【日本文化の特徴】中国文化に新しい価値や表現を加え別物に

 

さいきん欅坂46の平手友梨奈さんがグループを脱退した。
なんで卒業ではなくて、「脱退」だったのか?
今回はその理由を、確執・野心・調和などの観点からさぐっていく気はまったくなくて、日本文化の特徴である「だったい」について書いていこうと思う。

中国メディア「今日頭条」が日本の食文化は中国文化から「脱胎」したものだという記事を載せている。

この場合の脱胎とは辞書的にはこんな意味。

だっ‐たい【奪胎/脱胎】

他人の詩文の発想・形式を取り入れて新しく自分のものを作ること。「換骨―」

デジタル大辞泉

 

「今日頭条」の言う中国文化の「脱胎」というのはこういうこと。
サーチナの記事(2020-01-24)

ラーメン、寿司、精進料理などの日本料理を紹介し、これらの料理は中国人でさえ「日本を代表する伝統的な料理」だと認識しているものの、その起源はすべて中国料理にあると主張した。

ラーメンや寿司、精進料理は日本料理ではあるが「起源は我が国に」=中国

 

もともと中国料理にあったものが日本へ伝わって変化したものがいまのラーメン、寿司、精進料理だと指摘する。醤油もそうらしい。
ならば具体的にみてみようず。

まずラーメンについていえばその起源は山東省の麺料理で、それが中国全国に広がって藍州ラーメンや河南ラーメンなどが作られた。
そして中国のラーメンが日本へ伝わったあと、日本人の好みに合わせていまのラーメンへと変化した。

山東省の麺料理か知らないけど、中国から伝わった麺料理がいまの日本のラーメンになったことは間違いない。
ラーメンの伝来は江戸時代という説もあるけど、一般的には明治時代に伝わったといわれる。
だから日本のラーメンは中国文化の「脱胎」という指摘は正しい。
ただ中国の人たちには、「ラー」に込められた日本人の思いに気づいてほしいもんだ。

ラーメンの”ラー”の意味って?日本人のやさしさから生まれた。

 

「今日頭条」の説によれば、寿司の起源は中国最古の辞典「爾雅」(じが)にある。
そこに「肉謂之羹、魚謂之鮨」(鮨とは魚肉をすりつぶし煮込んで作った調味料)という記述があって、この鮨が日本で変化して現在の寿司になったという。

言うのは勝手だけど、これはない。
全国すし商生活衛生同業組合連合会のホームページにも書いてあるけど、日本の寿司の原型というか起源は近江(滋賀県)の鮒(ふな)寿しとされている。

今日各地に伝わるすしは、この近江の鮒寿しを起源として分化していったものと考えられています。

すしの歴史

「爾雅」にある鮨がこの鮒寿しになったという明確な根拠があれば別だけど、なければただのこじつけだ。
それに「魚肉をすりつぶし煮込んで作った調味料」と日本にある寿司は違いすぎる。

 

鮒寿司

 

日本の精進料理については、その起源は中国寺院の「素斎」にあるという。
素斎は13世紀に中国の禅宗とともに日本へ伝わったと説明している。

精進料理は仏教に由来するものだから、これは中国から伝わったと考えて間違いない。
日本には古代に伝わって平安時代には精進料理があったけど、これを確立したのは鎌倉時代の禅宗だ。
だからこれも「脱胎」でいい。

精進料理から作られた懐石料理はもう完全な日本料理と言っていいだろう。

くわしいことは「ヒトサラマガジン」の記事を。

千利休は精進料理に想を得て「中国僧が温めた石を懐に入れて空腹に耐えた」という故事にちなみ、懐石料理を考案しました。

知られざる「精進料理」の世界

 

さて、この記事に日本のネットの反応は?

・人類の起源がアフリカなんだから全ての起源はアフリカでいいじゃん
・それって上手く育てられなかったって事だぞ
・中国がイギリスの紅茶文化の起源は我が国とか言い出したらイギリスはどう反応するのかちょっと興味あるな
・ラーメンマンは中国出身らしいね
・フムス戦争っていうのがあるらしい
フムスってのはひよこ豆の料理だそうなんだけど
レバノンとイスラエルでどちらの伝統料理かみたいなことで争いがあるらしい
おそらくアイデンティティの希薄さ頼りなさがある土地は起源だの元祖だのと言ったことに固執する

 

元は中国にあったものに日本人が変化を加えて別物にする。
それが日本文化になるという「脱胎」説は基本的に正しい。
鯉のぼりもそうだし扇もそうだ。
脱胎とは「新しく自分のものを作ること」だから、日本人がしたことはまさにこれ。

中国文化の日本文化への影響②日本風にアレンジした5つの具体例。

日本人は魔改造の達人。
寿司と同じく日本料理を代表する「天ぷら」も西洋から伝わったものを日本人の好みに合わせて改良したものだ。いまではまったくの別物だから、天ぷらを西洋料理と思うヨーロッパ人はいない。

日本文化の特徴は中国文化のコピーではなくて、中国にあるもので良いと思ったものを取り入れて、それに新しい価値や表現を加えて発展・改良していくことにある。
そんな日本文化の起源論は江戸時代には定説となっていて、戦前の日本を代表する東洋学者の内藤湖南もそれを認めている。

維新以前の日本文化起原論とも云ふべきものは、最後に此の立論の方法で殆ど確定せられてゐた。日本が支那文化を採つて、其れに依つて、進歩發達を來したと云ふことは大體に於て異論はない。

「日本文化とは何ぞや(其一) 内藤 湖南」

*支那は中国のこと。でもいまはNGワード。發達は発達で大體は大体。

 

考えてみれば欅坂46もAKBのコピーではなくて、変化を加えて作られた別グループだから脱胎と言うことができる。
欅坂46は伝統的な日本文化の特徴をよく表していた。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。