これは朝から良いニュース。
パリ五輪で男子サッカー「日本対マリ」戦がおこなわれ、日本が1―0で勝利して準々決勝進出を決めた。
この試合で大活躍したのが、ビッグセーブを連発し、PKでは「威圧オーラ」を発して相手選手のミスを誘ったGKの小久保玲央ブライアン選手。
ネットの反応を見ても MOMは彼で、「国防ブライアン」という通り名も生まれたようだ。
小久保玲央ブライアン選手は千葉県出身で、父親はナイジェリア人だ。
ということで、今回は日本の安全保障ではなくて、日本に住むナイジェリア人夫婦から見た日本の食文化について書いていこう。
ーー日本では夏になると、セミの大合唱があちこちから聞こえてくる。
ナイジェリアも同じ?
夫:まず、ナイジェリアには夏しかない。それと、セミなんて見たことないな。
ーーおっと、それは意外。
ドイツ人やリトアニア人も日本で初めてセミを見たと言っていたから、寒い地域にはいないけど、セミはアフリカにはいると勝手に思い込んでいた。
範囲広すぎ。
私が知らないだけで、ナイジェリアにもセミがいるかもしれない。アフリカ全体を見れば、どこかにいるんじゃないの?
とにかく私には未知の生物だったから、最初この音を聞いた時、「日本のクリケット(コオロギ)は鳴き声がすさまじいな」って驚いた。
ーーコオロギがこの音量で鳴いたら、それはきっとこの世の終わりを意味するよ。
セミは日本の夏を象徴する虫で、「セミを捕まえて揚げて食べよう♪」という夏休みイベントがおこなわれることもある。
ナイジェリア人もコオロギを食べるでしょ?
夫:なんで食べることが前提になっているのかな。そんな虫は食べないよ。
妻:そんなことはない。だって、私は食べてたもん。
夫:えっ? マジで?
妻:知らない? 油で揚げて味付けをするの。スパイシーでおいしいのよ。
ーー日本では一般的ではないけれど、コオロギを食べる地域もある。
ナイジェリアの地域差はもっと大きそうだ。
そりゃそうだ。
ナイジェリアには250以上の民族がいるからね。
民族が違うと言葉も変わるから、英語で話すことになる。
ーーその事情はインドと同じだ。
地域によって言葉が違うから、公用語として英語が必要になる。
インドもナイジェリアもイギリスの植民地だったから、そうなったのか。
妻:日本人もコオロギを食べることがあるって言ってたけど、浜松でも売ってる? 久しぶりに食べてみたい。
ーーいや、浜松ではきっと売っていないから、ナイジェリア体験はできそうにない。 残念だけど。
妻:西アフリカでは昆虫食はよくあるけど、日本にもあるなんて意外な感じ。
ーー国連が「昆虫食は世界的な食糧危機を救う」って宣伝したこともあって、最近は日本で、特にコオロギを使った食べ物が増えている。『無印良品』がコオロギせんべいを売り出したら、完売した。
夫:日本がアフリカに近づいているww
ーーそうとも言える。
そんな実感をもつ日本人はいないだろうけど。
妻:グラスホッパー(バッタ・イナゴ・キリギリスなど)は? 日本人はグラスホッパーも食べるの?
ーー長野県はイナゴを食べることで有名だけど、地面を跳ねているものをすべて食べるかは知らない。
ところで、クリケットとグラスホッパーって何が違うの?
夫:クリケットは鳴くけど、グラスホッパーは音を出さない。
ーーなるほど、グラスホッパーが鳴いたら、それこそ世界が終わる予兆だな。
妻:あと、クリケットに比べると、グラスホッパーはちょっと甘い味がする。
ーーそれはナイジェリア人らしい指摘だね。
日本のグルメ番組で、そんな斬新な食べ比べなんて見たことないや。ジャンルとしてはグルメじゃなくて、ゲテモノかな。
ーー日本で食べた珍しいものって何かある?
夫:それは eel(ウナギ)だね。
妻:イールってなに?
夫:海にいるヘビみたいな生き物のこと。
妻:(画像を見て)これはヘビね。
ーーそれは浜松市民としてスルーできないな。ウナギとヘビはまったく違う。日本にはいろんな丼ものがあるけれど、「ヘビ丼」が登場する日は永遠にこないと断言できる。
君(夫)はあれをヘビだと思う?
う~ん、見た目はソックリだけど、あれはスネイクというよりはフィッシュかな。
ーーウナギを「フィッシュ」と言われると、何か違和感があるな。
ナイジェリアを植民地支配したイギリス人はウナギを食べていたけど、ナイジェリアにその文化は伝わらなかったか。
*ナイジェリアにも「アミメウナギ」がいるが、食用ではないらしい。
ーーで、ウナギはどうだった?
夫:味も香りも良くて気に入った。
ただ、おごってくれたから食べたけど、あの料金は高すぎる。
ところで、君もウナギを食べたよ、「うなぎパイ」でね。
妻:あれに入ってたの? それは知らなかったけど、あのパイはおいしかった。
私が食べた珍しいものといえば、すしね。ナイジェリアでは肉を生で食べる文化がないから、最初は勇気が必要だったけど、食べてみたらおいしかった。
夫:彼女はすしを気に入ったけど、私はあの食感が気持ち悪くて今でもダメなんだ。
ーー生肉を怖がるのは典型的な「外国人あるある」のひとつ。
世界的に見たら、揚げたグラスホッパーよりも、すしを「ゲテモノ」と考える人のほうが多いかもしれない。
*これは、ウナギが好きな日系ペルー人から聞いた話。
彼女が店でうな丼を買って家で食べていると、母親に「その肉は何?」と聞かたから、「ウナギだけどそれが何か?」と答えると、「ヘビじゃない! そんな気持ち悪いものを家で食べないで!」と怒られてしまった。
ーーウナギと言えば、今週はウナギを食べる日(土用の丑の日)があったんだ。
夫婦:なにその「ウナギを食べる日」ってwww。
ーーそんなにヘンかな?
日本ではバレンタインデーやクリスマスのフライドチキンみたいに、誰かがキャンペーンを仕掛けて、それが当たると社会に定着することがあるんだよ。
ーー日本人はウナギを食べて夏の暑さを乗り越える。
ナイジェリアも暑いでしょ? そんなパワーフードはない?
夫:そんなの知らない。
妻:暑い時に口にするものと言えば、レモネードやアイスクリームかな。
ーーそれは発想が違う。
日本人は暑さ対策として精力をつけるけど、ナイジェリア人はリフレッシュするのか。
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