近ごろ台湾に登場した日本語「激安」。中国語にない意味

 

さいきん日本人の間で、海外旅行先として人気爆発の台湾。

そんな日本人に向けて、台湾のグルメや見どころなどをSNSで積極的に発信している台湾人で「Hsu Hsu」さんという人がいる。
日本語ペラペラのこの人は、例えばこんなメッセージと写真を投稿した。

 

「アーチあるから、日本の商店街とはちょっとだけは似とると思わん?❣」

これは台湾・屏東市にある中央市場

 

「これは大阪の商店街です」と言われたら信じてしまいそう。
でも「狗年」を見たら(日本の漢字だと「狗」は「犬」だから)、これは中国語圏のどこかだなと想像がつく。

そんなHsu Hsuさんが最近、ファミリーマートでこんな発見をしたという。

 

「いつの間にか、『激安』という日本語の言葉も台湾で使用し始められた。」

 

「激安」という言葉は中国語ではなくて日本語だから、もともと台湾にはなかった。

下は10年ぐらい前にボクが台湾旅行で見かけた看板で、日本に関する物には、日本っぽい雰囲気を出すためにこの言葉が使われていた。

 

 

「ウ冠に女」の安という漢字は、女性が家の中でくつろいでいる様子を表すという。

だから中国や台湾で「安」は安全・安心・平安という使い方をするし、芸人のとにかく明るい安村さんの「安心して下さい、はいてますよ。」はというネタは日台中で通用する。(たぶん)
漢字の成り立ちからして、それは分かるとして、なんで安に「cheap」の意味があるのか?

このまえ日本人が「姦」という漢字に、中国語にはなかった「うるさい(姦しい)」という別の意味を加えたという記事を書いた。

【日本人の発想】女が3つで「姦しい」に外国人も納得!

 

「安い」もこれと同じじゃね?
中国からこの言葉が伝わったあと、日本人が中国語にはなかった新しい意味を加えた。
そう思って中国人に聞いてみると、

・「cheap」の意味はありませんね。😊
・(激安について)これは日本語をマネして書いたものです。
・激安!中国人から見れば、何だろう…と思う…
・調べてみたところ、「安」という文字そのものには「やすい」の意味はありませんでした。ただ、「やすい」は「廉い」とも書くから、そこから転じたものではないかと思われます。
・中国語には「安」の漢字に「値段が低い」という意味がございません。主に「安全」「安心」「平安」などを表すことが多いです。値段が安いなら、「便宜」や「打折」、「特価」、「超値」ていう言葉が使われると思います。
*ほかにも中国では超便宜や巨便宜、マレーシアでは「大減価」という言葉を使うことが多いらしい。

といった返事がきた。

やっぱり「安い」は日本人の発案だろう。
それなら「激安」という言葉が台湾や中国にないのもナットク。

 

ちなみに「激安」を台湾ではどう書くか、「Hsu Hsu」さんに聞いたら「超便宜」になるとのこと。

辞書をみると「便宜」には、安い・都合がいい・苦労しないで手に入るという意味がある。
ある中国人は、日本語の「安」には「たやすい・簡単」の意味があって、値段が低いと手に入りやすくなるから、日本人は「安い」と表現したのでは?と考えた。

 

ある中国人が見せてくれたもの。
中国語で「安」には12の意味があるけど、「cheap」はない。
「安い」はまず間違いなく、日本人のオリジナル。
日本人は中国から伝わったものをよく日本化してしまうのだ。

 

 

以下、おまけ

この中の「黒糖奶茶」と「餅」が何かお分かりですか?

 

 

「奶」という漢字には、成人した女性・乳房・乳の意味があって、「牛奶」は日本でいう「牛乳」になる。
さらに「奶奶」と二つ重ねると、おばあさん・姑(しゅうとめ)・奥さんといった意味になって、中国の場所によって「奶奶」の意味が変わるらしい。

ということで、「黒糖奶茶」とは黒糖を使ったミルクティーのこと。
「餅」は中国語でビスケット・クラッカー・せんべいのことだから、「黒糖奶茶の餅」とは黒糖ミルクティー味のクラッカーのことだろう。
(間違っていたら誰か教えてプリーズ)

ちなみにタピオカミルクティーは「珍珠奶茶」と書く。

 

 

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5 件のコメント

  • >そんなHsu Hsuさんが最近

    そもそも「Hsu Hsu」って、どのように発音するのですか? ぜんぜん読めないのですけど。

  • 近年台湾へ日本語の流入が起きていることは度々聞きますが、逆に台湾から日本語へ入った言葉は何があるんでしょう。
    たまに加油とかは見ますがこれは相手が台湾由来のものの場合のみの印象です。

  • 「激安」が聞きなれない日本式意味の漢語であるとしたら、「驚安の殿堂」(ドンキのキャッチフレーズ)なんかはどうなのでしょうね? 全然意味が通らないのかな。
    でも、中国・台湾からの外国人客も、ドンキには大勢入っているようですが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。