来年、韓国でおこなわれる平昌オリンピックのメダルができましたよ~。
そんなことを、前に記事で紹介した。
9月21日に公開されたメダルで、朝鮮日報はそれを「芸術作品」と絶賛する。
この日公開されたメダルは、韓国文化の象徴であるハングルと韓服を主なモチーフにし、全体的に「韓国の洗練された美しさ」を表現することに焦点を合わせた。
「平昌五輪:メダルは芸術作品 ハングルや韓服生地も取り入れ」
これがそのメダル。
「韓国の洗練された美しさ」を見た日本人はネットでこんなコメントを書きこむ。
*銀や銅色のメダルもある。
「チョコパイじゃねーか」
「ロッテの新しいチョコレートですか?」
「金なら一枚 銀なら五枚」
「デザインは好き」
「わりとかっこいいと思う」
まあ、いろいろな意見がありますね。
中にはこんなコメントも。
「車輪も作れない国が無理したな…」
匿名でのネットへの書き込みだから、上から目線の表現には目をつぶってほしい。
韓国だって日本のことは、ネットでボロクソに書いているから。
まあ、ネットの掲示板はお互い様。
言い方はおいといて、この言葉の意味は分かりますか?
この「車輪」とは、水車のことを言っている。
と思う。
いや、間違いなくそう。
「韓国と水車」というのはけっこう有名な組み合わせ。
グーグルキーワードで「韓国 水車」と入れるとこんなにも言葉が出てくる。
たくさんの人がこの言葉で検索していることが分かりますね。
「韓国 水車」で検索すると、韓国に対して敬意をもった文章は出てこない。
これは、江戸時代の日本と韓国(朝鮮)の社会の発展の違いをあらわすものだから。
日本には水車があったけど、韓国にはなかった。
これ自体は、たしかに当時の日韓の大きな違いではある。
そのことは、「日東壮遊歌(にっとうそうゆうか)」という朝鮮通信使の本に書いてある。
この本を書いたのは「金仁謙(キム・インギョム)」という朝鮮通信使。
この人は、江戸時代の1763年から1764年にかけて来日している。
そのときに日本で見たり聞いたりしたことをに書きとめたのが、「日東壮遊歌(にっとうそうゆうか)」という本。
そこに、水車についてこう書いてある。
河の中に水車を設け 河の水を汲み上げ
その水を溝へ流し込み 城内へ引き入れている
その仕組みの巧妙さ 見習って造りたいくらいだ「日東壮遊歌 金仁謙 (東洋文庫)」
日本の水車を見てこの朝鮮通信使は驚き、これを「見習って造りたい」という。
水車のことは彼だけではなくて、他の朝鮮通信使も書いている。
実際、韓国でも水車をつくってみようと試みたけど、結局うまくできなかった。
三連水車(ウィキペディアから)
日本では、水車は室町時代に登場している。
水車
水流を利用して動力を得る水車と、灌漑用水を汲み上げるのに利用する水車があり、後者は室町時代に先進地域に多くみられた。
「日本史用語集 (山川出版)」
さっきの日東壮遊歌を翻訳した人によると、1881年(明治14年)に来日した朝鮮人も日本の水車を見学している。
朝鮮ではなかなか製造するまでには至らなかったのか、一八八一年に朝鮮が日本に派遣した『紳士遊覧団』の視察コースにも同地の水車製造所が含まれている
「日東壮遊歌 金仁謙 (東洋文庫)」
ウィキペディアの「水車」の項目にはこんな記述がある。
室町時代、15世紀に日本へ来た朝鮮通信使の朴瑞生は日本の農村に水揚水車がある事に驚き、製造法を調査し、本国に報告した事が『朝鮮王朝実録』に記述されており、江戸時代の11回朝鮮通信使においても、同様に日本の水車の普及に驚いた事が記述されている。
ということで、「車輪も作れない国が無理したな…」というコメントは、韓国が朝鮮時代に水車をつくれなかったことをさしている。
はず。
「『韓国 水車』で検索すると、韓国に対して敬意をもった文章は出てこない」と先ほど書いたのは、この水車の一例をもって「当時の日本は朝鮮より進んでいた」と考え、チョイと鼻タカな文章が書かれているのをよく見るから。
でも逆に、朝鮮が日本より進んでいた部分もある。
例えば、儒学(朱子学)だ。
日本人に儒学を伝えて、大きな影響をあたえた朝鮮人がいる。
それが儒学者の「姜沆(カン・ハン:きょうこう)」という人。
きょうこう【姜沆】
(1567~1618) 儒学者。秀吉の朝鮮出兵(慶長の役)により、日本に連行・抑留される。藤原惺窩らと交流、江戸時代の儒学興隆の礎を築く。抑留記「看羊録」を残す。
大辞林 第三版の解説
この姜沆が日本の儒学者、藤原惺窩(せいか)に思想的な影響をあたえた。
その藤原惺窩の弟子が林羅山。
林羅山は徳川家康から才能を認められて、家康のブレーンの1人になっている。
だから間接的ではあるけれど、姜沆が江戸の日本に与えた影響はけっこうデカい。
「当時の日本は朝鮮より進んでいた」という部分もあれば、そうではない部分もある。
ということですね。
おまけ
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