のコンビニやファストフード店に行くといつも新作を見つけたりすると感心していた。
「どんなにおいしくても、食事のために1時間も待てない」という思いは、知人のイギリス人女性も同じだ。
彼女は日本語を学んでいて、日本のテレビ番組をよく見ていた。
それで印象に残ったのは、日本にはグルメ番組がとてもたくさんあり、1つの食べ物にもさまざまな調理方法や味があるということ。
たとえば、ラーメンの豚骨スープだけでも、いろんな作り方や味があって、それが塩、みそ、しょう油のスープにも当てはまる。
そんなド定番のラーメンもあれば、トマト、 レモン、納豆、テキーララーメン、さらにはソフトクリームをぶち込んだラーメンもあるから、そのイギリス人としては驚くしかない。
その一方で、彼女がとても残念に感じたのは、日本では食のバラエティーは豊富なのに、言葉のボキャブラリーが貧弱なこと。
どのグルメ番組を見ても、基本的に「ウマイ!」か「おいしい!」しか言わない。
英語なら、おいしさを表現には、good、fantastic、yummy、delicious、tasty、amazing、great、beautiful、wonderful…といろいろある。
そのイギリス人は日本のグルメ番組を見ると、料理の種類の多さや店の斬新なサービスには感心するが、レポーターのセリフは「ウマイ」か「おいしい」ばかりで、日本語のボキャブラリーが増えないから、残念だとなげいていた。
もちろん、ほかにも「味の宝石箱や~」という有名なフレーズもあるけど、これは一般的な日本語ではない。外国人は学ばなくていい。
ネットでおいしさを表現する言葉を見ても、「外はコンガリ、中はトロトロ」、「お肉とソースのハーモニーが絶妙」、「脂がのっている」、「コクがあって濃厚な味わい」など、主語と述語のある文章がほとんどで、単語が見つからない。
英語に比べると、日本語には、おいしさを表現する言葉が少ないことは間違いない。
日本人は食レポで韓国人アイドルの食べる量にツッコむけれど、日本語を学ぶ欧米人のツッコミどころはきっとそこじゃない。
世界に正しい日本料理を!でも、海外から怒られた日本の“スシポリス”
> 英語なら、おいしさを表現には、good、fantastic、yummy、delicious、tasty、amazing、great、beautiful、wonderful…といろいろある。
ははは、それは変ですよ。
その一連の単語の中で、純粋に味覚を表現したものは、yummy(ウマウマ【幼児語】)、delicious(美味しい)、tasty(味がよい)の3つだけじゃないですか。
日本人の食レポーターは、「いいね!」「素晴らしい!」「驚異的!」「偉大なウマさ!」「これはもはや美しいとさえ!」なんていう、大げさな表現をしないだけでしょう。
日本語も英語もあまり変わらないと思います。
まぁ、これはイギリス人の感覚ですから。