いまトルコの各地で、エルドアン政権に反対するデモが行われている。デモ隊が抗議の声を上げると、それを鎮圧しようと警官隊が登場し、群衆が一斉に逃げる光景はよく見られる。しかし、トルコで行われたデモでは、その中に「全力で逃げるピカチュウ」が登場したから、その動画が世界的に話題になっている。
友人のトルコ人からそんな話を聞いて、ネットを探したらすぐに動画が見つかった。
Pikachu’yu bile etkileyen biber gazı sana bana ne yapmaz!#DirenPikachu pic.twitter.com/uvNeU6DzRY
— CHP İletişim (@CHP_iletisim) March 27, 2025
こんな動画があったら、日本のネットユーザーが無反応でいられるわけない。
・逃走チュウ
・電光石火忘れさせたのかよ
・電気ショック食らわせられる方
・欲しい…
・モンスターボール用意しとけよ
2020年にはタイで「ハム太郎」が反政府運動のシンボルにされた。真剣なデモ活動に日本のアニメキャラクター、しかもかわいいキャラクターが登場するのはとてもおもしろいが、 それは第三者の無責任な感想だ。
そのアニメの関係者はキャラクターを勝手に使われ、そこに「反政府」や「親政府」といった政治色が付けられることを迷惑に思っている。
日本のアニメが世界的に人気になって知名度が上がると、こんなふうに政治利用されることもあれば、宗教的に使われることもある。
たとえば、タイの首都バンコクには大量のドラえもんのぬいぐるみが置かれた「ドラえもんの祠」が有名だ。以前はそんなものは無かったが、誰かがドラえもんのぬいぐるみを飾った(奉納した?)ところ、宝くじが当たったという話が広まり、ここにドラえもんのグッズをお供えする人が増えたという。
また、タイのスパンブリー県には「ドラえもん寺」と呼ばれるお寺、ワットサンパシウがある。たしかに、その境内にはドラえもんのオブジェがあるけれど、寺院の壁画に描かれているドラえもんは本当に小さく、教えてもらわないと気づかないレベルだ。
ドラえもんは人気のキャラクターだから、特に子どもたちが寺院に親しんだり、興味を持ったりするために絵師が勝手に描き、お坊さんは後からそれを知ったという。
アニメ『ドラえもん』は海外でも放送され、世界各国にファンがいる。その中でも、タイは飛び抜けていて、ドラえもんの祠やお寺がある国はタイ以外に考えられない。
友人のタイ人の話によると、タイで日本アニメはファンは通常、10代から20代の若い世代に限定されている。しかし、ドラえもんの場合は老若男女、幅広い層に支持されているという。
2024年にはプーケットで「ドラえもん ラン タイランド(Doraemon Run Thailand)」が首都バンコクをはじめ、パタヤ、ナコンラチャシマ、プーケット、チェンマイの5つの都市で開催されて、参加者には、ドラえもんがデザインされたTシャツやメダルなどが贈られた。
同じ年、タイのある村では、ドラえもんを使った雨乞いの儀式が行われた。
タイでは、なんでドラえもんがこんなに人気があるのか?
友人のタイ人に聞いて深く納得できたのが、タイ人は基本的に他力本願だから、困ったときに助けてくれる「救世主」がいてくれたらいいと考えている。そんなタイ人の価値観に『ドラえもん』の内容がフィットしたから、みんなこのアニメが好きになった。
もちろん、これは彼の個人的な意見。
とにかく、タイの人たちがドラえもんを好きなのはとても良いことだ。ただ、それを政治的に利用したり、著作権を無視したりすることなく、適切に愛してほしい。
日本の「kawaii(かわいい)文化」!海外の反応は?由来は?
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