待ち合わせに遅れたり、約束そのものを忘れていたりとこれまでの経験上、タイの人たちはかなりテキトー。
でもその反面、こちらが遅刻やドタキャンをしても「そっかー、じゃあまたね」とあっけらかんに言える心の広さを持っている。
そんなタイ人でも、笑いごとでは済まされないのが仏教と王室。
タイ国民は一般的に仏様と王様には最大の敬意をはらっている。
タイは不敬罪のある世界でも数少ない国のひとつだから、公の場で国王を批判したり侮辱すると警察に捕まることがある。
SNSで国王に否定的なコメントに「いいね」を付けただけで有罪になることもあって、不敬罪と判断されると最高で15年、最低でも3年の禁固刑が科される可能性があるというから恐ろしい。
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タイと日本には王室と皇室という共通点があるけど、太平洋戦争中は日本軍の軍人に「天ちゃん」、いまでは女子高生に「めっちゃ天皇!」と呼ばれる(こともある)日本の天皇はタイの国王とはまったく違う。
くわしいことはこの記事を。
両ひざをついて国王の肖像画に敬意を示すタイ人
FNNプライムニュース(2020/8/15)によると、そんなタイでいま“革命的”な動きが広がっているらしい。
高校生や大学生などの若者を中心に行われていた反政府デモの内容が変質して、今月8月に入るとタイ王室への批判が加わったため、デモに対する見方が一変。
反政府デモは珍しくないけど、王室を公然と批判するというのは前代未聞と言ってぐらいタイでは異例だ。
タイ社会に大きな衝撃を与えている。これまでタイでは幾度となく政治的な混乱が起きてきたが、王室に対する挑戦はほとんどなかったためだ。
政権内でも警戒感が高まっている。タイで広がる前例なき「王室批判」の行方
ちなみに7月に行われた反政府デモでは、「とっとこハム太郎」の替え歌を合唱するなどお祭りのような楽しい雰囲気があったらしい。
Run! Hamtaro! Run!
Run for Democracy!BGM byt : @AfterRab 🤩💕#วิ่งกันนะแฮมทาโร่ #Hamtaro#FreeYOUTH #SaveThaiDemocracy #respectdemocracyTHAI #ให้มันจบที่รุ่นเรา pic.twitter.com/GY7k08UuC5
— Power belongs to Thai people 🇹🇭 (@ThaikunBot) July 26, 2020
ハム太郎の歌を歌っての反政府活動なら「マイペンライ」(大丈夫、気にしない)で済んだけど、タイで国民が公然と国王批判をはじめたとなると別ステージに突入したことになる。
今後は、警察隊や王室支持派との物理的な衝突があるかもしれない。
2016年に即位したいまのワチラロンコン国王は、2017年には1兆4000億バーツ(約5兆円弱)といわれる王室財産を運用できるようにするなど国王の権限を強化してきた。
こうした姿勢に反発する学生が多いらしい。
それとプミポン前国王(現国王の父親)の評価がすごく高かったから、その時代と比較されている面もある。
この動きは日本と無縁ではなくなった。
日本在住のタイ人が王室を批判するFacebookグループを立ち上げたことに激怒した王室支持派は、バンコクにある日本国大使館を訪れて日本政府に対しそのタイ人の身柄引き渡しを要求した。
タイハイパーリンクの記事(2020年8月25日)
王室派グループの支援者らは、パビン・チャチャバルポンプン氏が王政を誹謗中傷し、若い世代に謝った認識を植え付けていると批判しています。
タイ王室派グループ、日本政府にパビン・チャチャバルポンプン氏の身柄引き渡し要求
「謝った」は誤ったの間違いなのはいいとして、これは今後、めんどうな外交問題に発展するかも。
タイ人やタイをよく知る日本人が集まるSNSグループに、公然と王室を批判するタイ社会の動きについて聞いてみたから、最後にそのコメントを載せようとおもう。
・1970年代から、戒厳令を出した王室に批判する声はあります。なぜならば戒厳令によって多くの市民や国民が犠牲になったから。
・昔ラーマ4世の頃、イギリス人外交官すら本音を国王の前で言えなかったそうです。国王がミャンマー 王室を侮辱する絵画を王宮内に飾り、イギリス人外交官に見せつけたそうです。見せつけた時、イギリス人外交官は可笑しいと本音が言えなかったそうです。
・多くのタイ人は懲役が怖くて本音を言えないだけです。
このため多くのタイ人は国王の下請けを攻撃する形で外堀を埋めようとしています。あくまでも知り合いであるバンコクポストで働くドキュメンタリー映画監督の見識です
・中華系は一般的に経済的に有利な立場にいて教育程度も高いので、政治に対して批判的な見解になるんじゃないでしょうか。
バンコクが中心だと思いますがバンコク区の経済と政治の中心にいるのは中華系タイ人です。
・私は自身の半生以上をタイという国で暮らして来ました。
タイ王室はタイ国民と共に象徴的な存在であると思います。
90年代初頭にスッチンダーとチャムロンの大きな犠牲払った軍民衝突も有りましたが、国王が健在の頃、見事に鎮静されたのを間近で観て来ました。
・私の住むバンコクの下町は皆さん王室を敬愛しています。
日本にも皇室不要論が有るように、今の王室の在り方にタイにも否定派が居るでしょう。
もうこの議論は止めておきませんか??
・日本の皇室がタイに訪問する際は最も高い位で迎えられます。
タイの王室と日本の皇室が良好な関係だから、タイ国民は尊敬の念を持っています。
これが、タイ人に親日が多い理由にもなっています。
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タイ王室がタイ国内でそのようなことになっていたのですね。
あまりタイ王室について詳しくなく全く知りませんでした。
タイ王室や現代のタイについての何かオススメの本がありましたら教えて下さい勉強します。
歴史を学ぶ目的にもよりますがタイ人の価値観や見方を知るなら、「タイの歴史 (世界の教科書シリーズ)」がいいです。
タイ人と話すときに共通の前提ができるので役立ちます。
いま起きていることを知るなら、ネットメディアの「タイハイパーリンク」がおすすめですよ。