【想像外】カリブ人が日本の学校プールに驚いたわけ

 

ふだんは忘れられているのに、暑い夏になると、全国の学校で熱い視線を浴びるのがスイミング・プール。
1961年にスポーツ振興法ができて、プールの建設に補助金が出るようになったことで、日本全国の学校にプールが登場したらしい。
*1955年に100名の児童が死亡する紫雲丸事故が起きたことで、学校で水泳の指導の必要性が高まり、プールがつくられたという見方もある。
ちなみに、この記事を書いていて知ったのだけど、プールの数え方はテニスコートと同じで1面、2面でOK。

プールが全国の子どもたちに笑顔を届けることがあれば、それを奪ってしまうこともある。
今月5日、高知県で水泳の授業中、小学4年生の児童がプールでおぼれて死亡した。
教員側については、プールの水を出しっぱなしにしたことに気づかず、学校側が水道代として100万円近く請求される出来事もあった。
安全管理やメンテナンスなどで負担が大きいため、夏休みのプール開放をやめた学校も多い。

しかし、友人のトリニダード・トバゴ人の話によると、彼女の母国ではこんな事故は起こらない。
それは、水泳の授業では安全体制がしっかり確保され、一定以上の水道水が放出されると、自動的に止まるシステムがあるからではなくて、単純に学校にプールなんてないから。
カリブ海はメキシコの南から南米大陸の北部まで広がる海で、ジャマイカ、ドミニカ共和国、ハイチ、トリニダード・トバゴなどの国がある。
そのトリニダード・トバゴ人は地球の裏側から日本にやってきて、小中学校で英語を教えていた。
彼女が日本の学校でビックリことの一つにプールがある。
学校で働きはじめて、先生が校内を案内してくれてプールを見せてくれた時、「なんで学校にこんなものがあるの?」と彼女は理解できなかったという。
そうは言われても、ボクには彼女が理解できないポイントがわからない。
こんな説明を聞いて、そのわけが見えてきた。

「トリニダード・トバゴ人はプールについて、『金持ちがリラックスするためにある』というイメージを持っているのよ。プールがあるところと言えば高級ホテルが頭に浮かぶ。だから、まさか公立学校にプールがあるなんて思わなかった!」

水泳の授業がないから、学校にプールなんてものはなく、泳ぎたかったら、そこらの海や川へ行けばいい。
トリニダード・トバゴでは、庶民は自然の水場で楽しんで、金持はプールで優雅なひと時を過ごすことが一般的らしい。
もちろん、水泳選手用のスイミング・プールもあるけれど、それは本当に少なくて庶民には縁がない。
だから、学校にプールが当然のようにあって、授業で先生が子どもたちに水泳を教えるなんて展開は彼女の想像の斜め上にあった(思いつかなかった)。
プール建設に補助金が出るようになったのは、日本が高度経済成長に入って余裕が出てきたことも影響しているはず。発展途上国のトリニダード・トバゴにそれは財政的に不可能だろう。

「これは私だけじゃない。ほかのカリブの国の人たちにも聞いてほしい。きっと私の意見に同意するから」

と言われたが、今のところ、彼女以外のカリブ人に聞いたことがない。
「働き方改革」として夏休みはむしろ先生にプールを開放して、日傘とチェアと飲み物を持ち込んで、先生たちがリラックスするのを認めてもいいかも。

 

 

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2 件のコメント

  • > 彼女が日本の学校でビックリことの一つにプールがある。

    そりゃそうでしょう。義務教育機関である公立小中学校のほとんど全てに「水泳プール」が設置されているなんて、日本くらいじゃないですか? 他の国では、学費の高い私立だったらともかく、公立学校では聞いたことありません。
    たとえば隣国の韓国だって公立学校に水泳プールなんてほとんど設置されてないし、よって水泳の授業もありません。セウォル号の沈没事故で大勢の子供たちが犠牲になった時、日本と違って泳げる子供が非常に少ないこととか、挙句の果ては、海難救助隊員の中にもカナヅチ隊員が何人もいることとか、新聞等メディアで問題視されてました。

  • そう言えば、あるカナダ人は中学校にプールがなく、市民プールで泳いでいたと言っていました。
    プールを使うのはほぼ2か月だけで、いろいろ無駄も多いので、それを常設している日本は例外かもしれませんね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。