前に、インドで最下層カースト出身の男性が殺された事件について書いた。
この男性は「ヒンドゥー教の伝統舞踊を見ていたから」ということで、上位カーストの人間に殺害されてしまう。
ヒンドゥー教の祭りで、踊りを見ていることが殺人の理由になる。
日本人からしたら「は?」という感じだけど、インドでは実際にそんな事件が起きた。
くわしいことはこの記事をどうぞ↓
最下層カーストのインド人、踊りを見て殺される。インドってどんな国?
このニュースを知った日本人はネットにこんなことを書きこむ。
・インドはまだ当分は離陸できそうもないな。
・上級国民やりたい放題だな どこの日本だよ
・あーそれでイスラムに改宗しちゃうのね
どうせなら仏教徒になるほうがいいと思うけどな
・インドにはなんか中国より親しみが持てない。
子供の頃は仏教と重ね合わせて神秘的な国のイメージだったんだけどな。
でも、この事件1つでもって「インドでは~」と、インド全体を判断しちゃいけない。
・よくわからんが、インドはイスラム勢力やイギリスに占領されたのに
どうしてカーストの影響が現代まで浸透してるの?
イギリスは基本的にインド人の信仰にはノータッチだった。
主に、インドを「金もうけ」の対象として考えていた。
ただ、生きたまま人を焼き殺す「サティー」というヒンドゥー教の悪習を止めさせようとはがんばった。
それに、最下層カーストの子どもに教育を受けさせようともしていた。
くわしいことはこの記事をどうぞ↓
現在のインド人は、イギリス人の植民地支配をどう思っているか?
でも、一番多かったコメントはこんなもの。
・カーストは見た目でわけるのか?
・服装とか違うの?
・日本人にはよくわからないが
・カーストて見ただけで何に属してるかすぐわかるもんなのか
・見た目ですぐに最下層だとわかるのか
・なんで最下層の人だと分かるの? 服装か何かに決まりがあって一目で分かるの?
このニュースを知った日本人で、「インド人は外見で相手のカーストがわかるの?」という疑問をもった人が本当に多い。
これはボクも疑問に思った。
それで今までに、何人かのインド人に聞いてみたことがある。
今回はそんな日本人の疑問について書いていこうと思う。
「インド人は見た目で相手のカーストがわかるのか?」
チベット仏教徒
インドにはチベット仏教徒もたくさんいる。
今までインドには7回ぐらい旅をしたことがある。
そのなかで、インドで出会った旅行者からいろいろなインドの都市伝説を聞いてきた。
「インドには、両手両足を斬り取られた日本人のダルマ女がいる!」
とか、
「インドの物乞いには手足がない人が多い。その理由はお金をめぐんでもらうために、親が子どもの足や手を切断してしまったから!」
とかいうやつ。
また、インドのカースト制度についてはこんな話を聞いたことがある。
「インドでカースト制度は絶対。だから、インド人のドライバーが信号待ちをしてるとき、隣のドライバーが自分より上のカーストの人間だと気づいたら、どうなると思う?青信号になっても、進まないんだよ。上位カーストのドライバーが発進するのを待って、その人が発進したら自分も走り出すんだ」
「ホントですか?」
「ホントだって。それがインド人なんだよ」
このときは「へえ、そうなんだあ」としか思わなかった。
でも、たしかにそれはあるかもしれない。
少なくとも、ダルマ女や親が子どもの手足を斬る、なんていう話よりは信用できそうだ。
でも実際のところ、どうなんだ?
その疑問を、何人かのインド人にぶつけてみた。
結論からいうと、「そんなわけねえだろ」。
デリーの宿のインド人スタッフはこう言う。
「ここはデリーだぞ。見ただけで、どうやってその人間のカーストがわかるんだ?貧しいか金持ちかの区別はできるけど、見た目でカーストまではわからん」
日本にいるインド人はこう言う。
「それはムリだね。着ている服やアクセサリーで、インドのどこの出身かわかることはある。けど、カーストまではわからないよ。大学時代の友人のカーストなんて知らなかったし、今でも、職場にいる同僚のカーストなんてわからない。知っている人もいるけど、そんなことに興味はない」
インド旅でお世話になった経験豊かなインド人ドライバーもこう言う。
「外見でわかるわけないだろ。知り合いならわかるけど。デリーやムンバイのような大都市には、いろいろな種類の人間がいるんだぜ?信号待ちで隣のドライバーを見ただけで、カーストまではわからない」
「じゃ、田舎だったら?」
「それもない。インドの田舎に信号なんてない」
なるほど。
ということで、インタビューの結果、次の事実が判明した。
都市部のインド人は、見た目だけでは相手のカーストはわからない!
それと、
インドの田舎に信号はない!
でもこれは15年ぐらいの話。
今ならインドの田舎に信号があるかも。
それと、地方によっては見た目で相手のカーストがわかることもあるらしい。
これを見て、だれがどのカーストかを判断するのは不可能。
この記事のはじめに紹介したニュースについて、こんなコメントもあった。
「ご存知だろうか?
カースト差別と戦う日本人住職を
本場インドで仏教修行しながらカーストと関係ない仏教徒に改宗させて
頑張ってる日本人住職がインドにいることを
まだ生きてるかなぁ?」
これは「佐々井秀嶺(ささいしゅうれい)」という岡山生まれの仏教僧のこと。
インドで活動している日系インド人(一世)の僧である。ナーグプールのインドラ寺(インドラ・ブッダ・ビハール)にて住職を務めている。カースト未満の身分のダリット(不可触賤民)の人々を仏教へと改宗させるアンベードカルのインド仏教復興運動の中心人物の一人となっている。
「ウィキペディア」
この人はすごい。
日本人としてぜひ、知ってもらいたい。
友人のインド人も佐々井秀嶺氏を知ってこう驚いていた。
It is very surprising,… In ancient times, India sent people to other countries to spread Buddhism.
But now, people from those countries are coming back to India to spread Buddhism!!
本当に驚いた。
古代、インドは外国に人びとを送って仏教を伝えていた。
でも今では、そうした国から人びとがインドに戻ってきて仏教を伝えている!!
くわしいことはこの記事をどうぞ↓
インド人が驚いた日本人。カースト差別と闘う佐々井秀嶺という仏教僧。
コルカタの街
見た目でカーストを判断することはできそうにない。
おまけ
インドの地方によって、サリーの着方に特徴があるらしい。
それを紹介した動画です。
Ohmygod Yaaaから。
こちらの記事もいかがですか?
コメントを残す