日本で最も有名なロシア民謡「カチューシャ」をロシア人に聞く

 

言い訳から始めるけど、ロシア民謡のカチューシャを「日本で最も有名な歌」と書いたのはボクの感覚による。
これ以上有名なロシアの歌を知らないから。
お客さまの中でロシア民謡にくわしい方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。

さてここからが本題。
若い人なら、「カチューシャ」をガルパンで知った人も多いはず。
まずはこの歌を聴いてみよう。

*「ウラー」はロシア語で「万歳」

 

このカチューシャというのは、ロシアで女性の名前に多い「エカテリーナ」の愛称。
カチューシャという女の子が戦場にいる恋人を想って歌を歌っている、という内容だ。
この歌は1930年代につくられたから大昔ではない。
1941年にドイツとの戦争が始まると、戦場の兵士がカチューシャを口ずさんでソ連軍の間で大流行する。
カチューシャの「女性兵士バージョン」や「看護兵バージョン」など、この歌はいろんなバリエーションがつくられた。
それほど愛されたということでもある。
ロケット砲にもカチューシャという愛称がつけられることがあったという。

日本では、1950年代にこの歌が歌われるようになる。
1959年のNHK紅白歌合戦で森繁久彌さんがカチューシャを歌っている。
1988年に発売された「テトリス」のフィナーレでも、同じ年に発売されたファミリーコンピュータソフト「熱血高校ドッジボール部」でもカチューシャが使われている。
千葉ロッテマリーンズの松本尚樹選手や西岡剛選手の応援歌もこれ。
近鉄特急で予告チャイムとして使用されたこともある。
そしてアニメ『ガールズ&パンツァー』で使われたのはさっき見たとおり。

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カチューシャ

森繁久彌さんからガルパンの女子高生までが口ずさむ歌はカチューシャしかない。
これ以上日本で有名なロシア民謡なんて知らない。

 

最近知り合った20代のロシア人女性に、ガルパンの「カチューシャ」を見せてメールで感想を聞いてみた。
これがその返事。

「こんにちは!Hahahah! Yes, I know this music video. And this song, of course! It was very popular during WWII」

「なにこれ!面白い!」という反応を期待していたのに、このロシア人はガルパンのカチューシャをすでに知っていた。
ちっ。

とにかくこれは第二次世界大戦のときにとても有名な歌だった。
まあ、先ほどの説明と同じですね。

このあと「This video is very close to the original」と本場のカチューシャを紹介してくれた。

 

“Katusha”の歌詞の内容について彼女はこう言う。

「the main idea is about girl who want to keep love and her guy who keeps (protect) country.」

国を守るために戦場で戦う恋人や兵士を想う少女についての歌。
たしかにそれがカチューシャだ。
だからガルパンを見てこのロシア人は変に思ったらしい。
このあと彼女と会ったとき、「あのアニメでは逆ですね。少女が戦場で戦っている」と笑っていた。
本当のカチューシャを知っている人があれを見たら、場面と歌詞の内容が矛盾していておかしく思うかもしれない。

*ガルパンをまったく知らない人のために書くと、あれは戦争アニメではない。「戦車道」という武道で全国優勝めざしてがんばる女子高生たちの物語。

 

でも日本のアニメはそんなものだ。
矛盾が当然、逆説こそ真理、カオスこそがノーマル。
そんなアニメだからこそ、それまで視界に入らなかったニッチなことも知ることができる。

ちなみに「攻殻機動隊」のOP、「Inner Universe」についても聞いてみた。

「I know this singer, but unfortunately she is popular only in Japan. I know her just because I watched anime a lot.」

この歌手はロシアでは無名で、日本でのみ人気があるらしい。
なんかガッカリした。

 

ここからはおまけ

このロシア人から紹介された歌を聴くと、日本人とロシア人の好みや感性の違いがわかると思う。

「If you’re really want to learn about Russian soldiers songs, you should check this one. It’s very popular even nowadays.」

いまでもロシアで人気のソルジャー・ソング(軍歌?)がこれ。

 

次の2つはロシアで人気の国民的な歌らしい。

 

 

「なんか全体的に歌が暗い」と思った人は大正解。
ロシア(ソ連)ではそういう歌が好まれたから。

ソ連ではあまりに明るすぎる印象を与える歌は発禁となり、歌手も仕事を失う危険性があったことは事実であった。そのため、曲想は短調にした方が無難であった。

ロシア民謡・ソ連での流行歌

1960年代になると変わってきたけど、日本人の好みとはやっぱり違う。

 

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6 件のコメント

  • 日本人は旧ソ連の名残でロシア嫌いが多いと思いきや、中韓と同様、政治は嫌いだけど文化は好きなようですね。

    ロシアと言えば、ウォッカ、バレエ、サーカス、バレーボール(女子)が思いつきますね。但し、最近のロシアの若者はウォッカを殆ど飲まないようです。

    カチューシャ以外に有名なロシア歌謡は、カリンカ、コロブチカですね。

  • ロシアの歌手と言ったら~度忘れした(^▽^;) 女の子2人組でミュージックステーション出演中にいきなり帰っちゃったという人たち。
    ロシアでは今も暗めの曲の方が人気あるのかなぁ。 
    最後の曲は聖堂で歌われてそうな感じがしますね。

  • わたしは正直、ロシアについてよくわかりませんが、ロシアを旅行した人の話では料理や建物がすごくよかったと言う感想が多いです。
    人も思っていたより親切で陽気だったと。
    いつか行ってみたいです。
    ロシア人の話では、ビールはソフトバンクに分類されているようです。度数が低いから。
    でもよる10時以降のアルコール販売は禁止されたとか、規制も広がっているようですよ。

  • タトゥーですね。
    ドタキャンやら遅刻やらで日本ではタブーになりましたけど。
    タトゥーの雰囲気は全然ちがうから、若い人はテンポの良い曲が好きな気がします。
    まあよく分かりませんが。
    後半の歌は本当に日本と違うと思いましたよ。

  • まあ確かに、ロシア人の好みの音楽は短調が多いです。だけど、ある意味日本もそれに負けていないですよ。
    私が物心ついた昭和の時代、中学生になって(英語の勉強が始まったので)欧米のポップスやロックを聞くようになったのですが、その時に思ったのは「何で日本の流行歌は失恋の歌ばかりなんだ?」という疑問です。昭和の時代、日本の歌謡曲・フォークソングなどの流行歌に比べて、欧米のシンガーは、恋愛感情を肯定的に高らかに歌い上げる例がはるかに多かったのです。日本人の心に響く「別れの切なさ」、これもまた伝統的な民族感情だったと言えるのではないでしょうか。
    欧米並みに恋愛感情の素晴らしさを明るく前向きで捉える流行歌が登場してきたのは、実質的には、山下達郎やサザン・オールスターズが活躍するようになってから、つまり平成バブル経済時代になってようやく、日本人もその喜びと楽しさを味わえるようになった気がします。

  • 「別れの切なさ」でいえば私のまわりの外国人は、日本人が卒業式を大事に考えてよく驚きます。
    一か月前から準備して、式当日には特に女子生徒が泣いたりと。
    韓国人もわりと卒業式で感傷的になると聞きましたが、あとの外国人は「家はそのままだし、またすぐ会えるじゃん」とわりとドライです。

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