【中国と違う日本の漢字】香港人が「風邪」で驚いたワケ

 

「東方網」という中国メディアが日本のおもしろい諺(ことわざ)について紹介している。
中国人の感覚では、「バカは風邪をひかない」という表現は興味を引くらしい。
そして「青菜に塩」という日本の諺は、中国語では「霜に打たれたナス」という言葉になる。
意味は両方とも同じで、しょんぼりすること。

「梨のつぶて」は中国語だと「イヌに肉まんをぶつけたら、肉まんは戻ってこない」になる。
さらに「焼きもちを焼く」は中国では「酢を食べる」になるという。
中国では、酢は薬と同じで「食べる」と表現するから。

くわしいことはサーチナの記事(2019-11-10)をどうぞ。

バカは風邪ひかない!? 日本にある奇妙な諺を集めてみた=中国メディア

この記事へのネットの反応をみたら、「バカは風邪をひかない」に食いつく人が多い。

・馬鹿だって風邪くらいひくよ
誰も馬鹿に興味持ってないから記憶に残らないだけ
・馬鹿は風邪に気付かず元気なまま
・他人に伝染しまくって 気づく前に治ってる というオチ
・日本人でも知らないような事知ってるのな
研究熱心すぎて怖い
・猫に小判は「猫に小判を見せると喜ぶ」と解釈したOLが実在した

 

これは伊豆の修善寺にあったもの
このとき一緒にいた台湾人にきいたら、ほぼ問題なく読めるし意味も分かると言う。
さすがは漢字の民だ。

 

中国人や台湾人、香港人と話をしていると、ときどき漢字の話題になる。
ボクが話をするのは主に日本にいる人たちだから、彼らは「中国にはない日本の漢字」というものによく気づく。
中国から来たのではなくて、日本人がつくった漢字を和製漢字といい、たとえばこんなものがある。

峠(とうげ)、辻(つじ)、畑(はたけ)、働(はたら)く、鱈(たら)、榊(さかき)、匂(にお)う

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和製漢字

このまえ香港人と話していたときに、日本の漢字の特徴をきいた。
それは、「日本人の使う漢字は古い」ということ。
もちろん他にも特徴はあるだろうけど、その香港人はとりあえずそう言う。

たとえば冬の季語でもある「風邪」だ。
専門学校で日本語を学んでいるとき、教科書に「風邪」と書いてあったのを見て驚いたという。
いまの香港で「風邪」は中国医学の専門書にのっているような古い言葉で、一般的に使う言葉ではないから。
では香港で「風邪」をどう言うのかたずねたら、「感冒」になるらしい。

香港人から「日本の漢字は古い」ときいたときは少し驚いた。
香港では繁体字(はんたいじ)、日本でいえば旧字体に近い古い漢字を使っているから。
右が日本の漢字で左が繁体字。

広は廣、乗は乘、仮は假、画は畫、図は圖、楽は樂、体は體、亀は龜

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繁体字

そういえば日本でも風邪のことを感冒と言うなあ、と思って違いを調べてみたら、

「くしゃみ・鼻水・発熱・倦怠感(けんたいかん)などの症状を示す急性の呼吸器疾患。」(デジタル大辞泉)

とあって風邪と変わらない。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説で「感冒」を見ると、「『風邪』のページをご覧ください」と書いてある。
専門家レベルでは違うらしいのだけど、一般的には風邪も感冒も同じと考えていい。
なんで日本ではいまでも「風邪」が一般的な言葉になっていて、「感冒」と併用しているのかは分からない。
ただ日本の歴史は中国と違って、ある人物が皇帝を倒して自分が新しい皇帝になるという「易姓革命」が一度もなかった。
中国に比べれば、新しい為政者(政治家)がそれまでのものを一新することがなかったから、古代の言葉がいまでも残っているのかもしれない。

このへんの事情はたぶん台湾や中国でも同じ。
ということでいつか中国人、香港人、台湾人と話す機会があったら、「漢字の同じと違い」を話題にしてみてください。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。