最近、桜まつりへ行ったら、20代のアメリカ人の男性と知り合った。
彼はテキサス州、サンフランシスコ、シカゴに住んでいたことがあって、大学生のときに交換留学生として日本の大学で学び、そのまま静岡県にある企業へ就職した。
そんな彼と会う約束をして、話した内容がこちら。
ーー日本とアメリカの生活って、どんなところが違うと感じた?
アメリカは、つくづくクルマ社会だったんだなってこと。私は16歳で免許をとって、レクサスに乗って高校へ通っていたんだ。
ーー日本の常識からすると、もうアニメの世界、いやそれ以上だな。最近のアニメは規制が厳しいから、高校生が自動車で通勤するシーンは道路交通法に反するから描けない。殺人鬼が車に乗っているシーンでも、ちゃんとシートベルトをしていたという話を聞いたことがある。
で、レクサスはバイトして買ったの?
まさか。親父が新車を買ったから、それまで乗っていたレクサスをもらったんだ。
ーー日本の高校の場合、校内の駐車場にレクサスをとめるのは教頭先生クラスじゃないかな。
車種は別として、アメリカでは車で通学する高校生なんて普通にいる。田舎に住んでいた友人は14歳で免許をとって、毎朝、車を運転して中学校へ通っていた。公共交通機関がなくて、それしか通学手段学がなかったからね。
*アメリカで自動車免許を取得できる年齢は州によって違っていて、多くの州では16歳から解禁される。ネットを見ていたら、フェラーリに乗って学校に通う高校生がいた。
ーー車を自分の足のように使っていたから、日本に来てから生活が大きく変わったと。
そう。自動車がなくなって、自転車・徒歩・バスや電車で移動するようになった。でも、日本の街は小さいから、生活をするなら自転車が便利でいい。健康的になって、特にふとももの筋肉が太くなった。それに日本では、公共交通機関が発達しているから、遠くに行くことも問題はない。
ーー社会によって移動手段は違うから、日本では高校生までは車は必要ない。アメリカでは、自転車に乗ったことなかった?
そうでもない。健康を考えて、趣味で自転車に乗っていた時期がある。でも、危なくて2か月でやめた。
アメリカのドライバーはすごいスピードを出すし、運転も荒い。それに、私の住んでいた地区は自転車での移動を想定していなかったから、道の状態が悪くて走りにくかったんだ。
そんなことで自転車に乗るのはやめた。やっぱり、アメリカで生活するなら車が一番合っている。
ーー日本人がよく自転車で移動する理由には、治安の良さもあると思う。日本では、太陽が沈んでから女子中学生が塾へ行って、帰りにコンビニへ寄ることがある。それは、アメリカの高校生が車で通学するのと同じぐらい普通のこと。
あるインド人が夜8時ごろにコンビニで買物をして店を出たら、ヘルメットをかぶった女子中学生が自転車をとめているのを見て、本当に驚いたと話していた。インドで同じことをしたら、女の子がどんな状態で帰ってくるか、そもそも家に戻ってこられるか分からないから。
アメリカもインドほどじゃないと思うけど、治安は良くないから、自動車で移動したほうが安全なのは確かだ。そう言えば、前に日本の高速道路のSAで、若い男女の2人組がでっかく「名古屋まで!」と書かれたボードを持って立っていたのを見て驚いたね。
ーーアメリカでそれは危ない?
危険だね。ドライバーがヒッチハイカーを襲うかもしれないし、ヒッチハイカーが強盗になるかもしれない。どっちにもとってもリスクがある。そもそもアメリカの多くの州でヒッチハイクは違法だから、私は路上でボードを掲げているのを見たことがない。
私も時間があったら、日本でヒッチハイクの旅をやってみたい。
ーーヒッチハイクはアメリカ的なイメージがあったけど、現代のアメリカ人からすると、あの光景は実は日本的だったのか。それは意外。
*日本でも1982年に、ヒッチハイクした人間がドライバーを殺害する事件が起きた。これは例外的だとしても危険はある。(勝田清孝事件)
ーー日本で生活していて困ったことはある?
特にない。でも、あえて言うなら、ちょっとした差別かな。
大学を卒業して寮を出て、アパートを借りることになったとき、外国人というだけで物件を紹介してくれなかったり、会社など身元を保証する人が必要だと言われたりした。私は日本語を話せるけど、自分だけではアパートを見つけることがむずかしい。
それは一例で、日本の社会は個人ではなく、その人のバックグラウンドで人を判断する傾向があると思う。
ーー外国人というだけで、不動産会社に門前払いされたという話は何度も聞いたことがある。日本社会の悪いところだ。
でも、差別のない国なんてないし、私はもうその問題をクリアしたからいい。日本での生活は全体的には満足しているよ。
ーーそう聞いて安心した。
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