「1人でも反対する人がいたら、私はそれをしない」
そんなこと言う政治家をどう思いますか?
そんな政治家のポリシーのために、大勢の人が不便や不自由を強いられた。
東京にはそんな“失敗経験”がある。
美濃部 亮吉(みのべ りょうきち)元都知事のことですよ。
昭和42年から昭和54年の12年間、東京都知事をしていた人。
「少数派の意見を大事にする」という立派な考え方から、美濃部氏は道路工事に反対する住民の側に立った。
そして「一人でも反対があったら橋を架けない」という「橋の論理」を唱えて、道路工事を次つぎ凍結していく。
その結果、東京はこうなった。
外環道や中央環状線の工事凍結という形で、東京の環状道路交通網整備が大きく立ち遅れ、慢性的な交通渋滞と、それに伴う排気ガス公害を招き、のちに東京大気汚染訴訟が起こされ、首都東京のインフラストラクチャー機能に大きな遅れと、社会的損失を生じさせた。
政治家なら、少数派の声に傾ける耳と嫌われる勇気の両方がないといけない。
法律と現実にもとづいて前に進まないと、たくさんの人がキレイゴトの犠牲になってしまう。
理由は分からないのだけど、日本の隣はむかしから韓国だ。
その韓国の文大統領を見ていて、美濃部元都知事というなつかしい人を思い出した。
特定の少数を重視・優先して、多くの人にツラい思いをさせている。
人権派弁護士といわれる文大統領は被害者中心主義をよく叫ぶ。
慰安婦問題では「被害者中心の解決」を原則としていて、元慰安婦の人たちが納得する反省や謝罪を日本に要求してくる。
でもこの態度は現実と法を無視・軽視することと同じ。
さらには隣国への配慮にも欠けている。
その象徴が先日の慰安婦財団の解散だ。
これには安倍首相も「国際約束が守られないのであれば、国と国の関係が成り立たなくなってしまう」と、文政権にあきれてはてている。
できればさじをブン投げたいところだけど、首相という立場ではそうもできない。
でも、文大統領の言う被害者中心の解決という原則もアヤシイ。
元慰安婦の7割は、日本政府が出した支援金を受け取っている。
2015年の日韓慰安婦合意を評価する人もいる。
「被害者」の多くはあの合意を受け入れているのだ。
日韓合意の破棄を求めているのは、少数の被害者のさらに少数。
「被害者中心主義」の原則なら、そのなかの大多数を優先して反対派を説得するべきなのだけど、文大統領は動かない。
被害者の多くを無視して、合意を否定する被害者の言葉に耳をかたむける。
文大統領を熱烈に支持するのが、この少数派被害者とその人たちを支持する団体だ。
ハンギョレ新聞の記事(2018-11-21)で文政権は、日本から受け取った10億円の処理についてもこの団体と相談して決めると言っている。
日本政府から受けた財団の残余基金については、清算手続きを踏む過程で日本軍性奴隷制(慰安婦被害者)関連団体の意見を取りまとめ、処理方案を設けると明らかにした。
「慰安婦」被害者を泣かせた和解・癒やし財団…「女性家族部長官、職権で解散」
この団体の言うことは過激で非現実的だ。
「10億円はすべて日本政府に返さなければならない」と言うけれど、韓国側はすでにおよそ半分を使っている。
いまの日本政府は韓国に合意履行をくり返して要求しているから、この返金を受け取る可能性はない。
結局、支持団体は慰安婦問題を終わらせたくないのだろう。
問題が解決されたら、自分たちは解散するか規模を縮小しないといけなくなる。
慰安婦財団の解散が発表されたとき、支持団体のひとつ「正義記憶連帯」は、これで2015年の合意の無効が宣言されたと言う。
さらにこんな主張をした。
ハンギョレ新聞の記事(2018-11-22 )から。
「日本政府は2015年の韓日基本合意で、日本軍の性奴隷制の問題が『最終的かつ不可逆的に解決した』という詭弁を直ちに終始し、犯罪を認めるべきだ」
日本軍慰安婦被害者キム・ボクトンさん「残すは安倍に謝罪してもらうことのみ」
長い時間をかけて2015年に解決したのだけど、文政権はまた合意前の状態に戻してしまった。
合意を受け入れた多くの「被害者」は無視して、非現実的な被害者と支持団体を重視するからこうなってしまう。
こんな偏りのある「被害者中心主義」では、国と国の関係が成り立つわけない。
「もう、残すは安倍から謝罪を受けることのみだ。政府はさらに頑張ってもらって、私が死ぬ前にそれをやってほしい」
これが元慰安婦キムさんの最後の願いという。
でもこれを発表したのは支持団体の代表で、実際にどんなやり取りがあったかは神のみぞ知る。
でも、「安倍から謝罪」はもうムリ。
日本は情緒より、国家間の約束や法を重視するから。
2015年の合意で安倍首相は心からのお詫びを表明して、韓国側はそれを受け入れた。
これ以上のお詫びや謝罪はない。
合意にないことをしていたら、問題はいつまでも終わらない。
あとは韓国政府のすることだ。
でも文政権は自分たちの責任で被害者と向き合わないから、問題はいまでも問題のままでいる。
「慰安婦被害者」のなかでも文政権を支持する少数を優遇して、その他多くの「被害者」は無視する。
そしてそのツケを日本に押し付けるから日韓関係は悪くなる一方で、その間でがんばっている人たちにツラい思いをさせている。
お気に入りの少数派を優遇する人がリーダーになると、多くの人が犠牲にされてしまう。
「被害者中心主義」も「橋の論理」も同じようなものだ。
能力を超えたキレイゴトを言ってはいけない。
文政権は慰安婦財団を解散させたけど、そのあとはノープラン。
だから朝鮮日報が非難している(2018/11/22)。
現在の与党は「10億円で(慰安婦被害者の)おばあさんたちを売った」「日本の汚い金は返さなければならない」と前政権を非難してきた。だが、自分たちはどのようにして真の謝罪と法的責任認定を引き出すのかについて、何の答えも出していないし、答えがあるわけでもない。
慰安婦財団解散、「文在寅式解決法」とは一体何なのか
こんな感情的で無責任な「被害者中心主義」だから、多くの被害者を出す。
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