【8/9・長崎】日本人なら知っておきたい「焼き場に立つ少年」

 

きょう8月9日は長崎市に原子爆弾が投下された日。
74年前、米軍機が投下したこの爆弾で7万4千もの命がうばわれた。

 

 

この原爆は当初、小倉市に落とされる予定だった。

再び原爆投下作戦が行われるためにその指揮を執ること、目標は第一目標が福岡県小倉市(現:北九州市)、第二目標が長崎市であることを告げられた。

原爆投下時

 

長崎は山で囲まれていて、坂が多いところだ。
原爆の熱線や爆風がその山によってさえぎられたから、被害は広島よりも少なかった。
もし最初の予定通り小倉市に落とされていたら、広島を超える犠牲者が出たかもしれない。

人類最後の原爆投下から74年後のきょう、天皇皇后両陛下と愛子さま、それに上皇ご夫妻が黙とうされた。

 

 

上が原爆投下まえの長崎市で下がその直後。
すさまじい威力だったことがわかる。

 

 

私事で恐縮なのだけど、あした10日、リトアニア人・ベトナム人・ドイツ人と京都旅行に行く。
それでそのメンバーに、きょうは長崎で原爆が投下された日ということを知っているか聞いてみた。
すると誰も知らない。

リトアニア人とドイツ人は広島と長崎でその悲劇があったことは知っていた。
でも場所だけで、日時までのデータは頭にない。
ベトナム人は1945年という年は知っていて、こんなメッセージを書く。

I only know 1945
Never remember exactly the day
The 2 first ones and the 2 only ones were dropped.

8月9日に長崎で原爆投下というのは、日本人なら常識だけど、日本にいる外国人でも知っている人は少ないかもしれない。
では、この写真はどうだろう?
日本人ならこれも常識として知っておきたい。

 

 

核兵器の悲劇を伝える写真としては世界的に有名な一枚で、「焼き場に立つ少年」と呼ばれている。
長崎に原爆が投下されたあと、アメリカ人によって撮影された。

男の子の背中でぐったりしている赤ん坊はすでに息をしていない。
ここは火葬場で、はだしの少年は弟の遺体を焼く順番を待っているのだ。

これを撮影したジョー・オダエルはこう書いている。

この少年が死んでしまった弟をつれて焼き場にやってきたとき、私は初めて軍隊の影響がこんな幼い子供にまで及んでいることを知った。アメリカの少年はとてもこんなことはできないだろう。直立不動の姿勢で、何の感情も見せず、涙も流さなかった。

「トランクの中の日本 (小学館)」

 

直立不動の少年がローマ法王の心を動かした。
この写真を見たローマ法王フランシスコはこれをカードに印刷して、世界中に配るように指示を出しす。
そのことは世界中のメディアで伝えられた。

 

きょうの日テレニュース24で、故ジョー・オダネル氏の妻、坂井貴美子さんの話を紹介していた。

「写真を撮った時に、本当は撮った後に駆け寄っていって抱きしめてあげたかったんだけれども、崩れ落ちそうな気がしたので、何もできないでいたんだというようなことを言っていた。その少年もずっと赤ちゃんをその火の上において、焼け上がるまでずっと同じ姿勢でいて、終わった後はもう何も言わずにそのまま去って行ったと言っていた」

原爆「焼き場に立つ少年」撮影者の妻の思い

 

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2 件のコメント

  • この前あるエンタメサイトでBTSが初めて長い休暇に入るという記事がありまして。
    ご存じでしょうか? BTSの一人がきのこ雲をモチーフにした韓国独立万歳Tシャツを着ていてそれがきっかけで日本の音楽番組出演中止になった件。
    で、その記事のコメントに「原爆投下万歳Tシャツを平気で着るような奴は日本に来るな!永久に休め!」と書いてあって、多分日本人のBTSファンの子が「20歳そこそこの韓国人の彼らが原爆のことなど知るわけがない。そもそも日本だって戦争で他国にたくさん悪いことをしたんだから仕方ない」と書いてました。
    この写真を見てもきっとそう答えるんだろうな。 日本は平和だけど韓国みたいに「元慰安婦の話を聞いて我が身のように感じる」と言う気持ちがないのが残念です。

  • BTSの原爆Tシャツの件は知ってますよ。何本か記事を書きましたし。
    あれを着ていたメンバーの自民、おっとジミンさんも原爆のことは知っていると思いますよ。
    いいか悪いか別にして、たしかに日本人には韓国人のような共感力は乏しいと思います。
    そのせいかアメリカに謝罪や賠償を求めることはありませんけどね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。