少し前の記事で、パキスタンのことを書いた。
ちなみトルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタンなどの「スタン」はペルシャ語由来の言葉で「~の国(土地)」という意味、なんてことをミサカはミサカはマメ知識的に書いてみたり。
とにかくパキスタンは、1947年にイギリスから独立した国でイスラーム教徒が多い。
首都にイスラマバード(イスラムの都市)という名前をつけるぐらいだし。
上の記事では、イスラーム教を国教とするパキスタンで、クルアーン(英語読み:コーラン)を冒とくするととんでもないことになる、ということを書いた。
イスラーム教に限らず、聖典を破ったり切ったりしたら、その信者は激怒する。
パキスタンの場合はクルアーンを冒とくすると、裁判で死刑判決が下されるかもしれない。
聖典より晴天が好きな無宗教の日本人には考えられないことだけど、イスラーム教を国教とする国ではそこまで厳しい。
でも、最近は変わり始めているようだ。
クルアーン
「そんなん誰が知るか」って話だけど、法務省が「世界各国の信教の自由に関する2007年版年次報告」なんてものを出している。
そこにパキスタンのことが書いてあって、イスラーム教やその預言者を冒とくした場合は死刑、クルアーンを冒とくしたり破損したりすると終身刑が言い渡される可能性があるという。
10年ぐらい前のパキスタンでは、こんなことが起きていた。
2007年4月、カトリック教徒、Sattar Masihは、警察官が到着し、預言者ムハンマドに対 する冒涜的な言葉を書いたとのことで逮捕される前に、暴徒によって拷問された。警察は 自白を得るために、刑務所内で再び彼を拷問したといわれている。
2006年11 月27日、裁判所は、キリスト教徒のJames MasihおよびButa Masihにコー ランを燃やしたとの不敬罪で有罪判決を下し、10年の懲役を言い渡した。
NWFP の警察がコーランを冒涜した罪でヒンドゥー教徒のカップルを逮捕した 2005 年 9 月の事件で、判決は下されそうになかった。裁判所はそれぞれが当局者の前でイスラム教 に改宗した後、保釈金で釈放した。
ね?日本が政教分離の国でよかったでしょ。
イスラーム教を国教にしてるアフガニスタンやサウジアラビアでも、イスラーム教を冒とくしたらきっとこんなふうになる。
マレーシアはここまで厳しいとは思わないけど、どうなんだろ。
でも時代は変わった。
日本人にはドン引きのパキスタンにも宗教の寛容が広がっている。
アメリカCNNにこんな記事(2018/10/31)があった。
キリスト教女性が無罪に、冒とく罪で8年前に死刑判決 パキスタン
キリスト教徒のアーシア・ビビさんという女性が、預言者ムハンマドの悪口を言ってしまった。
そのきっかけは口げんかだ。
ビビさんが触れたバケツの水を同僚が飲もうとしなかった。
それでその同僚と言い争いになったときに、ムハンマドを冒とくするようなことを言ってしまったらしい。
それでビビさんは裁判にかけられ、2010年に絞首刑の判決を受けていた。
当然、世界中のキリスト教徒や人権団体がパキスタンを猛批判。
そして2018年になって、奇跡が起きた。
パキスタンの最高裁判所が死刑判決をひっくり返して、この女性に無罪を言いわたしたのだ。
あきらめたら、そこで試合は終わりなんですよ。
国家間の合意をくつがえす最高裁と違って、これはすばらしい。
でもその直後、パキスタンの各地で抗議行動が発生する。
カーン首相は最高裁の判決を支持して、暴力行為をあおるイスラーム強硬派との対決姿勢を強めた。
ビビさんが無罪になって釈放されるのはいいけど、今度は、民衆に殺害される可能性が出てきた。
そこでいまは亡命を考えているらしい。
CNNに入った情報によると、ビビさんが釈放された後の亡命先として、欧米から少なくとも2カ国が名乗りを上げている。しかしこれが実現すれば、イスラム保守派の強い反発を招くことは確実だろう。
無色・無宗教の日本に生まれて本当によかった。
でもそんな日本にも、明治のはじめには、神道を国教にしようとする運動があった。
実態としては教化運動であるが、天皇の神格化や祭政一致を求める動きを背景とした皇室祭祀・神社祭祀の改革と合わせて、神道を日本の国教にしようとする動きとして理解されることが多い。
いまはむかし。
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