中国の負の歴史:アヘンで香港、竜涎香でマカオを失った

 

いつもの時間に目覚めたあと、いつものように海岸を散歩していると、彼は不思議なものが流れ着いているのを見た。
砂浜に打ち上げられたそれは、それまで彼が見たことのない形や色をしていて…。というのはアニメの始まりでありそう。

最近、タイに住む50代の漁師が南部のサムイ島(平がなを変換したら「寒い塔」になった)の海岸を歩いていたら、今までに見たことのない不思議な物体があった。
それが何だか分からないけど、とりあえず持って帰った漁師の判断は正しい。
1日約1,450円の収入で暮らしていた彼が見つけたものは、「海の宝」や「浮かぶ金」と呼ばれるウルトラレアな貴重品の「龍涎香」(りゅうぜんこう)だったのだ。

英紙デイリーメールの報道(24 October 2019)によると、その重さは約6.35㎏で価値は推定32万ドル(約3450万円)になる。

A Thai fisherman is set for a windfall after he stumbled across a huge lump of ‘whale vomit’, worth an estimated $320,000.

Down-and-out Thai fisherman stumbles across precious WHALE VOMIT worth an estimated $320,000

 

龍涎香とはマッコウクジラの腸内でできる結石のこと。
ふつうはウンチとして排出されるけど、口から吐き出されることもあるのだ。
それがプカプカと海面をただよって、海岸に打ち上げられることが稀にある。

モノがモノだけにはじめはウンコの臭いがするけど、乾燥して時間がたつとムスク系のすばらしい香りになるという。
現在では本当に入手困難だから、香水業界にしてみたらのどから手が数本出るほどのシロモノ。

1986年以降、商業捕鯨が禁止されたため、現在は商業捕鯨開始以前と同様に偶然によってしか入手できなくなっている。

龍涎香

 

この不思議な物体を見た昔の中国人が「龍の涎(よだれ)が固まってできたもの」と考えて龍涎香と名付けた。
くわしいことはここをどうぞ。

香水などの香りを持続させる効果がある保留剤として高級香水に広く使用されていた。 また、神経や心臓に効果のある漢方薬としても使用されていた。

龍涎香

 

いま世界で最も幸運なタイの漁師のニュースについて日本のネットの反応は?

・ようするにウンコじゃねえか!!
・うんち乾燥させたらいいんだな!
・悪臭と芳香は紙一重。 ヒトの糞は、その紙一重を超えられない。
・ちょっとマッコウクジラの腹殴ってくるわ
・大航海時代ってゲームで知った
高値で取引されるからなんだろうって調べたなー

 

海に浮かぶウn、じゃなくて宝物「龍涎香」

 

歴史作家の陳舜臣氏の本を読んでいたとき、中国にこんなことわざがあることを知った。

「アヘンで香港を失い、竜涎香でマカオを失った」

中国はアヘン戦争の敗北でイギリスに香港をうばわれた。
これは日本でも知られているけど、マカオについてはどうだろう?

当時、世界の海を走り回っていたポルトガル船が航海中、偶然見つけた竜涎香を中国の朝廷に届けていた。
これは中国でもプラチナ貴重品だから、朝廷の人たちはこれに大喜び。
それでポルトガルがある提案を持ちかける。
竜涎香を届けるかわりにマカオをもらいたいと申し出ると、なんと朝廷はOKを出してしまう。
首都北京のはるか南にあるマカオなんて、中央の人間にはどうでもよかったのだろう。
中国がポルトガルにマカオをあたえた理由はこれだけではないだろうけど、中国には、自らの愚かさを皮肉った「アヘンで香港を失い、竜涎香でマカオを失った」ということばがあるという。

 

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2 件のコメント

  • いいですね。
    香港には行ったことがありますけど、マカオはまだです。
    カジノに行ったことがないので、一度見てみたいと思ってます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。