【茶は万能薬】日本に喫茶を定着させた栄西と「喫茶養生記」

 

新型コロナウイルスに対抗するため、免疫力をアップするのだ!
という考え方がわかるけど、インドの過激なヒンドゥー教徒の発想はアメージングで、牛のおしっこを飲むとか大量の牛の糞を体に付けるといった比類のないものだった。
くわしいことはまあ、前回の記事をどうぞ。

日本でも感染予防として紅茶、ニンニク、トウガラシ、納豆なんかがいいとネットで出回っているけど、根拠はあいまいでかなりアヤシイ。

そんななか、わが静岡県の川勝知事は記者会見で緑茶を強力にアピールした。

静岡新聞の記事(2020/3/14)

「静岡の名産品の緑茶には免疫力向上の効用が証明されている。ぜひお茶のある生活で健康増進を図っていただきたい」と呼び掛けた。

「緑茶で免疫力向上」 静岡県知事が呼び掛け 新型コロナ

 

もちろん緑茶が新型コロナウイルスに対して、どんな効果があるのかは検証されていない。
ただ緑茶のカテキンがインフルエンザ予防になることは確認されているから、「期待をこめて」という意味だと思う。

でもネットの反応はかんばしくない。

・これはダメなやつじゃね?
・カフェインで睡眠不足になり免疫力低下が危惧されます
・コロナに効く証明しないと炎上しそうなネタだな
・バカは風邪ひかないっていうじゃん
免疫力ってのはそういう事
・中国の研究者が緑茶が一番効果があるって発表してたぞ
・緑茶買い占めくるうううううう

 

要するにこれは静岡茶のセールスだけど、信じるものは救われるというから、緑茶を飲めばプラシーボ効果ぐらいはあるんじゃね?

さて、コロナウイルスの話はここまでで、この記事では日本にお茶を紹介して喫茶の習慣を定着させた仏教僧について書いていこうと思う。
それは臨済宗の開祖で、京都の建仁寺を開山した鎌倉時代のお坊さん、栄西という人物。

 

栄西(1141年 – 1215年)

 

中国(南宋)にわたった栄西は、当時の南宋で盛んだった禅宗を学んで日本へ帰国する。
栄西は茶のカフェインがもつ眠気覚ましの効果に注目して、夜遅くまで仏教修行ができるようにお茶を飲んでいた。
そして禅宗とともに喫茶を広く人々に伝える。
お茶は平安時代にも伝わったけど、広く飲まれるようになったのは鎌倉時代になってからだ。

新しいものをPRするときに、鎌倉時代でも令和のいまでも有効なのは「健康になりますよ」というメッセージだ。

一部のヒンドゥー教徒は牛のおしっこを何にでも効く万能薬と考えたけど、栄西も同じような発想をしていた。
薬についての当時の考え方は、1つの病気に対して1種類の薬しか効果がないというのが主流だったけど、栄西はお茶をすべての病気に効く薬と考えて、茶について書かれた日本最古の書「喫茶養生記」を世に出す。
そこで茶を「養生の仙薬」と表現した。
茶は五臓のなかでも特に大事な心臓によくて、飲水病(糖尿病)、中風、不食、瘡、脚気の五病にも効果があるとかなりマシマシなことを書く。
新型コロナにもひょっとしたら…。

こうした宣伝がうまくいって、日本で喫茶の習慣が広がっていった。

 

栄西がとなえたお茶の効果

 

日本人はここで終わらない。

中国から伝わった喫茶が鎌倉時代に普及すると、次の時代にはそれに哲学的・宗教的な価値観をくわえて日本を代表する文化にまで昇華した。
思想家の岡倉天心は、日本人の美意識や文化を世界に紹介した「茶の本」でこう書く。

茶は薬用として始まり後飲料となる。シナにおいては八世紀に高雅な遊びの一つとして詩歌の域に達した。十五世紀に至り日本はこれを高めて一種の審美的宗教、すなわち茶道にまで進めた。

「茶の本 (岡倉 天心)」

*シナは中国のこと。
これは侮辱語だからいまはNG。

 

最後は、静岡出身のフリーアナウンサー吉永真代さんの朗読をどうぞ。

 

 

こちらの記事もいかがですか?

3月4日はバームクーヘンの日!ドイツ人ユーハイムと日本の関係

ドイツ料理にジャガイモの理由。三十年戦争とフリードリヒ大王

ジャガイモの歴史:ヨーロッパ・宗教の禁止・ポテトの由来

日本人の食文化:江戸は犬肉を、明治はカエル入りカレーを食べていた

「ヨーロッパ」カテゴリー 目次 ①

 

1 個のコメント

  • >静岡新聞の記事(2020/3/14)「緑茶で免疫力向上」 静岡県知事が呼び掛け 新型コロナ

    これは、もしもこの記事の通りだとすれば、あたかも「新型コロナウィルス感染症への予防効果がある」かのように書いた静岡新聞にデマの責任がありますね。静岡県知事は、決して「コロナ」という単語を口にしていないのでしょ?単に「免疫力向上効果がある」と言っただけですね。
    新聞報道にしてはお粗末だな。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。