日本のスーパーで売っている果物や野菜はすごく高い! 母国では100円で1kgのミカンを買えたのに…。
前回、そう嘆く中国人の話を書いた。
今回はそのスピンオフで、ミカンをテーマに書いていこう。
友人の台湾人が「何ですかコレ?」と言って指さした一品。
日本でカボチャが「南京」と呼ばれている理由が、彼女にはさっぱり分からなかった。
ミカンは古代中国で栽培されていて、日本には奈良時代に伝わったと考えられている。
この果物が「全国デビュー」したのは江戸時代になってから。薩摩藩で「温州みかん」が発見されると、種がない・皮が薄い・むきやすいという特徴から、各地でこのミカンが栽培されるようになる。
現代の日本人が「ミカン」を聞いて思い浮かべる品種はこの温州みかんで、一般的には「ミカン=温州みかん」と考えてヨシ。
しかし、「温州」とは中国浙江省の地名だ。
ご先祖が、温州から入ってきた柑橘類からこの品種が生まれたと考えて、「温州みかん」と命名したという。しかし、このミカンは誰かが開発したのではなく、偶然できたため、中国由来説はただの想像で、事実かどうかは分からない。
間違いなく言えるのは、温州みかんは日本で生まれたということ。この辺の事情を知らず、現在でもこれを「中国のミカン」と誤解したり、「おんしゅうミカン」と誤読したりする日本人がいる。
「日本のミカン」と一目でわかる名称に変更してもいいと思うのだけど、今さら遅いか。
英米では、温州みかんを薩摩藩に由来して「satsuma」と呼ぶことがある。
「Satsuma」③イギリスと鹿児島(薩摩)の歴史、みかんのお礼が黒豚を生んだ?
中国産と間違えられるぐらいなら、いっそのこと日本でも「サツマ」と呼べばいいのにと、個人的には思う。
ロンドンのスーパーで絶賛販売中のサツマ(=温州みかん)
おまけ
静岡県では温州みかんの一種の「青島ミカン」が広く栽培されていて、以前、「中国・青島(チンタオ)のミカンか?」と思ったことがある。しかし、これは昭和初期に、静岡にいた青島平十さんが自分のミカン畑で発見した品種で、中国とはまったく関係なかった。
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