外国人が感心する漢字の話:「鳥・烏・鴉」の違いと由来

 

きょねんの夏、ドイツ人とリトアニア人(東ヨーロッパの国)とベトナム人と一緒に、ボクが車を出して京都を旅行した。

金閣寺に向かう途中、中区のあたりで信号に停まっていると、「ああいうのはリトアニアでは禁止されている」と言ってリトアニア人が指さす先には、原付に乗った大学生がいた。
なんでもリトアニアでは、サンダルを履いてバイクの運転をするのが禁止されているらしい。
日本人は基本的にリトアニア人よりも慎重で安全を重視するけど、日本の街ではこんな「危険運転」をする人がよくいるからそれが意外に思ったとか。

*調べてみたら日本でもサンダル履きでバイクや自動車を運転すると、道路交通法(安全運転の義務)違反になる可能性がある。

 

一方、助手席にいた日本語勉強中のドイツ人は、車のナンバーや看板を見て自分の知ってる漢字を探すのが好きで、読めない漢字を見つけると「あの漢字は何ですか?」といちいち聞いてくるから、正直言わせてもらうといい加減うざかった。
そんなドイツ人が「あの標識の漢字は間違っています!」と言うから何のことかと思ったら、彼は「烏丸」を見て「鳥」の間違いと思った。

あーそれね。
昔ボクは横棒がないのに気づかなくて、「とりまる通り」って呼んでた。
さすが漢字探しが趣味のドイツ人、よく見てるわ。

たしかに日本人は慎重だけど間違いはする。
特に道路標識などでの英語表記ではよくデタラメがある。
「速度を落とせ」の意味で「speed down」と書いてあって、イギリス人やアメリカ人が「意味が分からない!」と言っていたし(下の記事)、「行き止まり」の英語表記が「The end」になっていてアメリカ人を爆笑させた。

イギリス人よ、これが和製英語だ!パワースポットにスピードダウン・・

 

漢字が好きな外国人もいる。
「みんなさん」の間違いはよくあるけどこれはnew。

 

 

 

でも複数の日本人がチェックするから、さすがに漢字の間違いはない。

漢字に興味あるドイツ人は、「鳥」がトリの見た目からできた文字ということは知っていたし、リトアニア人も「鳥貴族」に何回か行ったからこの漢字と由来を知っていた。
(トリは2本足なのに、なんで鳥には点が4つもあるの?と言っていた気がする。)

「鳥」の横棒のない「烏」はカラスのことで、「烏丸」で「からすま」と読むんだ。という話をすると、「なんで丸をマルと読まないの?」とさらにたずねる。
これは、昔は「からすまる」だったけど、しだいに呼びやすい「からすま」に変化した。

 

 

カラスのばあい全身が真っ黒でどこに目があるか分かりづらかったから、「鳥」の「目」に当たる部分の横棒をカットして「烏」という漢字ができたのだ。

そんな小学校の国語の授業のような話をすると、ドイツ人はもちろんリトアニア人、さらにベトナム人も「なるほど!それはおもしろい!」と感心する。

「漢字には一文字一文字に意味があるから奥深いし、発見があって飽きないんだ」とドイツ人が言えば、「そうね。abcなどのアルファベットは簡単だけど、boring(つまらない)だから」とリトアニア人とベトナム人もそれに同意。

 

でも漢字文化圏のベトナム人も以前は漢字を使っていて、いまでも漢字由来で日本人でもすぐに分かる言葉がある。
たとえばこれは何だと思う?

 

「チュウイ」と読むこのベトナム語の意味は「注意」。

 

さて、カラスの漢字には「烏」の他に「鴉」がある。
外国人なら鳥と烏の違いが分かれば十分だけど、日本人としては「烏」と「鴉」の違い、なんで後者には「牙」(きば)があるのかも知っておきたいところですね。

これは「カーカー(ガーガー)」というカラスの鳴き声を「牙(ガ)」という文字で表し、それを「鳥」にくっつけて「鴉」にしたもの。
見た目ではなく音に着目して、「ガーガー鳴く鳥」という意味でつくった漢字だ。

上のドイツ人をふくめて日本語を学ぶ外国人に、こういう漢字の意味や背景を説明すると感心されることが多い。
なのでぜひお試しあれ。
でも漢字に興味のない外国人には、「boring」と思われるからご注意を。

ちなみにカラスを英語で「crow」と呼ぶけど、でかいカラス(大ガラス)だと「raven」になる。

 

 

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2 件のコメント

  • あはははは~、言ってるそばからまた間違えてますよ。

    >「速度を落とせ」の意味で「slow down」と書いてあって、イギリス人やアメリカ人が「意味が分からない!」と言っていたし・・・

    でも上記は、「slow down」がそのまま正しいのであって、英国人や米国人が「意味不明!」と言っていたのは「speed down」という和製英語のことでしょう。
    なお私は、「speed (and) down」と言うのを聞いて、麻薬のことかと思いましたよ。その2種類を一緒にやっちゃダメです。

    ***

    擬音語に基づく鳥関係の漢字と言えば「鴉(カラス)」もありますが、「鳩(ハト)」もありますね。クッククックー、ってね。青い鳥じゃないけれど。
    おそらく「雀(すずめ)」も擬音語が起源ではないかな? チュンチュン(≒ジャンジャン)と鳴きますから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。