少し前の記事で、カエサルのこんな言葉を紹介した。
人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。多くの人たちは、見たいと欲する現実しか見ていない
「ルネッサンスとは何であったのか (塩野七生:新潮文庫)」
ものごとを自分の都合の良いように理解する人は、自分が見たいと思うことしか見えていない場合がある。
全体を正確に把握できていないと、失敗することもある。
くわしいことはこの記事をご覧ください。
”誤報騒ぎ”に学ぶ。人が失敗する原因「見たいものしか見ない」。
カエサルという言葉が出てきたから、せっかくなんで今回は「カエサルとはどんな人なのか?」ということを書いていこうと思う。
ユリウス・カエサルは世界史の超重要人物で、世界の常識のような人だから、知っておいて損はない。
イタリア人にとって、カエサルとはこんな人物だ。
イタリアの歴史教科書にこう書いてある。
指導者に求められる資質は、次の五つである。
知力。説得力。肉体上の耐久性。自己制御の能力。持続する意志。
カエサルだけが、このすべてを持っていた
「ローマから日本が見える (塩野七生:集英社)」
カエサル(ウィキペディアから)
ユリウス・カエサル(紀元前100年~前44年)は、英語名を「ジュリアス・シーザー」という。
言い方はちがうだけで、同じ人物ですよ。
彼はローマの政治家であり軍人であった。
「優れた政治家であり軍人」という点で、諸葛孔明に似ていると思う。
カエサル
第1回三頭政治を結成してコンスルとなり、様々な改革をおこなった。ガリア遠征に成功して権力基盤を固めた後、ポンペイウスを打倒。前44年終身ディクタトルとなって独裁権を握った。属州出身者の元老院入りを可能にし、カルタゴなどへの植民、ユリウス暦の採用など諸改革を実施したが、ブルートゥスらの共和主義者に暗殺された。
「世界史用語集 (山川出版)」
英語で7月をジュライという。
これは「ユリウス(ジュリアス)」にちなんでいる。
カエサルが生まれた月が7月だったことから、「July」になったといわれる。
また、英語で皇帝を「エンペラー」という。
これもカエサルに関係している。
「インペラトル」という称号がカエサルに与えられ、後にこれが「エンペラー」になった。
インペラトル
戦いに勝利した将軍にたいし、軍隊が歓呼して与えた称号。前45年カエサルが元老院から個人名の一部としてもちいることを許され、のちに皇帝の称号となっていった。
「世界史用語集 (山川出版)」
欧米では、「カエサル=皇帝」というイメージが強くある。
「カエサル」の名はローマ皇帝を指す語として使われてきたため、ヨーロッパ各国では皇帝を意味する語として「カエサル」に由来する単語が使用されることも多い。
「ウィキペディア」
「皇帝」をあらわすドイツ語のカイザー やロシア語のツァーリ も、カエサルに由来する。
カエサルの死から約150年後(117年ごろ)のローマ
エジプトの女王クレオパトラ(クレオパトラ7世)は、カエサルの愛人だった。
カエサルとクレオパトラの出会いはとてもドラマチック。
カエサルの目の前で広げれた絨毯(じゅうたん)から、クレオパトラが出てきたと伝えられている。
絨毯の中から現れたクレオパトラ(ウィキペディアから)
カエサルは「ユリウス暦」という暦(こよみ)を制定したことでも知られている。
それまでのローマでは太陰暦を使っていたけれど、これ以降は太陰暦のユリウス暦を使うようになった。
カエサルは同盟国のエジプトから天文学者、そしてギリシアから数学者を招いて、正確な暦作りに着手する。そうしてできたのが1年が365日で、4年に1回、うるう年が入る太陽暦でした。これがユリウス暦です。
「痛快!ローマ学 (塩野七生:集英社インターナショナル)」
日本でいえば弥生時代に、「1年が365日で、4年に1回、うるう年が入る」正確な暦をつくったのはすごい。
ユリウス暦は1582年の「グレゴリウス暦」ができるまで、ヨーロッパで使われていた。
カエサルは強大な権力を持っていたけれど、けっこうやさしい。
自分の名前が入った「ユリウス暦」を、国の全土で使うことは強制しなかった。
それぞれの地域に合った暦を使うことを認めている。
ちなみに、中国の皇帝はこれを認めなかった。
朝鮮半島の王朝(高麗や朝鮮)にも、中国の年号を使わせていた。
中国皇帝は厳しいのだ。
エジプトから天文学者、ギリシアから数学者を招いてユリウス暦をつくったように、カエサルが重視したのは能力。
「どこの生まれか?」という出身地や血ではない。
カエサルはローマを統治するうえで、文化や価値観のちがいを尊重していた。
カエサルとは「寛容」の人。
世界史用語集の説明にあった「属州出身者の元老院入りを可能にし」ということも、カエサルの寛容さをあらわしている。
属州の出身者でも、中央政界に入ることを認めていた。
カエサルは、仲間と思っていたブルータスに暗殺されてこの世を去った。
彼が殺されるときに口にした「ブルータスよ、お前もか」という言葉は、今でも欧米でよく使われている。
ブルータスよお前もか
《〈ラテン〉Et tu, Brute!》カエサル(シーザー)が暗殺されるとき、相手の中に信頼していたブルートゥスを見いだして発したとされる言葉。信頼していた者に裏切られたときに用いられる。
デジタル大辞泉の解説
カエサルは多くの名言を残している。
・私の発言は法律とみなされるべきだ
・身の安寧に汲々としているようでは生きている甲斐がない
・始めたときは、それがどれほど善意から発したことであったとしても、時が経てば、そうではなくなる
・ローマで二番になるより、村で一番になりたいものだ
・何かを生み出す行動でなければ、行動とは言えない
なかでも、「賽は投げられた」という言葉はとても有名。
さいはなげられた【賽は投げられた】
ポンペイウスと争ったカエサルが軍隊を率いてルビコン川を渡る時に言った言葉。行動を開始した今は、ただ断行あるのみである。
大辞林 第三版の解説
カエサル暗殺(ウィキペディアから)
シーザーサラダとカエサル(ジュリアス・シーザー)は関係ない。
でも「帝王切開」の帝王は、カエサルに関係があるらしい。
くわしいことは帝王切開の語源・由来を見てください。
反論できる?「日本人が、外国人の日本料理をインチキと言うな!」
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